稲荷詣で

斐川 帙

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四、二人連れの女性

(十四)

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 しばらく歩くと、また、参道の左側に大小の石造りの鳥居や赤い鳥居、祠が密集するところが出現した。右側には茶店が建っているみたいだ。一ノ峰に着いたようだ。
「一ノ峰に着いたようです。多分、あそこに見える鳥居が、そうでしょう。」
「着いたのですね。」と妹は嬉しそうに答えた。姉は、はあはあ息を弾ませながら、ほっとしたのか、ため息が漏れたのが聞こえた。
 『上之社 末廣大神』の扁額のある石の鳥居をくぐって階段を上り、上之社に参拝した。手水舎は、あるにはあったが水道の蛇口のようなものが出ていて、水が張ってなかったので、既に何度も清めたことだし、洗面所で手を洗うみたいなので、面倒になって省略した。
 参拝を済ますと芳野は、すぐに元来た道を戻ることにした。
「この先は、恐らく、谷を下ってから登り返して四つ辻に着く感じの道になると思います。登り返しがありそうなので、この先には進まず、元来た道を戻ろうと思っているのですが、どうでしょう?」
 姉は、まだ、息が落ち着いていないようで、「いずこか、お休みできるところなど?」と聞いてきた。目の前にある店は、ろうそく、小さな鳥居の他、雑貨の販売と、奥に休憩するところがありそうだが、何となく入りにくそうな雰囲気を感じたので、すぐに下山したかった。社の前と店の間は狭い参道しかスペースがないので、ここにとどまっているのも通行の妨げになるし窮屈だ。
「ここからは下り道しかありませんので、ゆっくり歩いていけば、そのうち、疲労も取れると思いますよ。」
 妹は姉を見ていた。
「あきおぎ、あなたはどうかしら?降りた方がいいかしら?」
 姉は妹に問いかけた。芳野は、妹が「あきおぎ」と呼ばれたのに気付いた。
「ここまで、ずっと上り道でしたので、元来た道を戻るとすれば、楽な下り道が続くかと。」
「そうね。あの方の仰る通り、ゆっくりと歩みを進めれば、つらくなることはないわね。では、戻りましょう。」
 そうして、三人は元来た道を戻り始めた。しばらくして、二ノ峰に差し掛かると、芳野は、中之社の向かいの茶店に目が行った。ここでも、軽食を取ったり、飲み物が飲めそうな店内の様子である。来るときは三ノ峰の茶店に寄ったので、帰りも休憩を取るのなら、二ノ峰の茶店がいいかもしれないと芳野は思った。彼女等が歩き通しなのが気にかかっていたのだ。
「すいません、ここで休憩しませんか?皆さん、歩き通しですから。」
 姉の顔に安堵の色が浮かんだように思えた。
「それは、ありがたいことですわ。」と姉が思わず口にすると、妹も「お休みをとりましょう。」と同調した。
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