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帰ってすぐ、仁野はタイミング悪く先生に呼び出されてしまった。
板垣と西山は荷物をまとめて、ふたりの世界へと消えていった。
部屋には俺ひとり。
仕方なくパソコンを開いて、原稿を黙々と書き始めた。
気づけば、4時間ノンストップ。
疲れがドッと押し寄せてきて、編集さんに原稿を送った瞬間、机に突っ伏して寝てしまった。
――そして、俺は「とんでもない夢」を見た。
内容は……ちょっと口にできない。
目が覚めた時、スマホの通知が大洪水状態だった。
LINEのグループチャットには、俺の名前が@で連投されてる。
指が震える。ひとつひとつ、恐る恐るスクロールしていくと――
……思考停止。
もし、もう一度チャンスがあるなら、絶対に「二万字書いて眠気MAXの時」に原稿整理なんてしなかった。
【えっっっ!?なにこの神作!?】
【ちょ、おい、これ送る相手間違ってない!?】
【これって……もしかして、あの話じゃね?】
……
地獄か?これは地獄なのか?
撤回したい。心から撤回したい。
でもLINEは2分過ぎたら取り消せない。
しかも、友達申請が99+件来てる。
内容は、
【続きください】
【兄弟、俺は大猛1】
みたいなやつばかり。
俺はベッドの下を開けて、写真を一枚撮って編集に送った。
「編集さん……風が……冷たいです……」
『ダメ、落ち着いて。飛び降りたって名誉は戻らないよ?』
「……社死って労災に入りますか?」
『残念ながら、入りません♡』
通話を切って、俺は2,000件以上のメッセージを一つずつ遡った。
――幸いにも、仁野の名前は、なかった。
……彼、こういうのには興味ないタイプだし、
多分……うん、きっと、大丈夫。
火の粉が本人に届かなければ、まだ手遅れじゃない。
仁野、グループに入ってないし、まだ知らない……はず。
でも……いずれバレるかも。
自分から言った方がいいんじゃないか? いや、でも……!
そのとき。
【おい、これどういうことだ!】
西山から、俺が投稿した文章のスクショが送られてきた。
俺:【見ての通り、仁野は俺の小説の主人公なんだ】
【マジかよ!?あの露キャンも、一緒のテントも、素材集めのため!?】
俺:【……全部がそうってわけじゃない】
【いや俺、仁野に「絶対お前が来てくれなきゃ聡太も来ない」って言っちゃったんだけど!?】
…………沈黙。
俺はそっとスマホを置いた。
【もう仁野に自分から言った方がいいって。これ、誰でもブチ切れる案件だぞ?】
そして――
噂をすれば、ドアが開いた。
仁野が帰ってきた。
心臓がドクンと跳ねて、俺はそそくさとベッドに向かおうとした。
そのとき――
後ろ襟をぐいっとつかまれた。
「聡太」
振り返ると、テーブルの上にティラミスが置かれていた。
「一個多く買っちゃって、食べきれないから。やるよ」
……え、優しい。
「仁野、お前、甘いの苦手じゃなかったっけ?」
「今夜、ちょっと話せる? 話したいことがあるんだ」
そう言って、彼は俺が喉を詰まらせないように、水まで用意してくれた。
ちょうどいい温度の水だった。
俺は一度唇を湿らせて、覚悟を決めるように口を開いた。
「うん。俺も……話したいことがあるんだ」
仁野の目元がふわっと和らぐ。
「……うん。じゃあ、後で」
板垣と西山は荷物をまとめて、ふたりの世界へと消えていった。
部屋には俺ひとり。
仕方なくパソコンを開いて、原稿を黙々と書き始めた。
気づけば、4時間ノンストップ。
疲れがドッと押し寄せてきて、編集さんに原稿を送った瞬間、机に突っ伏して寝てしまった。
――そして、俺は「とんでもない夢」を見た。
内容は……ちょっと口にできない。
目が覚めた時、スマホの通知が大洪水状態だった。
LINEのグループチャットには、俺の名前が@で連投されてる。
指が震える。ひとつひとつ、恐る恐るスクロールしていくと――
……思考停止。
もし、もう一度チャンスがあるなら、絶対に「二万字書いて眠気MAXの時」に原稿整理なんてしなかった。
【えっっっ!?なにこの神作!?】
【ちょ、おい、これ送る相手間違ってない!?】
【これって……もしかして、あの話じゃね?】
……
地獄か?これは地獄なのか?
撤回したい。心から撤回したい。
でもLINEは2分過ぎたら取り消せない。
しかも、友達申請が99+件来てる。
内容は、
【続きください】
【兄弟、俺は大猛1】
みたいなやつばかり。
俺はベッドの下を開けて、写真を一枚撮って編集に送った。
「編集さん……風が……冷たいです……」
『ダメ、落ち着いて。飛び降りたって名誉は戻らないよ?』
「……社死って労災に入りますか?」
『残念ながら、入りません♡』
通話を切って、俺は2,000件以上のメッセージを一つずつ遡った。
――幸いにも、仁野の名前は、なかった。
……彼、こういうのには興味ないタイプだし、
多分……うん、きっと、大丈夫。
火の粉が本人に届かなければ、まだ手遅れじゃない。
仁野、グループに入ってないし、まだ知らない……はず。
でも……いずれバレるかも。
自分から言った方がいいんじゃないか? いや、でも……!
そのとき。
【おい、これどういうことだ!】
西山から、俺が投稿した文章のスクショが送られてきた。
俺:【見ての通り、仁野は俺の小説の主人公なんだ】
【マジかよ!?あの露キャンも、一緒のテントも、素材集めのため!?】
俺:【……全部がそうってわけじゃない】
【いや俺、仁野に「絶対お前が来てくれなきゃ聡太も来ない」って言っちゃったんだけど!?】
…………沈黙。
俺はそっとスマホを置いた。
【もう仁野に自分から言った方がいいって。これ、誰でもブチ切れる案件だぞ?】
そして――
噂をすれば、ドアが開いた。
仁野が帰ってきた。
心臓がドクンと跳ねて、俺はそそくさとベッドに向かおうとした。
そのとき――
後ろ襟をぐいっとつかまれた。
「聡太」
振り返ると、テーブルの上にティラミスが置かれていた。
「一個多く買っちゃって、食べきれないから。やるよ」
……え、優しい。
「仁野、お前、甘いの苦手じゃなかったっけ?」
「今夜、ちょっと話せる? 話したいことがあるんだ」
そう言って、彼は俺が喉を詰まらせないように、水まで用意してくれた。
ちょうどいい温度の水だった。
俺は一度唇を湿らせて、覚悟を決めるように口を開いた。
「うん。俺も……話したいことがあるんだ」
仁野の目元がふわっと和らぐ。
「……うん。じゃあ、後で」
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