4 / 48
一、鮫洲八幡
(四)
しおりを挟む
悟は席を立った。そして一階までエレベータで下りると、通用口から、ビルの外へ出た。もわっとした湿った生暖かい外気が肌を包んだ。
このビルの周辺には公園があるくらいで他に気分転換できそうなところはない。とりあえず、公園に向かった。しかし、公園は交差点のはす向かいにあるため、横断歩道を二度渡らないと行けない。二度目の信号待ちをしているとき、悟は面倒になって、道路を渡らずにそのまま、鮫洲の方角に歩く事にした。行く当てはなかった。とりあえず、旧東海道沿いに連なる鮫洲の商店街に向かった。そこは、小さな個人商店が軒を連ねる文字通り駅前の商店街で、とりたてて気分転換のために時間をつぶせるところはない。悟は、鮫洲駅前に向かいながら、鮫洲から青物横丁の駅前まで散策して終わりにしようかと考えた。ただ、歩いているだけでもなにかしら発見はあるものだ。路傍にさりげなく立っているパネルに付近の歴史や由緒が書いてあったり、路地裏にひっそりと古い寺社仏閣が建っていたりする。
悟は、旧東海道に出たとき、ふと、この付近に神社があることを思い出した。先週、昼食を取った後、この付近を歩いていて見つけたのだ。ネットで調べてみると、鮫洲が漁村だった江戸時代の頃、付近の漁民が漁の安全を祈願するために勧請した八幡神社だそうである。悟は、この神社に寄ってみることにした。
神社は、旧東海道から陸地側に隣接して建っている。参道の入り口は目立たないところにあり、境内もそれほど広くない。ただ、向かって左側に小島が浮かぶ池があったのを覚えていた。池の中の小島には、二つの小さな社が建っていた。しかし、小島にかかる橋の入り口には、フェンスの門塀があり、前回、訪れたときは鍵が閉まっていて入れなかった。そのため、その社がどういう神様を祭っている社なのかはわからず仕舞いだった。その後、もう一回、訪れた事があったが、そのときも扉には鍵が閉まっていた。もしかしたら、祭礼など特別な行事があるときにしか、足を踏み入れる事のできない聖域なのかもしれなかった。
このビルの周辺には公園があるくらいで他に気分転換できそうなところはない。とりあえず、公園に向かった。しかし、公園は交差点のはす向かいにあるため、横断歩道を二度渡らないと行けない。二度目の信号待ちをしているとき、悟は面倒になって、道路を渡らずにそのまま、鮫洲の方角に歩く事にした。行く当てはなかった。とりあえず、旧東海道沿いに連なる鮫洲の商店街に向かった。そこは、小さな個人商店が軒を連ねる文字通り駅前の商店街で、とりたてて気分転換のために時間をつぶせるところはない。悟は、鮫洲駅前に向かいながら、鮫洲から青物横丁の駅前まで散策して終わりにしようかと考えた。ただ、歩いているだけでもなにかしら発見はあるものだ。路傍にさりげなく立っているパネルに付近の歴史や由緒が書いてあったり、路地裏にひっそりと古い寺社仏閣が建っていたりする。
悟は、旧東海道に出たとき、ふと、この付近に神社があることを思い出した。先週、昼食を取った後、この付近を歩いていて見つけたのだ。ネットで調べてみると、鮫洲が漁村だった江戸時代の頃、付近の漁民が漁の安全を祈願するために勧請した八幡神社だそうである。悟は、この神社に寄ってみることにした。
神社は、旧東海道から陸地側に隣接して建っている。参道の入り口は目立たないところにあり、境内もそれほど広くない。ただ、向かって左側に小島が浮かぶ池があったのを覚えていた。池の中の小島には、二つの小さな社が建っていた。しかし、小島にかかる橋の入り口には、フェンスの門塀があり、前回、訪れたときは鍵が閉まっていて入れなかった。そのため、その社がどういう神様を祭っている社なのかはわからず仕舞いだった。その後、もう一回、訪れた事があったが、そのときも扉には鍵が閉まっていた。もしかしたら、祭礼など特別な行事があるときにしか、足を踏み入れる事のできない聖域なのかもしれなかった。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる