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私がこの国の何を知りたいのかを尋ねようとした時に、私のお腹の音が鳴った。
グーーーー。
私は慌ててお腹を押さえた。
ディリック様はあきれて、ベルノーさんは小さく笑っていた。
「はあ。取り敢えず先に朝食な」
「ありがとうございます」
私達は宿屋の近くの飲食店に来ていた。
昨日はパンしか食べられなかったので幸せな気持ちになった。
食後は宿屋に戻り話の続きをする。
「家出娘はいつ頃、伯爵家に帰りたいんだ」
「家出娘ではありません。エルーシアです」
「エルーシアはいつ頃家に帰りたいんだ」
「ちょっと、呼び捨てはやめて下さい」
「立派な庶民になるんだろ。何が悪い。それに今は俺が雇っている」
「うっ……、わかりました」
「で、いつまでに帰りたいんだ」
「来年の春には、社交界デビューをしなくてはならないので、それまでに家族と話し合わないといけません。話し合いに成功すれば、私はデビューせずに庶民になれるはずです」
ディリック様は、腕を組んで考え込んでいた。
「それは、すぐに家に戻らなくても大丈夫と言う事か」
「そうです。まだ、帰りたくありません」
「分かった。けど、俺の探している答えが見つかったらすぐに家まで送り届けるからな」
「何を探しているのですか」
「この国の不思議について知りたい」
ディリック様は真面目な顔をして言っていたが、私はふざけているのかと思い笑った。
「あははは。この国が不思議? どこが不思議なんですか」
「この国は千年以上の歴史があるのに一度も戦争をした事が無い。不思議に思わないのか」
「思いませんよ。平和でいいんじゃないですか」
「確かに。平和は良いことだな。しかし、自国がどんなに戦争を嫌がっていても、他国から仕掛けられれて、話し合いで解決が出来なければ、回避は不可能だと思わないか」
「確かに……。仕掛けられたら、守る戦いをしなくてはならないですね」
「しかし、この国は一度も戦争をした事が無い。近隣の国々から一度も仕掛けられた事が無いんだ。何故だ」
私は首をかしげた。
「なぜと聞かれましても……。授業で他国が戦争をした時にどうして戦争に発展をしたのか、については習いましたが、なぜ戦争をしないのか? については、習った事が無いので分かりません」
「やはり、この国の人間も知らないのか……」
「役立たずですみません」
「いや、いい。この国の王は、他国からの質問を笑顔でかわしている。それにこの国に戦争を仕掛けようとしても、必ずうまくいかないらしいんだ。とある国では準備が整ったのに、いきなり国王が戦争を仕掛けるのを止めると言い出した事もあるらしい」
「なんだかそれって、気持ち悪いですね。この国が見えない何かで守られているみたいな感じですね」
すると、ディリック様が鋭い視線を私に向けて来た。
「そうだ。本当にそうなんだ。俺は、その答えを探しに来た」
「なぜ、ディリック・クラフェクト様が探しに来たのですか?」
「長い! ディリックでいい」
「なぜディリック様が探しに来たのですか?」
「俺は次男だからな。しかも、兄に息子が生まれた。やりたい事をやっても親に止められなくなった。俺はフォンダーン王国を復興したい。出来ればライングドール王国のように、戦争を仕掛けられない国にしたい。せめて、理由が知りたい」
「そういえば、フォンダーン王国は昨年まで……」
「そうだ。戦争をしていた。ライングドール王国の助けもあり、復興も進んでいる。つい最近、フォンダーン王国の第一王女とライングドール王国の第二王子の婚約が整っただろう? だから、この国にも行きやすくなったんだ」
「あー、確かお兄様がそんな事を言っていたような」
「おい、本当に伯爵令嬢なのか?」
「いいえ、立派な庶民を目指しておりますので」
ディリック様は、黙ってしまった。
「私……役にたつのか分かりませんよ。ただのお荷物になるかもしれないです」
「この国の知識が欲しいから、多少お荷物でも構わない。それに、一度助けた人間が飢え死にをしていたら、後味が悪いからな」
「ありがとうございます」
