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五、修理
(一)
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オフィスに戻ると、壁の時計は午後二時を回っていたが、宮本はPCの画面から、社内のウェブサイトにアクセスし、在庫状況を確認した。問題の機種の基盤は、幸い、在庫がまだ、三つ残っていた。宮本は、その基盤をとりあえず一時持ち出しの状態に変更し、更新ボタンを押した。これで在庫を管理するデータベースに基盤が一つ外部に持ち出されている事が登録されたのだ。そして、課長に、基盤を一つ客先に持っていくことを告げると下の階の倉庫代わりに使われている一角に向かった。
基盤の入った箱を抱えて、肩にプリンターを分解するための工具の入った鞄を提げて、更にもう一方の肩にはノートPCの入った鞄を提げて、宮本は、再び駅前のタクシー乗り場に向かった。両肩に鞄を提げて、更に基盤の入った箱を抱えていたので、歩くのは、結構、しんどかった。
腕時計を見ると、時間は午後三時をちょっと過ぎたくらいだった。これなら、四時前に着きそうだった。
タクシーの中で、宮本は照代の現在に思いを馳せた。自分と同い年だから、もう三十路だ。名字は早川ではなくなっていてもおかしくないはずだが、もらった名刺には昔と同じ名前になっていた。彼女も自分と同じく未だに独身なのだろうか。しかし、女性の場合は結婚して姓が変わっても職場では以前の姓で通すことはよくあるから、名刺の名前だけで即断するのは早計だった。しかし、いきなり引っ越して、あの後、何してたんだろうな、宮本はやはり、そこが気になった。別れたくなった理由も聞いてみたかった。もし、状況が許せば、聞いてみようかと思いながら、そういう風に、すっかり他人になったはずの女性の事にこだわる自分に、またも、自嘲的な苦笑が生じるのを抑える事はできなかった。結局、ビジネスライクに接して、過去の事はおくびにも出さずに、作業が終わったら、すぐに帰社しようと決心した。
タクシーは、JR津田沼駅の駅前を過ぎていた。宮本は、携帯電話を胸ポケットから取り出し、まもなく到着する旨、照代に伝えた。照代は、「わかりました。」とだけ応えて電話を切った。宮本は軽い失望を覚えたが、同時に安心感も覚えて、さっきの決心を更に固めた。
現場に着くと、問題のプリンターの前に向かい、工具の入った鞄を広げ、早速、プリンターの分解に取りかかった。基盤を取り替えるだけだから、手順さえ間違えなければ、そう難しい作業ではなかった。照代は、宮本をフロアに入れると、すぐに自分の席に戻り仕事を続けた。
基盤の入った箱を抱えて、肩にプリンターを分解するための工具の入った鞄を提げて、更にもう一方の肩にはノートPCの入った鞄を提げて、宮本は、再び駅前のタクシー乗り場に向かった。両肩に鞄を提げて、更に基盤の入った箱を抱えていたので、歩くのは、結構、しんどかった。
腕時計を見ると、時間は午後三時をちょっと過ぎたくらいだった。これなら、四時前に着きそうだった。
タクシーの中で、宮本は照代の現在に思いを馳せた。自分と同い年だから、もう三十路だ。名字は早川ではなくなっていてもおかしくないはずだが、もらった名刺には昔と同じ名前になっていた。彼女も自分と同じく未だに独身なのだろうか。しかし、女性の場合は結婚して姓が変わっても職場では以前の姓で通すことはよくあるから、名刺の名前だけで即断するのは早計だった。しかし、いきなり引っ越して、あの後、何してたんだろうな、宮本はやはり、そこが気になった。別れたくなった理由も聞いてみたかった。もし、状況が許せば、聞いてみようかと思いながら、そういう風に、すっかり他人になったはずの女性の事にこだわる自分に、またも、自嘲的な苦笑が生じるのを抑える事はできなかった。結局、ビジネスライクに接して、過去の事はおくびにも出さずに、作業が終わったら、すぐに帰社しようと決心した。
タクシーは、JR津田沼駅の駅前を過ぎていた。宮本は、携帯電話を胸ポケットから取り出し、まもなく到着する旨、照代に伝えた。照代は、「わかりました。」とだけ応えて電話を切った。宮本は軽い失望を覚えたが、同時に安心感も覚えて、さっきの決心を更に固めた。
現場に着くと、問題のプリンターの前に向かい、工具の入った鞄を広げ、早速、プリンターの分解に取りかかった。基盤を取り替えるだけだから、手順さえ間違えなければ、そう難しい作業ではなかった。照代は、宮本をフロアに入れると、すぐに自分の席に戻り仕事を続けた。
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