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三、同棲
(八)
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しばらくして、山川がやってきて、戸部の遠征で空いている席に腰を下ろした。そして、ビール瓶を手に取ると悟のジョッキに注ぎながら、「どう、調子は?」と聞いてきた。単に会話を始めるきっかけのためだけにかけられたこの言葉に、悟は、俄に作り上げた愛想笑いで応対した。とっさに当たり障りのない応答が思い浮かばなかったのだ。
それから、山川は、一言、二言、悟に声をかけたが、悟は、投げかけられる言葉にあいづちをうつか、短く言葉を返すのみで、それ以上、話題を広げることはしなかった。余計なことを話して揚げ足を取られないよう、必要最小限の返答だけするよう気をつけたのだ。三ヶ月で終わるつきあいだし、日頃、細かい事をうるさく注意されることが多いので、悟は、この人物に好意を抱いてはいなかった。
話しが弾みそうにないのを感じ取った山川は、頃合いを見計らって、向かいの二人の席に移動した。悟は、目の前で歓談している山川らを見ながら、とりあえず愛想笑いを浮かべ、聞いている振りをしていたが、会話の内容は周囲の喧噪でほとんど聞き取れなかった。山川は十分ほどで、悟らのテーブルから去っていった。
山川が去った後、再び、一人ぽつんと取り残される状態に戻った悟は、手元の小皿に盛られた肉じゃがのじゃがいもをつつきながら、ジョッキのビールを一口、二口飲んだ。周りを改めて見回すが、見かけた事はあるが話した事のない人間ばかりだった。名前がわかる者も数人しかいなかった。時間が来るまで、ここで食べたり飲んだりして時間をつぶすしかなさそうだった。
時間が経つにつれ、酒が入ってきたのか、周囲の喧噪もどんどんかまびすしくなってきた。しかし、にぎやかになればなるほど、次第に不愉快になってくる自分に悟は気づいた。こういうことになるのは予想が付いていたのに、何でさっさと帰らなかったんだろうと、激しく後悔して、来ざるをえない雰囲気を作った戸部に腹が立った。当の戸部は、悟らをほったらかしにして、自身の転職活動を展開している。悟は、腹が立つと同時に惨めな気持ちにもなっていた。
それから、山川は、一言、二言、悟に声をかけたが、悟は、投げかけられる言葉にあいづちをうつか、短く言葉を返すのみで、それ以上、話題を広げることはしなかった。余計なことを話して揚げ足を取られないよう、必要最小限の返答だけするよう気をつけたのだ。三ヶ月で終わるつきあいだし、日頃、細かい事をうるさく注意されることが多いので、悟は、この人物に好意を抱いてはいなかった。
話しが弾みそうにないのを感じ取った山川は、頃合いを見計らって、向かいの二人の席に移動した。悟は、目の前で歓談している山川らを見ながら、とりあえず愛想笑いを浮かべ、聞いている振りをしていたが、会話の内容は周囲の喧噪でほとんど聞き取れなかった。山川は十分ほどで、悟らのテーブルから去っていった。
山川が去った後、再び、一人ぽつんと取り残される状態に戻った悟は、手元の小皿に盛られた肉じゃがのじゃがいもをつつきながら、ジョッキのビールを一口、二口飲んだ。周りを改めて見回すが、見かけた事はあるが話した事のない人間ばかりだった。名前がわかる者も数人しかいなかった。時間が来るまで、ここで食べたり飲んだりして時間をつぶすしかなさそうだった。
時間が経つにつれ、酒が入ってきたのか、周囲の喧噪もどんどんかまびすしくなってきた。しかし、にぎやかになればなるほど、次第に不愉快になってくる自分に悟は気づいた。こういうことになるのは予想が付いていたのに、何でさっさと帰らなかったんだろうと、激しく後悔して、来ざるをえない雰囲気を作った戸部に腹が立った。当の戸部は、悟らをほったらかしにして、自身の転職活動を展開している。悟は、腹が立つと同時に惨めな気持ちにもなっていた。
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