無愛想だが、優しい人なのかもしれないと思った。
グーーーー。
私は慌ててお腹を押さえた。
ディリック様はあきれて、ベルノーさんは小さく笑っていた。
「はあ。取り敢えず先に朝食な」
「ありがとうございます」
私達は宿屋の近くの飲食店に来ていた。
昨日はパンしか食べられなかったので幸せな気持ちになった。
食後は宿屋に戻り話の続きをする。
「家出娘はいつ頃、伯爵家に帰りたいんだ」
「家出娘ではありません。エルーシアです」
「エルーシアはいつ頃家に帰りたいんだ」
「ちょっと、呼び捨てはやめて下さい」
「立派な庶民になるんだろ。何が悪い。それに今は俺が雇っている」
「うっ……、わかりました」
「で、いつまでに帰りたいんだ」
「来年の春には、社交界デビューをしなくてはならないので、それまでに家族と話し合わないといけません。話し合いに成功すれば、私はデビューせずに庶民になれるはずです」
ディリック様は、腕を組んで考え込んでいた。
「それは、すぐに家に戻らなくても大丈夫と言う事か」
「そうです。まだ、帰りたくありません」
「分かった。けど、俺の探している答えが見つかったらすぐに家まで送り届けるからな」
「何を探しているのですか」
「この国の不思議について知りたい」
ディリック様は真面目な顔をして言っていたが、私はふざけているのかと思い笑った。
「あははは。この国が不思議? どこが不思議なんですか」
「この国は千年以上の歴史があるのに一度も戦争をした事が無い。不思議に思わないのか」
「思いませんよ。平和でいいんじゃないですか」
「確かに。平和は良いことだな。しかし、自国がどんなに戦争を嫌がっていても、他国から仕掛けられれて、話し合いで解決が出来なければ、回避は不可能だと思わないか」
「確かに……。仕掛けられたら、守る戦いをしなくてはならないですね」
「しかし、この国は一度も戦争をした事が無い。近隣の国々から一度も仕掛けられた事が無いんだ。何故だ」
私は首をかしげた。
「なぜと聞かれましても……。授業で他国が戦争をした時にどうして戦争に発展をしたのか、については習いましたが、なぜ戦争をしないのか? については、習った事が無いので分かりません」
「やはり、この国の人間も知らないのか……」
「役立たずですみません」
「いや、いい。この国の王は、他国からの質問を笑顔でかわしている。それにこの国に戦争を仕掛けようとしても、必ずうまくいかないらしいんだ。とある国では準備が整ったのに、いきなり国王が戦争を仕掛けるのを止めると言い出した事もあるらしい」
「なんだかそれって、気持ち悪いですね。この国が見えない何かで守られているみたいな感じですね」
すると、ディリック様が鋭い視線を私に向けて来た。
「そうだ。本当にそうなんだ。俺は、その答えを探しに来た」
「なぜ、ディリック・クラフェクト様が探しに来たのですか?」
「長い! ディリックでいい」
「なぜディリック様が探しに来たのですか?」
「俺は次男だからな。しかも、兄に息子が生まれた。やりたい事をやっても親に止められなくなった。俺はフォンダーン王国を復興したい。出来ればライングドール王国のように、戦争を仕掛けられない国にしたい。せめて、理由が知りたい」
「そういえば、フォンダーン王国は昨年まで……」
「そうだ。戦争をしていた。ライングドール王国の助けもあり、復興も進んでいる。つい最近、フォンダーン王国の第一王女とライングドール王国の第二王子の婚約が整っただろう? だから、この国にも行きやすくなったんだ」
「あー、確かお兄様がそんな事を言っていたような」
「おい、本当に伯爵令嬢なのか?」
「いいえ、立派な庶民を目指しておりますので」
ディリック様は、黙ってしまった。
「私……役にたつのか分かりませんよ。ただのお荷物になるかもしれないです」
「この国の知識が欲しいから、多少お荷物でも構わない。それに、一度助けた人間が飢え死にをしていたら、後味が悪いからな」
「ありがとうございます」
無愛想だが、優しい人なのかもしれないと思った。
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