エルーシアの物語

ねむ太朗

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  次の日の朝になった。
  私達は飲食店で朝食を食べる事にした。

「あの……、プラメル家ではお姉様だけは怒らせない方が良いです。今からお姉様に聞きに行くのに、少し難しいかもしれませんが」

「エルーシアのお姉様は、そんなに怖いのか」

「はい!  お姉様は、何をしでかすのか分かりません。一応伝えておこうと、思いまして」

「わかった」

  さすがに親に説教をして、お母様を泣かせたとは言えないわね。

  お姉様にディリック様達を会わせるのが、今さらながら不安になってきた……

「それから、雇って下さってありがとうございました。お二人との旅は楽しかったです」

  二人とも笑顔を見せてくれた。

  朝食を食べ終えて、馬を走らせた。
  プラメル家が近づいて来ると、少し緊張をしてきた。

  プラメル家に着いた。私達は馬から降りる。
  その時に丁度、屋敷の中から人が出て来た。

  お母様とお姉様だった。
  二人は走って私の所まで来た。

「ただいまー」

  お母様は泣きながら私の事を、抱きしめてきた。
  この時はじめて、心配を掛けた事に気づき申し訳なく思った。
  ラサも近くで泣いているのが見えた。

「えっと、帰るのが遅くなってしまい、ごめんなさい」

「その話しは後でゆっくり聞くわ」

  そう言った、お姉様の顔はとても怖かった。
  少し遅れて、お兄様とお父様も屋敷の中から出て来た。
  手紙を送ったから、家に居てくれたのかもしれない。

「えっと、帰るのが遅くなってごめんなさい。ただいま帰りました」

  二人から返事が帰ってきた。二人供、怒っている顔をしていた。

  私達は客間に通された。
  全員挨拶を終わらせた。

「ディリック様、ベルノー様、娘を保護して下り、ありがとうございました」

「いえ、たいした事はしていませんので」

  そのようなやり取りが、何度か続き、話が丁度終わり掛けた頃にお母様が言った。

「よろしければ、我が家に泊まっていって下さい」

「いえ、本当に大丈夫ですので」

「ですが、お礼をしなければ気がすみません」

  仕方がないので、私が間に入る事にした。 

「我が家に泊まったら、ディリック様達が気を使うでしょ」

「だったら、かわいいミーナちゃんが受付の宿屋に泊まったら、いいじゃない」

「はっ?」

「だから、かわいいミーナちゃんが受付の宿屋よ。そこの代金をプラメル家で持てばいいのよ」

「えっと……歩いて行ける距離にある宿屋の事?」

「そうよ!  エルーシアは、かわいいミーナちゃんが受付の宿屋って呼ばないといけないわ」

「なんで?」

「その方が私がうれしいからよ」

  あまりに真剣に話しているお姉様を見て、仕方なく私も、かわいいミーナちゃんが受付の宿屋と呼ぶ事にした。

  ディリック様がそれも遠慮をしていたが、お姉様の方が強かった。

  私とお姉様はディリック様達と一緒に、かわいいミーナちゃんが受付の宿屋に向かった。

  お姉様は手早く手続きを済ませ、一月分の宿代を先払いしていた。
  受付の人は男性に見えたのだが、かわいいミーナちゃんとやらは、どこにいるのかしら?

  ディリック様は遠慮をしていたが、お姉様はもう支払ったから。とさらっと流していた。

「せっかくなので、プラメル領など是非観光をして行って下さいね。一ヶ月まるまる居なくても大丈夫なので、本当にお気になさらないで下さい」

「ありがとうございます」

「さあ、エルーシア。今からゆっくり話し合いましょうね」

  急に視線を私に向けてきたお姉様の顔は本当に怖かった。
  私は視線でディリック様に助けを求めたが、首を横に振っていた。

  私とお姉様はディリック様達に挨拶をして、かわいいミーナちゃんが受付の宿屋を後にした。

  お姉様の怖さに、つるの事を聞けなさそうだったので、今日聞くのは諦めた。
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