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七、三条烏丸の御所
(十)
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やがて、棟門が見えてきた。
棟門の前に着くと、三人の男たちの足が止まった。この門の中が目的地の三条烏丸の御所なのだろうか。
芳野は、長刀を持った男に「ここが御所なのですか?」と確かめると、男は振り向きもせずに黙ってうなずいた。
太刀を佩いている男が、門の中に向かって、人を呼ぶと、しばらくして、下級官人と思われる男が出て来て、太刀の男と何やら話をしていたが、中に引っ込むと、その後に出迎えの者が出て来て、あさつゆとあきおぎは、その者の後について屋敷の中に入って行った。やはり、この屋敷が三条烏丸の御所だったようだ。
芳野と三人の供の者たちの役目は、ここで終わった。
しかし、すぐと言うほどではないが、思ったほど時間はかからず、道中も、適度に人通りが多くて危ないと感じたところはなかった。駿河守の言う通り、神経質に武者の供をつけるほどのことではなかったように思えた。結局、駿河守の屋敷から御所まで、時間にして二十分ほどであったろうか、慥かに、『そんなに遠くない』距離であった。
三条烏丸殿は、三条大路の北、烏丸小路の西、室町小路の東に一町の敷地を持つ大きな屋敷であった。
この屋敷は、嘉承二年(一一〇七)頃に播磨守藤原基隆が造営したのが始まりで、その後、基隆の娘婿になった右近少将信通が入った。一町の敷地に東西の対、中門も備えた、公卿が住むような邸宅であった。
永久五年(一一一七)には鳥羽天皇の御所であった土御門高倉殿で怪異があったとのことで、七カ月弱の間、三条烏丸殿が皇居とされた。その後、白河院に進上され、そのタイミングで、門が四脚門に改築された。元永元年(一一一八)には、立后した藤原璋子の中宮大饗が三条烏丸殿で行われている。
保安元年(一一二〇)頃から白河院は三条烏丸殿に滞在することが多くなり、鳥羽天皇が天治元年(一一二四)頃に三条烏丸殿に遷ってきて、更に天治元年(一一二四)三月頃より、待賢門院(藤原璋子)も三条烏丸殿に住むようになったことにより、寝殿は待賢門院、西の対代には白河院、東の対には鳥羽天皇と、院、女院、天皇の三者が同じ屋敷に同居するようになった。
大治元年(一一二六)、烏丸小路をはさんで東隣に三条東洞院殿が造営されて、表向きの御所としては三条東洞院殿、内向きには三条烏丸殿と使い分けがなされるようになった。
大治四年(一一二九)に白河院が三条烏丸殿で急死すると、白河院が住んでいた西の対代は鳥羽和泉殿に移築され、跡地に小寝殿が造営された。更に、三条烏丸殿は、越後守藤原清隆によって全面的に改装が実施され、新造の御所のようになったが、三年後の長承元年(一一三二)七月二十三日、隣接する御蔵町、姉小路室町殿とともに焼失した。
焼失時の三条烏丸殿は、中右記などの記述を参考にすると、少なくとも東門、西門、北門の三つの門があり、寝殿、東の対、西の対代(白河院崩御後、小寝殿に改築)、北の対があり、中門廊、中門、侍廊が、それぞれ東西に一つずつあった。
ただ、これだけの大邸宅だったが、南庭には池はなかったようである。
焼失して二年後の長承三年(一一三四)十二月には丹後守為忠によって再建されている。
棟門の前に着くと、三人の男たちの足が止まった。この門の中が目的地の三条烏丸の御所なのだろうか。
芳野は、長刀を持った男に「ここが御所なのですか?」と確かめると、男は振り向きもせずに黙ってうなずいた。
太刀を佩いている男が、門の中に向かって、人を呼ぶと、しばらくして、下級官人と思われる男が出て来て、太刀の男と何やら話をしていたが、中に引っ込むと、その後に出迎えの者が出て来て、あさつゆとあきおぎは、その者の後について屋敷の中に入って行った。やはり、この屋敷が三条烏丸の御所だったようだ。
芳野と三人の供の者たちの役目は、ここで終わった。
しかし、すぐと言うほどではないが、思ったほど時間はかからず、道中も、適度に人通りが多くて危ないと感じたところはなかった。駿河守の言う通り、神経質に武者の供をつけるほどのことではなかったように思えた。結局、駿河守の屋敷から御所まで、時間にして二十分ほどであったろうか、慥かに、『そんなに遠くない』距離であった。
三条烏丸殿は、三条大路の北、烏丸小路の西、室町小路の東に一町の敷地を持つ大きな屋敷であった。
この屋敷は、嘉承二年(一一〇七)頃に播磨守藤原基隆が造営したのが始まりで、その後、基隆の娘婿になった右近少将信通が入った。一町の敷地に東西の対、中門も備えた、公卿が住むような邸宅であった。
永久五年(一一一七)には鳥羽天皇の御所であった土御門高倉殿で怪異があったとのことで、七カ月弱の間、三条烏丸殿が皇居とされた。その後、白河院に進上され、そのタイミングで、門が四脚門に改築された。元永元年(一一一八)には、立后した藤原璋子の中宮大饗が三条烏丸殿で行われている。
保安元年(一一二〇)頃から白河院は三条烏丸殿に滞在することが多くなり、鳥羽天皇が天治元年(一一二四)頃に三条烏丸殿に遷ってきて、更に天治元年(一一二四)三月頃より、待賢門院(藤原璋子)も三条烏丸殿に住むようになったことにより、寝殿は待賢門院、西の対代には白河院、東の対には鳥羽天皇と、院、女院、天皇の三者が同じ屋敷に同居するようになった。
大治元年(一一二六)、烏丸小路をはさんで東隣に三条東洞院殿が造営されて、表向きの御所としては三条東洞院殿、内向きには三条烏丸殿と使い分けがなされるようになった。
大治四年(一一二九)に白河院が三条烏丸殿で急死すると、白河院が住んでいた西の対代は鳥羽和泉殿に移築され、跡地に小寝殿が造営された。更に、三条烏丸殿は、越後守藤原清隆によって全面的に改装が実施され、新造の御所のようになったが、三年後の長承元年(一一三二)七月二十三日、隣接する御蔵町、姉小路室町殿とともに焼失した。
焼失時の三条烏丸殿は、中右記などの記述を参考にすると、少なくとも東門、西門、北門の三つの門があり、寝殿、東の対、西の対代(白河院崩御後、小寝殿に改築)、北の対があり、中門廊、中門、侍廊が、それぞれ東西に一つずつあった。
ただ、これだけの大邸宅だったが、南庭には池はなかったようである。
焼失して二年後の長承三年(一一三四)十二月には丹後守為忠によって再建されている。
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