かわいがっているネズミが王子様だと知ったとたんに可愛くなくなりました

ねむ太朗

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  デュラン様とサム様と町で会ってから数日。今日は、王都のほうれん草祭だ。

  あの日以来ロンは少し静かになり、具合が悪いのかと心配したが、どうやら考え事をしているようだ。

  今は町に出掛ける服装をしている。私はロンを肩に乗せ、王宮の広場に来た。

  王宮の広場は人でごった返している。
  しばらく待っていると陛下達王族の方々がバルコニーに出てきた。

  その中にもちろん第三王子のロイアン殿下は居ない。それから、第一王女のマドンナリリー様も他国に嫁いだので居なかった。

  陛下の有難いお話が終わると、王都のほうれん草祭が始まった。
  町の通りには、ほうれん草料理の出店がたくさん出ていて、小さな広場では、寸劇やマジックなどの出し物をしている。

  少し広い所では、サーカス団が来ていた。
  私達はサーカスを観る事にした。
  綱渡りや玉乗り、ライオンが炎の輪っかの中をくぐったりしていた。
  私はメイドのアリサ達に聞こえないように、こっそりとロンに話し掛けた。

「すごいわね」

「そうだな。熱くないのか?」

「分からないわ」

「アネモネは、いつもアリサ達と来るのか?」

「昨年は、アリスとその前は兄とほうれん草祭を回ったわ」

「そうか、今年は一人なのだな」

「違うわ。今年はロンとよ」

「ああ。そうだな」

  それから、出店を回った。ほうれん草パンにほうれん草のキッシュなどを購入。
  屋敷に持って帰りロンと食べる事にした。

「アリサ、今日は部屋でロンと食べるわ」

「かしこまりました」

  アリサが退出をしてから、ロンと食べる。

「ふふ。美味しいわね」

「うむ。中々だな」

  二人でペロリと完食をした。

「ロン、この後どうしましょうか。町にもう一度遊びに行く?」

「いや、俺は部屋にいるよ」

  あら珍しい。お茶会でも夜会でも何処でもついてこようとするのに。

  そのままロンは、静かになってしまった。

「アネモネ?  行かないのか?」

「いい、ロンと居る」

「行っておいで。アリス嬢に町で会えるかもしれないぞ」

「アリスはきっとオーウェン様と居るわよ。お邪魔になってしまうわ」

「そうか……」

  最近のロンは、こんなんばっかりだわ。
  急にどうしたのかしら?

「ロン……どうかしたの?」

「……うん。マードック領のほうれん草祭は、ネズミの姿で参加をしても意味がないよな」

  マードック領の事で悩んでいたのね。

「うーん。参加は出来るけれど、第三王子のロイアン殿下が出席した事にはならないかも……?」

「だろうな。はぁ……」

  ロンもそろそろ、もとの姿に戻らないと不味いわよね。
  うーん。助けてあげたいけれど、シロンちゃんとは、うまくいかなかったのよね。

  アリスもオーウェン様といい感じだし。ロンとキスしたら浮気よね。

  はぁ……困ったわ。


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