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2.脱走王子アレックスの誕生
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「そうか……アレックスに気づかれてしまうとは、情けない」
「この事は誰が知っているの? 父上……陛下は?」
「知っているのは四人だけだ。陛下と王妃とマーラ様と私だ」
「そうか。陛下も知っているのか……」
落ち込んだ様子のアレックスにジョージは昔話をした。
国王には王妃と婚約する前から想い人がいた。それはクロヴィスの母のマーラだ。
その頃、第二王子だったジョージは騎士になる為に鍛錬を重ねていた。
どうしても、マーラと結婚したかった国王は当時王太子だったので、王太子位をジョージに譲ると言ったが、ジョージは国王になりたくなかったので断った。
しかも、その会話を先代の国王であるアレックスの祖父に聞かれて、国王は殴られた。
平民であるマーラと結婚が出来なくなった国王は、しぶしぶアレックスの母である王妃と結婚をする。
国王は王妃と夜を共にせず、離宮にマーラを住まわせて夜な夜な通った。
そして、国王とマーラの間に生まれたのがクロヴィス。
マーラが懐妊した事を聞くと王妃は体調を崩すようになった。
ジョージは王妃を気の毒に思い、空いた時間を見つけると王妃を元気づけに行った。
徐々にジョージに惹かれる王妃。ジョージもまた、王妃に惹かれていった。
そして、王妃も懐妊する。
殴らる覚悟で兄に話に行ったジョージ。
しかし、兄からは謝罪の言葉を貰った。
「彼女には申し訳ない事をした。それでも、俺はマーラしか愛せない。ジョージ、すまない。離婚は出来ないんだ」
国王は当時王太子だったが、国王になる覚悟を決めていた。
そして、王妃に対するせめてもの償いで、王妃の子どもが男の子だったら王太子にすると言った。
王妃の子どもは男の子でアレックスと名付けられた。
国王はアレックスとジョージが親子の時間を取れるように、剣の稽古をジョージに任せた。
騎士団長として忙しいジョージだったが、国王の命令なのでアレックスと過ごす時間を作る事が出来たのだった。
この事は今まで誰にも気づかれる事なく、今の所王家の醜聞にはなっていない。
「そうか……陛下が。叔父上は……僕の父上か」
「そうだ」
「父上?」
「父と呼んでくれるのか?」
驚いた顔をしてアレックスを見るジョージ。
「うん。だって本当のお父さんなでしょ?」
「ああ。アレックス、今まで黙っていてすまなかった」
「もう、いいよ。言わなかったのは母上と陛下もだし」
「陛下はアレックスを息子のように可愛がっている。陛下もアレックスの父親である事を忘れないでくれ」
「分かった」
アレックスはジョージの部屋から出ると、物思いにふけった。
僕は叔父上の子どもだったのか。
兄上は兄じゃなくて従兄弟か。
あれ? じゃあ、僕は王の子どもじゃないから、やはり王位は兄上が継いだ方が良いのでは?
アレックスはその日を境に、人が変わったかのように自由な行動を取り始める。
あまりに酷いアレックスの態度に国王に叱咤される事もあったが、全てを聞き流した。
ある日、ジョージに呼ばれたアレックス。
「アレックス。すまない。ぐれてしまう程にお前を傷つけてしまったのだな」
ジョージの言葉に慌てるアレックス。
「ち、違うよ。王太子にならないようにしているんだよ」
アレックスはクロヴィスが王太子になるべきだと思っている。
こういう考え方をする所は、ジョージとそっくりだった。
アレックスの話を否定する事なく聞くジョージ。
ジョージはアレックスのやりたいようにやらせてくれるようだった。
月日は流れ、クロヴィスが王太子になるのはほぼ確定したようなものだった。
しかし、ミレリアとの婚姻がなくなり、王太子になったのはアレックスだったのだ。
「この事は誰が知っているの? 父上……陛下は?」
「知っているのは四人だけだ。陛下と王妃とマーラ様と私だ」
「そうか。陛下も知っているのか……」
落ち込んだ様子のアレックスにジョージは昔話をした。
国王には王妃と婚約する前から想い人がいた。それはクロヴィスの母のマーラだ。
その頃、第二王子だったジョージは騎士になる為に鍛錬を重ねていた。
どうしても、マーラと結婚したかった国王は当時王太子だったので、王太子位をジョージに譲ると言ったが、ジョージは国王になりたくなかったので断った。
しかも、その会話を先代の国王であるアレックスの祖父に聞かれて、国王は殴られた。
平民であるマーラと結婚が出来なくなった国王は、しぶしぶアレックスの母である王妃と結婚をする。
国王は王妃と夜を共にせず、離宮にマーラを住まわせて夜な夜な通った。
そして、国王とマーラの間に生まれたのがクロヴィス。
マーラが懐妊した事を聞くと王妃は体調を崩すようになった。
ジョージは王妃を気の毒に思い、空いた時間を見つけると王妃を元気づけに行った。
徐々にジョージに惹かれる王妃。ジョージもまた、王妃に惹かれていった。
そして、王妃も懐妊する。
殴らる覚悟で兄に話に行ったジョージ。
しかし、兄からは謝罪の言葉を貰った。
「彼女には申し訳ない事をした。それでも、俺はマーラしか愛せない。ジョージ、すまない。離婚は出来ないんだ」
国王は当時王太子だったが、国王になる覚悟を決めていた。
そして、王妃に対するせめてもの償いで、王妃の子どもが男の子だったら王太子にすると言った。
王妃の子どもは男の子でアレックスと名付けられた。
国王はアレックスとジョージが親子の時間を取れるように、剣の稽古をジョージに任せた。
騎士団長として忙しいジョージだったが、国王の命令なのでアレックスと過ごす時間を作る事が出来たのだった。
この事は今まで誰にも気づかれる事なく、今の所王家の醜聞にはなっていない。
「そうか……陛下が。叔父上は……僕の父上か」
「そうだ」
「父上?」
「父と呼んでくれるのか?」
驚いた顔をしてアレックスを見るジョージ。
「うん。だって本当のお父さんなでしょ?」
「ああ。アレックス、今まで黙っていてすまなかった」
「もう、いいよ。言わなかったのは母上と陛下もだし」
「陛下はアレックスを息子のように可愛がっている。陛下もアレックスの父親である事を忘れないでくれ」
「分かった」
アレックスはジョージの部屋から出ると、物思いにふけった。
僕は叔父上の子どもだったのか。
兄上は兄じゃなくて従兄弟か。
あれ? じゃあ、僕は王の子どもじゃないから、やはり王位は兄上が継いだ方が良いのでは?
アレックスはその日を境に、人が変わったかのように自由な行動を取り始める。
あまりに酷いアレックスの態度に国王に叱咤される事もあったが、全てを聞き流した。
ある日、ジョージに呼ばれたアレックス。
「アレックス。すまない。ぐれてしまう程にお前を傷つけてしまったのだな」
ジョージの言葉に慌てるアレックス。
「ち、違うよ。王太子にならないようにしているんだよ」
アレックスはクロヴィスが王太子になるべきだと思っている。
こういう考え方をする所は、ジョージとそっくりだった。
アレックスの話を否定する事なく聞くジョージ。
ジョージはアレックスのやりたいようにやらせてくれるようだった。
月日は流れ、クロヴィスが王太子になるのはほぼ確定したようなものだった。
しかし、ミレリアとの婚姻がなくなり、王太子になったのはアレックスだったのだ。
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