落ちこぼれ魔法使い見習いのアイリーン

ねむ太朗

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57. シルフィーさんの好きな物?

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 シルフィーさんの好きな物…………うーん。なんだ?
 高笑い……は、最近しなくなったな。
 食べ物が好きなのはアネモネだからな。
 うーん。うーん。うーん。服の!
 そうか、あれだ。

「服のデザイン!」

 私はシルフィーさんが好きな物? 事を思い出せたのが嬉しく声を張り上げた。

 あれ? 殿下と婚約をしたから諦めるとか言っていなかったっけ?

「は、違ったかもしれません。あはははは」

 私は笑って誤魔化した。

「服のデザインとは?」

「あれ? 私そのような事を申しましたか? ミミかな? ミミが話せるようになったのですかね。ミミって言うのはこの妖精の事です」

 体から冷や汗が出るのを感じた。

「もう一度聞く。服のデザインとは?」

 王皇太子殿下がじっと私を見ている。

 怖いよー。怖いよー。シルフィーさん助けてー。

「…………服のデザインとは」

「服のデザインとは?」

 シルフィーさんごめんなさい。これ以上は耐えられません。怖くて漏らしそうです。

「低価格で誰でもファッションを楽しめる服のお店を出すのが夢だったみたいです。でももう諦めると言っていたので聞かなかった事にして下さい」

 私は最敬礼をする。本日何回目だろう?

「服屋を…………ほう。先程シルフィーがデザインをしたと言ったか」

「はい。先日シルフィーさんがデザインをしたワンピースを着させてもらいました」

「ほうほう。そうか、ワンピースを。うむ。貴重な情報の提供を感謝する」

「はい。あの、シルフィーさんは諦めると言っていたので、その、あの」

「シルフィーは真面目な女性でな。まだ私の前で思った事を言えないようだ。そろそろ心を開いてくれてもいいと思うのだがな。私の立場もそれを邪魔するのだろう。大丈夫だ。君が思う事は彼女にしないよ」

 どうやらシルフィーさんは王太子殿下に注意をされなくてすみそうだ。
 私のうっかりでごめんなさい。後日謝罪をしよう。

「はい。それで好きな物なのですが、他に思い付かなさそうです。申し訳ありません」

「いや、いいんだ。貴重な情報を得た。我々王族の在り方も少しずつ変える時が来たのかも知れない」

 殿下はそう言うと目を細めた。

 無事? に謁見が終わり、帰り際に宰相から金貨を貰った。
 金貨は一枚だけ手元に残して、シルフィーさんの伝手の安全な経路で実家に送った。
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