稲荷詣で

斐川 帙

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四、二人連れの女性

(十六)

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 ちなみに、「目代」というのは、国守の代わりに任地に下り、国守の業務を代行する人間のことを言う。大体、国守の私的な家人けにんなどが目代として派遣されることが多い。つまり、あきおぎは、もともとは姉の家の家来筋に当たる家の娘だったことになる。それが、どういう事情があったのかわからないが、主筋の家に養子として取られて姉妹になった。
 また、女院に仕えて「駿河少輔」という名をいただいたと言っているが、これは、女院の御所に女房として召されて、「駿河少輔」という女房名をいただいたと言うことを意味する。女房名と言うのは、女房として出仕する際に名乗る通称のことで、父の官職などをもとにつけられることが多い。この場合も、父が駿河守で、少輔も兼ねているからだが、この『少輔』と言うのは、官職と言うよりは役職に近く、平安時代の官庁は八省と言って八つあったが、例えば、式部省、兵部省ひょうぶしょう中務省なかつかさしょう等々である。これらのトップは式部きょうとか兵部卿のように××卿と呼ばれ、公卿か親王が任ぜられる。その下に大輔たいふ、少輔、大丞だいじょう少丞しょうじょう大録だいさかん少録しょうさかんと続く。平安時代の官制は四等官制が基本なので、乃ち、「かみ」、「すけ」、「じょう」、「さかん」の四つであるが、これに当てはめると、「かみ」は「卿」、「すけ」は「大輔」と「少輔」、「じょう」は「大丞」と「少丞」、「さかん」は「大録」と「少録」となり、「すけ」から以下は「大」と「少」の二段階に分けられている。大輔は官位で言うと正五位辺り、少輔は従五位辺りが相当のようである。
 この女房名が「少輔」ということは、彼女の父親は、現在、あるいは過去に八省のいずれかの少輔に任ぜられた経験があると言うことだろう。
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