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5.再会
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アレックスとクロヴィスの手首を手錠で繋いで廊下を歩くようになって数日。
王宮内では二人が恋人同士や、クロヴィスは手錠が好きだとかなどの噂が流れたが、クロヴィスは気にする事無く仕事に励む。
噂の一つには、アレックスが真面目に仕事をしていて、クロヴィスは素晴らしいと言うものもあった。
今日もいつものようにクロヴィスが手錠を持ち出すと、アレックスは真っ青な顔をした。
「兄上! 二度と仕事を放り出さないと神に…………いや、兄上に誓います。どうか手錠はやめていただけないでしょうか」
顔色を悪くし、改まった様子のアレックス。
クロヴィスは、そろそろ手錠を外して逃げ出さないか試してみようと思っていた。
「分かった。本当に逃げないのだな?」
「はい」
クロヴィスは手錠を片付けいつも通り仕事を始める。
その日、アレックスは真面目に仕事をしていた。
数日後も人が変わったように真面目なアレックス。
いつまで続くのだろうかとクロヴィスは様子を伺っていたが、数ヶ月、数年経っても、アレックスは真面目に仕事に取り組んでいた。
アレックスが真面目になって数年が経ったある日。
「兄上、これ。父上から」
クロヴィスとアレックスは、執務室を以前のように別にしたので、アレックスが書類を持ってクロヴィスの執務室に訪ねて来ていた。
「これは……」
「釣書だよ。今回は凄いよ。なんとフィラール国の王女様!」
「私は誰とも結婚をしないと言っている」
「父上に言いなよ。僕は書類を届けただけだから」
アレックスは困った顔をしてクロヴィスを見た。
クロヴィスは眉間にシワを寄せて釣書を睨みつけている。
「父上もさ、孫が見たいんだよ。だから父上の為にも結婚してあげなよ」
「孫ならもうすぐ会えるだろう」
「うん。ヨアンナが妊娠したからね。だけどさ、うーん、なんて言うのかな? 父上は兄上の子どもも見たいんだよ。マーラ様の息子は兄上だけだろう?」
マーラとは、クロヴィスの母親の名前だ。
「だが、しかし」
さらに眉間にシワを寄せて唸るクロヴィス。
「まあ、とにかく書類は届けたから」
アレックスは執務室を後にした。
クロヴィスは後日この縁談を断った。
ある日の事、クロヴィスはアレックスに呼ばれて慌ただしく執務室を後にする。
「おい、急ぎの客とは? 私は忙しいのだが」
「うーん。早く行かないとすぐに消えちゃう妖精みたいな人的な?」
「さっぱり分からないのだが」
「まあさ、とりあえず会ってよ。一分でいいから」
「一分で退出したら、失礼だろう」
「あっ、忘れ物。兄上先に行ってて」
「何?」
クロヴィスが声をかける前に、アレックスは来ていた廊下を引き返した。
クロヴィスは仕方ないので先に向う。
来客室の扉をノックし、中に入るとクロヴィスは目を瞬かせた。
「久しぶりだね。アレックスが急ぎで会って欲しい人がいると言うから、何事かと思ったよ」
「お久しぶりでございます。私もアレックス殿下に呼ばれまして、先程会って欲しい人がいると言われたんです」
アレックスの目の前いるのは、数年ぶりに会うミレリアだった。
「そうか、アレックスが。あれから全く会う事が無かったから、元気そうな姿を見られて安心したよ」
「クロヴィス殿下もお元気そうで」
「ああ。その節は、君に嫌な思いをさせてしまい申し訳なかった」
「いえ。私の方こそクロヴィス殿下ときちんとお話をせず、関係を終わらせしまい申し訳ありませんでした」
「いや、君は何度も私と話そうとしてくれただろう。ミレリア嬢からの手紙を全て読んだよ」
「全て……」
「ああ。今でも大切に取ってある」
俯くミレリア。
今だに手紙を大切に取ってあるなんて気持ち悪いか。
クロヴィスは少し落ち込むが、捨てろと言われても絶対に捨てられないだろうなと思った。
それから少し話をするとミレリアは笑顔を見せてくれた。
可愛い。昔より大人びているが、彼女の笑顔を見ると昔のように胸が高鳴る。
