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15 修羅場?

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 ローサは、ローサフェミリアの記憶を探っていた。

 あの左頬に傷があった男の子はいったい誰だろう?
 それにしても、婚約破棄されてから行動に移すまでの時間が早すぎるような……
 ローサちゃんは、自殺をするように誘導された?
 フレデリクと頬に傷がある男に……
 いや、でも……そう簡単に人を殺せるだろうか?
 もし殺すとしたらもっと確実な方法を使うわよね。
 それに、フレデリクはローサちゃんを好きだったらしい。だったら何故婚約破棄なんか……

 まさか! フレデリクとローサちゃんは操られていたとか?
 いや、そんな事出来ないわよね。物語の中じゃあるまいし。
 あれ? でも、私も悪魔に会ってこの世界に来たのだったわ。あっ、魔法みたいな物も使えるものね。
 催眠術みたいなものもあるのかも!

 さて、ローサちゃんを殺したいと思う人間がいるのだろうか?
 うーん、ファウスト伯爵令嬢……?
 フレデリクを操って、婚約者を殺害?

 うーん。少しファウスト伯爵令嬢を探ってみる必要がありそうね。

 ローサは左頬に傷がある男とファウスト伯爵令嬢について調べる事にした。

 ローサがフレデリク王子と話し合ってから数日が経った。
 今日はフレデリクとファウスト伯爵令嬢と三人で話し合う日。
 放課後に三人で空き教室に集まった。

「今日は集まって頂きありがとうございます」

 フレデリクは少し緊張をした顔でローサを見た。

「お話とは何かしら」

 ファウスト伯爵令嬢は、つんけんした態度でローサに話し掛けた。

「ファウスト伯爵令嬢とフレデリク殿下の恋のお話を聞かせて貰いたいのよ」

「あなた振られた私を馬鹿にしているの?」

 ファウスト伯爵令嬢は怒り出した。

「いえ、滅相もございません。フレデリク殿下が可笑しな事をおっしゃるので、事実確実をさせて下さい」

「分かった。嘘偽りなく話すと約束しよう。良いな? ファウスト伯爵令嬢」

「もう、レティシアと呼んで下さらないのですね」

「……すまない」

 フレデリクは気まずそうにファウスト伯爵令嬢から視線を逸した。

「分かりました。私も嘘偽りなくお話すると約束しましょう」

「お二人共ありがとうございます」

 ローサはにっこりと笑った。

「まずお二人は、いつ頃出会われたのですか?」

「ローサとファウスト伯爵令嬢が入学した日だ。学院内で迷っていた彼女を私が案内した」

「ファウスト伯爵令嬢、フレデリク殿下が言っている事は正しいですか?」

「ええ。あの時は本当に困りました。普段は道に迷う事はほとんど無いのに……あの日は、全く分からなくなってしまって。学院の中が迷路のようでした。殿下に助けていただかなかったら……と思うと少し怖いくらいです」

「不思議ですね。確かにこの学院は広いですが、迷ってもいつかはたどり着くでしょうね」

 ローサは首を傾げた。

「オブライト公爵令嬢の言う通りです。今なら少しくらい迷ってもいつかたどり着くだろう。くらいの感覚なのですが、あの日は永遠に同じ廊下が続くようで怖かったのです。まるで、廊下に閉じ込められているみたいでした」

 廊下に閉じ込められる……ローサは深まる謎に眉を顰めた。
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