落ちこぼれ魔法使い見習いのアイリーン

ねむ太朗

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36. 黒龍封印祭当日

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 いよいよ黒龍封印祭の日となった。
 私達は朝からサンドウィッチ作りをしている。そして私は今、ひたすらたまごを潰していた。

「シルフィーさん。今日の空き時間に一緒にお店を回ったり出来ますか」

「ごめんなさいね。今日は高貴な殿方をご案内しなければならないのよ」

「えっ! それってでん、むぐ」

 シルフィーさんに口の中にゆで卵を入れられた私は、続きを言えなかった。

「お黙りひよこちゃん。お忍びなのよ。わざわざその時間に店番が当たらないようにして貰ったのよ」

 シルフィーさんは耳打ちした。
 たまごを無事に飲み込んだ私は、シルフィーさんにこそっと話しかけた。

「昨日のくじに細工をしたって事ですか」

「違うわよ。権力とこねを使っただけよ」

 やはり、昨日のくじは細工されていたようだ。

「だったらゲイリーさんと一緒にならないようにしてくれたら良かったのに」

「あまいわね、ひよこちゃん。何事も程々によ」

 シルフィーさんが何処までくじに細工をしていたのか分からないが、私と一緒に店番になったのも怪しく思えてきた。


 私達の調理担当の時間が終わりに近づき、最後に店に出来たてのサンドウィッチを運んで終了だ。

 サンドウィッチを持って店に行くと、午前中の担当だったジーンがいた。

「お待たせしました」

「おお。あっぶねー。たまごハチミツサンドが飛ぶように売れていてぎりぎりだよ」

「そうなの。すごーい」

 フランツさん良かったね。たまごハチミツサンドがこれだけ人気だと、揚げ芋サンドが負けたのは仕方ないと思えるよ。

 私が思いを馳せていると、店番の交代の人達がやって来た。
 私達は店から少し離れ、引き継ぎをしているジーンを待つ。

「アイリーン。カールセンさんお待たせしました」

「待っていなくってよ。私今から一仕事ありますの。では失礼するわ」

 そう言うとシルフィーさんは上品に去って行った。
 ジーンは首を傾げて私を見てきた。

「高貴な殿方をご案内するんだって。その時間にシルフィーさんの店番が当たらないように細工……じゃなかった。権力を使ったんだよ」

「まあ、仕方ないんじゃないの。とてもお忙しい方なのだろう。さすがに待たせる訳にはいかないだろう」

「そうかも。御歳二十九歳になるまで仕事ばかりしていそう」

「あっ。三十歳な」

 なんと! 我が国の王太子殿下は三十歳の誕生日を迎えられたらしい。
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