天孫降臨

斐川 帙

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三、稲佐の浜

十月、出雲大社参拝を兼ねて山陰を旅したこと、その道中2(鳥取滞在二日目) (2)

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 しかし、この探勝道、予想に反して結構険しい山道だった。山と言っても、海際に聳える低い岩山の連なりなのだが、道が狭隘な尾根筋に沿って設けてあるため、急坂の連続で、しかも両側が急斜面だったり、断崖だったりして、なかなかスリリングな道であった。そこを三十分ばかり歩いていくと、熊井浜というこじんまりした浜辺に出た。両側は岩山で、谷が海に向かって開いたところが砂浜になったような狭い浜である。人気もない。と思ったが、家が一軒あった。誰かが草刈り機で草を刈っているようである。エンジン音が波音だけの静かな浜辺に騒々しく轟いていた。ちょっと驚いた。そっと、気づかれないように道を戻った。
 戻ると途中で分かれ道があり、そこを進むと国道に出た。そのまま、岩美駅に戻った。
 鳥取駅に戻ったが、することがないので、久松山に登る事にした。鳥取駅の東側に聳える標高二百メートルにも満たない小山だが、独立した山塊なので、遠くからもぽっこりとした山容が目立つ。
 この久松山、山の麓にも立派な石垣を持った郭がいくつか重なっていて、久松山が険しいこともあって、最初は、鳥取城の本丸は、麓にあるのかと誤解したが、案内板の絵図を見ると、久松山の山頂に本丸が描かれている。この険阻な斜面を昇った頂上に高石垣で築かれた本丸があるかと思うとにわかに信じがたかったが、案内板にそうあるのだから、そうなのだろう。しかし、どうやって、巨石や木材を山頂まで運んだのだろうか、気になった。
 そう、堀を渡ってすぐのところに白い明治風の洋館があった。城跡とは違和感のある、その洋館は、仁風閣と言うらしい。大正天皇がまだ皇太子だった頃、鳥取に行啓した際、鳥取藩藩主だった池田家が皇太子殿下のために用意した建物だそうである。遠くから見ると、石垣や水堀とは異質な随分と周囲から浮いた建物だった。
 鳥取城本丸への登城口は、麓にある天球丸という郭の奥にあった。入り口の脇には稲荷神社がある。
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