そして、気づいたら次に会う約束を取り付けていたのだった。
王宮内では二人が恋人同士や、クロヴィスは手錠が好きだとかなどの噂が流れたが、クロヴィスは気にする事無く仕事に励む。
噂の一つには、アレックスが真面目に仕事をしていて、クロヴィスは素晴らしいと言うものもあった。
今日もいつものようにクロヴィスが手錠を持ち出すと、アレックスは真っ青な顔をした。
「兄上! 二度と仕事を放り出さないと神に…………いや、兄上に誓います。どうか手錠はやめていただけないでしょうか」
顔色を悪くし、改まった様子のアレックス。
クロヴィスは、そろそろ手錠を外して逃げ出さないか試してみようと思っていた。
「分かった。本当に逃げないのだな?」
「はい」
クロヴィスは手錠を片付けいつも通り仕事を始める。
その日、アレックスは真面目に仕事をしていた。
数日後も人が変わったように真面目なアレックス。
いつまで続くのだろうかとクロヴィスは様子を伺っていたが、数ヶ月、数年経っても、アレックスは真面目に仕事に取り組んでいた。
アレックスが真面目になって数年が経ったある日。
「兄上、これ。父上から」
クロヴィスとアレックスは、執務室を以前のように別にしたので、アレックスが書類を持ってクロヴィスの執務室に訪ねて来ていた。
「これは……」
「釣書だよ。今回は凄いよ。なんとフィラール国の王女様!」
「私は誰とも結婚をしないと言っている」
「父上に言いなよ。僕は書類を届けただけだから」
アレックスは困った顔をしてクロヴィスを見た。
クロヴィスは眉間にシワを寄せて釣書を睨みつけている。
「父上もさ、孫が見たいんだよ。だから父上の為にも結婚してあげなよ」
「孫ならもうすぐ会えるだろう」
「うん。ヨアンナが妊娠したからね。だけどさ、うーん、なんて言うのかな? 父上は兄上の子どもも見たいんだよ。マーラ様の息子は兄上だけだろう?」
マーラとは、クロヴィスの母親の名前だ。
「だが、しかし」
さらに眉間にシワを寄せて唸るクロヴィス。
「まあ、とにかく書類は届けたから」
アレックスは執務室を後にした。
クロヴィスは後日この縁談を断った。
ある日の事、クロヴィスはアレックスに呼ばれて慌ただしく執務室を後にする。
「おい、急ぎの客とは? 私は忙しいのだが」
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「さっぱり分からないのだが」
「まあさ、とりあえず会ってよ。一分でいいから」
「一分で退出したら、失礼だろう」
「あっ、忘れ物。兄上先に行ってて」
「何?」
クロヴィスが声をかける前に、アレックスは来ていた廊下を引き返した。
クロヴィスは仕方ないので先に向う。
来客室の扉をノックし、中に入るとクロヴィスは目を瞬かせた。
「久しぶりだね。アレックスが急ぎで会って欲しい人がいると言うから、何事かと思ったよ」
「お久しぶりでございます。私もアレックス殿下に呼ばれまして、先程会って欲しい人がいると言われたんです」
アレックスの目の前いるのは、数年ぶりに会うミレリアだった。
「そうか、アレックスが。あれから全く会う事が無かったから、元気そうな姿を見られて安心したよ」
「クロヴィス殿下もお元気そうで」
「ああ。その節は、君に嫌な思いをさせてしまい申し訳なかった」
「いえ。私の方こそクロヴィス殿下ときちんとお話をせず、関係を終わらせしまい申し訳ありませんでした」
「いや、君は何度も私と話そうとしてくれただろう。ミレリア嬢からの手紙を全て読んだよ」
「全て……」
「ああ。今でも大切に取ってある」
俯くミレリア。
今だに手紙を大切に取ってあるなんて気持ち悪いか。
クロヴィスは少し落ち込むが、捨てろと言われても絶対に捨てられないだろうなと思った。
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そして、気づいたら次に会う約束を取り付けていたのだった。
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