落ちこぼれ魔法使い見習いのアイリーン

ねむ太朗

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56. 謁見

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 本日は晴天。いよいよ王家の方との謁見の日になった。
 私は謁見の間でシルフィーさんに教わった最敬礼をしていた。

「面を上げよ」

 私が顔を上げると封印祭の時にシルフィーさんと一緒に歩いていた男性が、きらびやかな椅子に座っていた。

 後ろには騎士らしき人が二人立っていて、隣には初老の男性が立っている。

「其方がアイリーンか」

「はい。アイリーンと申します。お初目にお目にかかります」

「そうか、そうか。其方がシルフィーの友人であり、この度の騒動を収めた人物であったか。国民の代表としてお礼申し上げる」

 私は最敬礼をもう一度した。

「本日は王が王妃と外交に行っていて不在の為、私が代理で行っている。本来は王からなのだがすまないな」

「滅相もございません」

「では、褒美の話しに移ろう。今回の騒動を鎮めた褒美として金貨三十枚」

 金貨三十枚!? 私が王都に出る時に家のお金をかき集めて母が持たせてくれたのが銀貨十枚だ。

 寮も学費も食堂で食べる食事も無料で、シルフィーさんにちょこちょことご馳走になっているから、王都に来る時に使っただけでまだ銀貨六枚は残っている。

 金貨は銀貨よりも価値が高から………………うわー、考えただけで頭がぐるぐる回る。

「金貨三十枚では不満か?」

「とんでもございません。ありがたく頂戴致します」

 私は最敬礼をした。

「そうかそうか。では後ほど宰相から受け取ってくれ」

 王太子殿下の隣りにいた初老の男性が頷いた。
 どうやら彼が宰相のようだ。

「では今からは友人の恋人の相談に乗って欲しいのだが構わないか?」

「はい」

「そうか、ではもう楽にしてくれ。そうだな。向こうでお茶でも飲みながらのんびりと話そう」

「ゴホン」

 宰相が咳払いをした。

「殿下。のんびりされては困ります」

「うむ。本日は来客の予定は他に無かったと思うが…………ふぅ。手厳しいな」

 殿下は肩をすくめた。

「では手短に。シルフィーが好きなものを教えてくれないだろうか。あまり会う時間が取れなくてな。何か贈ろうかと思うのだが、ありきたりな物は何度か渡したので、もっと喜びそうな物をと思ってな」

 私の目の前に居たのは御歳三十歳の王太子殿下ではなく、恋に悩める男子だった。
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