天孫降臨

斐川 帙

文字の大きさ
46 / 75
三、稲佐の浜

十月、出雲大社参拝を兼ねて山陰を旅したこと、その道中3(鳥取から松江へ) (1)

しおりを挟む
 案の定、夜中の一時に目が覚めた。こうなると、もう、寝る事は出来ない。無理してベッドに潜っていても、疲労が溜まるだけで、一向に寝付けない。だから、起きあがって、机の前に座り、ノートPCを取り出して、起動した。旅行初日から、今日までの事を、記録する事にした。それで二時間がつぶせた。このホテルではインターネット接続が無料提供されているので、ネット上で調べ物をしているうちにあっという間に何時間も経ってしまう。それで早朝五時になった。チェックアウトは十時までだ。すこし寝る事にした。うとうとして一時間ほど眠れた。今日は、鳥取を出て、松江に行く予定だ。山陰本線を使ってスーパー「おき」に乗っていく。鳥取駅発が、九時ちょっと過ぎだったから、まだ、大分時間がある。また、ノートPCの蓋を開けた。こういうとき、ネットは暇つぶしに便利だ。

 スーパー「おき」も、ディーゼル特急だった。外見は六〇年代の特急列車と言う感じか。ボンネットが突き出ている古めかしい車体である。スマートな流線型の現代風なデザインであるスーパー「はくと」とは対照的だ。
 山陰海岸沿いを走って、因幡いなばから伯耆ほうきへ、やがて、左手に大山だいせんを見て、島根県に入る。その辺りから、電化されていた。恐らく、伯備はくび線を通って山陽側から出雲方面へ向かう特急電車のためなのだろう。
 大山の麓から島根に入る辺りで目に付いたのが、巨大な細い風車だ。非常に大きい風車で、軸も細ければ羽も細いスマートな体型で、高さは十メートル以上はありそうだ。恐らく風力発電用だと思うが、この辺りはそれだけ強風がよく吹く地方なのだろうか。しかし、この白い風車が、いくつもあって、目を引いた。
 鳥取から松江へは一時間半で着いた。まだ、十分、時間がある。ガイドブックを見て、八重垣神社やえがきじんじゃを見てみようと思った。須佐之男命すさのおのみこと八岐大蛇やまたのおろちに襲われそうになった櫛名田比売くしなだひめを助けて契りを結んだところだ。そして、ここに二人の新居を建てたそうである。八重垣とは、八岐大蛇から姫を守るため、何重にも垣を作ったことに由来する。
 須佐之男と櫛名田比売の夫婦を祀っている神社なので、御利益は恋愛、夫婦円満ということになる。この神社は、そのせいか、若い女性の参拝客が多い。神社自体は松江市街から大分離れたところにあって、こじんまりした境内なのだが、何かの雑誌にでも載っていたのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...