かわいがっているネズミが王子様だと知ったとたんに可愛くなくなりました

ねむ太朗

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「……ロイアン様、助けていただいてありがとうございます」

「何故、アンドリューについて行った」

  ロイアン様は少し怒っいるようだ。そうよね。助けてくれたのがセシルお兄様でも怒られそうだわ。

「元気が無いからと、私の事を心配して下さって、親切だと思ったので断れませんでした」

「……そうか。しかし、二度と俺以外の男と二人きりにならないでくれ」

「分かりました」

  ロイアン様は先程居た庭園と反対側にある庭園に連れて来てくれた。

  ロイアン様がベンチに座ったので、私も隣に座った。

「……アネモネ。会場で見当たらないから心配したんだ。……頼むからもう二度とこんな事はしないで欲しい」

「ごめんなさい」

「……好きなんだ。ずっと前からアネモネの事が」

「えっ……」

「やっと、俺のものになったのに……頼む、何処にも行かないで」

  そう言うとロイアン様は、私の両手を握った。

「えっ……。ロイアン様は、私の事を好きなんですか」

「……えっ。何を今さら」

「初めて言われました」

「人間の姿に戻れたのは、アネモネと俺が両想いだったからだろう?」

「……そうなのですか?」

「真実の愛のキスで戻ると何度も言ったではないか。……そうか、アネモネには何も伝わっていなかったのだな。デュランはこの事を言っていたのか……」

「と、言う事は私もロイアン様を好きと言う事ですか?」

「アネモネの気持ちは、アネモネにしか分からないだろう?」

  アンドリュー様とキスは嫌だったけれど、ロイアン様とのキスは嫌では無いわ。
  それに……私はあの時ロンに助けて欲しかった。

「……そう、ですね」

「アネモネ……もう一度言うから。好きです、俺と結婚をして下さい」

「……よろしくお願いいたします」

  ロイアン様は嬉しそうな顔をしてから、私の事を抱きしめた。

「今なら、宝石を贈ってもいいか?」

  今ここでそれを聞くのね。きっと、断られた事がショックだったのね。

「ええ、楽しみにしていますね」

  それから私達は、長いキスをした。

  夜会から数日後。
  マードック家は、この間の件をメリベーン家に訴えた。

  アンドリュー様はルルードドル子爵令嬢を妊娠させていたらしく……もうすぐ結婚予定だったらしい。

  しかし、アンドリュー様はせめて伯爵家以上の令嬢と結婚したかったらしく、手当たり次第に手を出していたようだ。
  未婚の女性を妊娠させて結婚をしようなんて、恐ろしい男だ。

  伯爵令嬢のアリスはオーウェン様に助けられ、私はロイアン様に助けられ失敗し、たぶんこのままルルードドル子爵令嬢と結婚をするのだろう。
  もしかしたら、私が知らない所で他の令嬢にもちょっかいを出していたかも知れない……。

  そしてメリベーン家はマードック家に謝罪としていくらか支払うと言ったが、マードック家が断った。

  そしてマードック侯爵様はそれよりも、アンドリュー様が跡継ぎで本当に大丈夫なのですか?  と、尋ねた。

  それがきっかけで、デュラン様はメリベーン家に戻り、どっちを跡継ぎにするのかを改めて決めるようだ。

  メリベーン家からはレイラール家にも謝罪の手紙が来た。
  もちろん私は家族に怒られた。うかつだ!  と。

「ロン……デュラン様が従者を辞めてしまったけれど、本当に良かったの?」

「もう、王子では無いからな。一人いれば十分だ」

「そうなのね」

  今のロンに二人も三人も従者は必要ないのね。
  マードック家はうまくデュラン様を手放したわね。と、思った。

  ロイアン様に二人の時はロンと呼んで欲しいと言われ、ロンとまた呼ぶようになった。

  まだ、恋人としてはぎこちないがうまくやっていると思う。
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