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六、猪隈殿
(五)
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ちなみに、法性寺は、延長二年(九二四)に貞信公が建立した寺であるが、近年は大殿忠通の所有するところとなっていて、久安三年(一一四七)には近隣に邸宅を設けて、頻繁に訪れていた。そのため、後世、忠通は、法性寺殿とか法性寺入道とか呼ばれていたりする。
保元三年(一一五八)八月十一日に関白を辞した忠通は、今は「大殿」と呼ばれている。
法性寺の前の通りは法性寺路と呼ばれ、伏見、深草を経由して六波羅方面に向かう南北に長い直線状の道路だった。伏見あたりから北上すると鴨川東岸を北に向かって都の南端である九条末を越えて二ノ橋、一ノ橋と過ぎて、法住寺の寺域の西端を北上して六波羅に達する。ちなみに九条末とは九条大路をまっすぐ鴨川の対岸に延ばした通りのことを指す。鴨川東岸の地域でも、洛中を東西に走る大路・小路が鴨川を越えて延長された道路が存在するところがあり、「九条末」のように、大路・小路の名前に「末」をつけて呼ばれていた。
法住寺のある辺りは、後年、後白河院の東山御所(法住寺殿)が造営された。その際、もともとあった大小の堂舎や民家は広範囲に渡って取り壊されたようで、山槐記には「衆人、怨ありと云々」と書かれている。
そもそも法住寺とは永延二年(九八八)三月に恒徳公が建立した寺である。恒徳公とは後一条太政大臣為光のことであるが、落慶供養の時には円融院の御参列を仰ぎ、公卿以下多数の参列を見た盛儀であったようである。
しかし、この法住寺は、四十四年後の長元五年(一〇三二)十二月八日に焼失した。東宮大夫頼宗の九条の御厩から出火した火が、折からの強風に煽られて、鴨川を越えて法住寺に燃え移り、伽藍は灰燼と化したのである。そして、この時から法住寺の名は史料から一旦消えることになる。
法住寺が、再び、史料に現れるのは、およそ百二十年後、太宰大弐清隆が七条末に東山堂(東山私堂、東堂)を建立してからになる。
大弐清隆の東山堂は久安五年(一一四九)五月十三日に落慶供養が行われ、この時、院別当因幡守信輔、判官代式部少輔範兼など多数の鳥羽院関係者が参列している。更に、その二ヶ月後の七月二十三日には権中納言季成を上卿として、九重の塔婆一基の供養を行っている。
保元三年(一一五八)八月十一日に関白を辞した忠通は、今は「大殿」と呼ばれている。
法性寺の前の通りは法性寺路と呼ばれ、伏見、深草を経由して六波羅方面に向かう南北に長い直線状の道路だった。伏見あたりから北上すると鴨川東岸を北に向かって都の南端である九条末を越えて二ノ橋、一ノ橋と過ぎて、法住寺の寺域の西端を北上して六波羅に達する。ちなみに九条末とは九条大路をまっすぐ鴨川の対岸に延ばした通りのことを指す。鴨川東岸の地域でも、洛中を東西に走る大路・小路が鴨川を越えて延長された道路が存在するところがあり、「九条末」のように、大路・小路の名前に「末」をつけて呼ばれていた。
法住寺のある辺りは、後年、後白河院の東山御所(法住寺殿)が造営された。その際、もともとあった大小の堂舎や民家は広範囲に渡って取り壊されたようで、山槐記には「衆人、怨ありと云々」と書かれている。
そもそも法住寺とは永延二年(九八八)三月に恒徳公が建立した寺である。恒徳公とは後一条太政大臣為光のことであるが、落慶供養の時には円融院の御参列を仰ぎ、公卿以下多数の参列を見た盛儀であったようである。
しかし、この法住寺は、四十四年後の長元五年(一〇三二)十二月八日に焼失した。東宮大夫頼宗の九条の御厩から出火した火が、折からの強風に煽られて、鴨川を越えて法住寺に燃え移り、伽藍は灰燼と化したのである。そして、この時から法住寺の名は史料から一旦消えることになる。
法住寺が、再び、史料に現れるのは、およそ百二十年後、太宰大弐清隆が七条末に東山堂(東山私堂、東堂)を建立してからになる。
大弐清隆の東山堂は久安五年(一一四九)五月十三日に落慶供養が行われ、この時、院別当因幡守信輔、判官代式部少輔範兼など多数の鳥羽院関係者が参列している。更に、その二ヶ月後の七月二十三日には権中納言季成を上卿として、九重の塔婆一基の供養を行っている。
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