落ちこぼれ魔法使い見習いのアイリーン

28. ゲイリー、妖精と契約をする

　今日の最初の授業は、黒龍封印祭の出店の話し合いだ。
　私が教室に入ると、後ろの方に人集りが出来ていた。

　まだシルフィーさんは来ていないようで、私は二人で話し込んでいたジーンとユースチスくんの所に向かった。

「二人ともおはよう。あの人集りは何」

「ああ。アイリーンか。おはよ。ゲイリーだよ」

「ん？」

「アイリーンちゃんおはよう。ゲイリーくんが治癒の妖精と契約したんだ」

「えっ！　ゲイリーさんが」

　私か驚ろいた顔をすると、ジーンが頷いた。

「ゲイリーが昨日森に行ったらしくて、契約したんだってさ」

　ジーンは「俺も毎日森に行っていれば契約出来たのかー？」と最後に付け加えて悔しそうな顔をしている。

「それにしても……もう十人以上の妖精が目撃や契約されているね。このペースだと運が良ければ僕達も契約出来るのではないかな」

「そうだよな。ユースチス。よし！　今日から放課後は妖精探しをするぞー」

「おー！」

　気合い充分な二人を見ていたら、シルフィーさんがやって来た。

「あら。何の騒ぎかしら」

「ゲイリーさんが昨日治癒の妖精と契約をしたそうです」

「まあ。そうなの。あのゲイリーがね」

　シルフィーさんは少し渋い顔をしてゲイリーさんの方を見た。
　つられて私もゲイリーさんの方を見る。

　ゲイリーさんと目が合いニヤリと笑われた。

「アイリーン。近寄らない方がいいわよ」

　こそっと私に言うシルフィーさん。

「はい。何故か嫌われているみたいなので、近づかないようにします」

　シルフィーさんは頷くと、プラント先生が教室に入って来たのに気づき席に向かった。
　私も着席をする。

「皆席につけ。おお！　このクラスは妖精と契約をした生徒が二人もいるのか。すごいな」

「先生！　俺は治癒の妖精と契約をしました。妖精の中では一番珍しいと聞きましたが」

「そうだな。治癒の妖精はあまり見つからないと聞くし、おくびょうな性格が多い様子だから契約するのが難しそうだな。と言ってもまだ十三人程の妖精が確認されただけだからな。これからどうなるのやら」

　先生の返事を聞くとゲイリーさんは、すまし顔をして私の方を見て来た。
　どうやら自分の方が優れていると言いたいようだ。