エルーシアの物語

ねむ太朗

文字の大きさ
27 / 37

26

しおりを挟む
  家に帰ってすぐにお父様に呼ばれた。
  お父様の説教はすぐに終わった。
  置き手紙だけで、勝手に家を出ないように言われた。

  お母様はまた泣いてしまい。何を言っているのか分からなかったが、心配を掛けたので、ごめんなさい。と謝った。

  次は、お兄様だった。
  部屋に呼ばれたので私は軽い気持ちで向かった。

「エルーシアはどれだけ心配掛けたのか分かっているの」

「本当に申し訳なく思っています」

「ずっと、みんなで探したんだよ。まずは西、次に北、それから南、最後に東」

  やはり西からだったか、私の作戦勝ちね。

「ニヤニヤしない!」

「ごめんなさい……」

「けれどね。十日くらい経った頃かな?  丁度、東の領地を探し始めた頃、リリアーナが急に言ったんだよ。エルーシアは今、成長する為に頑張っているから、応援しましょうって」

  ん?  お姉様が……?

「あんなに最初は、絶対に見つけるっと言って、取り乱していたのに。あまりにも、リリアーナが必死に探すのをやめさせようとするから、みんなで待つ事にしたんだよ」

  お兄様は考えている様子だった。

「えっと……、家出をして本当にごめんなさい」

  ここで終わるかと思ったら、終わらなかった。
  私はそれからしばらく、お兄様のお説教を聞いていた。  

  お姉様の部屋には自ら行った。
  ノックをしてから、中に入る。

「お姉様、心配掛けてごめんなさい」

「ふう……もう、いいわ。反省しているのでしょう?」

「うん」

  お姉様は優しく笑っていた。
  あれ?  お姉様って優しいかもしれない。

「お姉様は私を信じて、お兄様達を説得してくれたのよね」

「ん?  そ、そうよ」

  なんだ、今の返事は。

「私の事を信じて待っていてくれてありがとう」

  お姉様は微笑んでいた。
  なぜか違和感を感じるのは、私の性格に問題があるからなのだろうか……?

「あっ!  お姉様、ディリック様達に会って欲しいのだけれど……」

「私が?  いいわよ」

  お姉様には、明日ディリック様達を連れて来る約束をした。

「あっ!  それから、エルーシアにアイラ様から、手紙が届いていたわよ。仕方が無いから、親戚の家に遊びに行っていて、しばらく帰って来ない。って返事をしておいたわ。中身は見ていないから安心してね」

「お姉様……ありがとう」

  私は自室に戻った。

「ラサ……心配掛けてごめんなさい。ラサは、怒られなかった?」

「お嬢様の置き手紙のおかげで大丈夫でした」

「そう。良かったわ」

  ラサは微笑んでいた。

  それから私は、アイラ様からの手紙を読んだ。
  最近手紙も来ないし、茶会にも来ないから心配をしてくれたらしい。
  私は急いで返事を書いた。

  次の日になり、私はディリック様達を迎えに宿屋に行った。
  挨拶をしてから、みんなで馬車に乗った。

  プラメル家に着いたので二人には、客間で待ってもらい、お姉様を呼びに行った。

「お姉様、今大丈夫ですか?」

「ええ、すぐに行くわね」

  お姉様が客間に来たので、私は人払いをした。
  お姉様が首をかしげていたが、気にせず椅子に座った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~

絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

処理中です...