なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  お兄様の報告を聞いた次の日。
  私はリーベル公爵家に向かう、馬車の中で揺られていた。
  精霊エミリア様に渡すハンカチを忘れずに持っている。

  馬車が着くとクラウスが出てきてくれた。

「クラウス!  こんにちは」

「久しぶりだな。リリアーナ」

  私達は、精霊エミリア様に会いに森の中を歩いていた。
  歩いている時にクラウスから、精霊エミリアを受け入れる事にした。と報告があった。
  私は良かったわ。と返事をした。

  池に着いたので、声を掛けてみた。

「精霊エミリア様いますかー?」

「あら、リリアーナとクラウスじゃない。いらっしゃい」

「お久しぶりです。精霊エミリア様」

  クラウスも挨拶をしていた。

「今日はどうしたの?」

「ハンカチをお持ちしました」

「まあ!  そうなの!  ありがとう」

  私は精霊エミリア様にハンカチを手渡した。

「ふふ。これが欲しかったのよ。この意味の分からない感じが、たまらないわよね」

  私は褒められているのかけなされているのか分からなかったが、精霊エミリア様がハンカチを手にして嬉しそうに笑っているので、きっと褒められているのだろうと、思い込む事にした。

「気に入ってもらえて良かったです」

「ふふ。ありがとう。では、しばらく会えなくなるわね」

  私は理解が出来なかったので聞き返した。

「会えなくなるとは……?」

「私とリリアーナとクラウスが会えなくなるって事よ」

「どうしてですか?」

「私は人間とは、あまり関わらない方がいいのよ。ほら人間って、欲深い生き物でしょう?  リリアーナやクラウスがそうとは言っていないけれど……特定の人の前だけでも、頻繁に現れるのは良くないのよ」

「もう、精霊エミリア様に会えないのですか?」

  私は、悲しくなって聞いてみた。

「うーん。リリアーナやクラウスが、どうしても私を必要としていたら会いに行くわ」

「どうしても……?」

「そうよ。自分達の力ではどうにもならなくなった時とかよ」

「分かりました。それまでは、お別れなのですね」

「そうね。ハンカチをありがとう」

「こちらこそ、エルーシアを救って下さってありがとうございました」

  精霊エミリアは、笑顔で別れの挨拶をしてくれた。

「リリアーナ、クラウス、元気でね」

「精霊エミリア様もお元気で。ありがとうございました」

「精霊エミリア様、ありがとうございました。さようなら」

  私達の言葉を聞くと精霊エミリア様は、消えてしまった。

  私達の目の前にあるのは、いつも通りの美しい池だけ。

  私は心にぽっかりと穴が空いてしまった気がした。

  私とクラウスは無言で森の中を歩いて、屋敷へと向かって行った。

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