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二〇〇六年七月六日(木) 合戦前夜
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明日、合戦という事で、軍勢が俺の館に集まった。数にして、三百とか言っていた。これに、三浦の軍勢、大体、二百程度というから、併せて五百、三崎の広平がどれくらい集めたか、予想がつかないが、この兵力で大丈夫かなとちょっと心配。千くらいはほしかったかも。三浦軍は、戦場となる逗子で、背後から襲う手筈になっている。三崎荘は三浦半島の先端で、今の横須賀辺りにあった三浦荘より奥だが、隣接する荘園なので、広平は三浦軍の動向については、もう感づいているかも知れない。
ここから、逗子までは、すこし距離があるので、巳の刻(午前十時)には館を出発。ちんたら、ちんたら、進んで、二刻(四時間)くらいで鎌倉の義朝の屋敷に到着。そこで、しばし休憩を取らせてもらい、噂の上総曹司殿に挨拶をした。ついでなので、かねて、作らせておいた名簿を奉呈し、正式に主従関係を締結。広村さんの助言もあって、早川にも了解を取ったところ、歓迎のようだったので、今回、源氏の郎等となるに及んだわけだ。
渋谷荘にもちょっかいをだしてくる油断ならない相手だが、源氏の御曹司だし、この時代の相模で在地領主やっていく上で、鎌倉の義朝と緊密にしておくことは、悪くないだろう。とりあえず、平治の乱で惨敗するのは十年以上後の事だしね。
鎌倉の館では、軽い馳走が出て、歓待された。明朝、合戦という事で、酒は少しだけに遠慮したが、正面に座る上総曹司は、予想外に若かった。周りに聞いてみると今年、二十一だそうだ。都で生まれた後、東国に送られて、上総の有力豪族、上総介氏のもとで育てられ、数年前に鎌倉に移ってきたそうだ。もともと、鎌倉は、頼義が平直方より、相伝して以来の地で河内源氏には縁の深い土地。ここを拠点に三浦一族、和田や中村も三浦一族らしいが、味方に引き入れ、相模を中心に東国の武者達を配下に治めていこうということらしい。しかし、これだけの若い御曹司なんだから、実態は、上総介氏や三浦氏などの在地豪族側が、名門の末裔の若君を担ぎ上げて、自分たちの勢力を確保しようということなんだろう。つまり、義朝は、彼ら在地側の担ぎ上げた御輿に過ぎないというわけだ。義朝の方もただの御輿では満足するような人物でないのか、いろいろと乱行を引き起こすことになるのだが。
鎌倉には、鎌倉権五郎景正の子孫が鎌倉郡、高座郡、三浦郡に大庭、長江、香川、梶原などがいるらしいが、彼らは、まだ、義朝の配下ではないらしい。一方、武蔵には秩父氏という大豪族がいて、威を振るっているわけだし、まだまだ、義朝の影響力も限定されたものなのだろう。しかし、水の尾の帝(清和天皇のことね)以来の皇統の血を引く武門の名家で、かの八幡太郎義家の子孫で、東国には奥州十二年合戦で、その頼義、義家親子と死地をくぐり抜けてきた武者の子孫が多くいる土地柄だから、源氏の血筋というブランドは相当のネームバリューがあるにちがいない。
そういう背景を考えると義朝の従者というのも、まんざら悪い選択ではないはずだ。とりあえず、今回の合戦で背後を固める上で、上総曹司の協力はあった方がいい。合戦の最中に後ろを攻められたら、一巻の終わりだからね。
結局、俺は、義朝の鎌倉の館で泊まらせてもらう事になった。他の将兵は、鎌倉郷内の民家などに三々五々宿営することになったようだ。
ここから、逗子までは、すこし距離があるので、巳の刻(午前十時)には館を出発。ちんたら、ちんたら、進んで、二刻(四時間)くらいで鎌倉の義朝の屋敷に到着。そこで、しばし休憩を取らせてもらい、噂の上総曹司殿に挨拶をした。ついでなので、かねて、作らせておいた名簿を奉呈し、正式に主従関係を締結。広村さんの助言もあって、早川にも了解を取ったところ、歓迎のようだったので、今回、源氏の郎等となるに及んだわけだ。
渋谷荘にもちょっかいをだしてくる油断ならない相手だが、源氏の御曹司だし、この時代の相模で在地領主やっていく上で、鎌倉の義朝と緊密にしておくことは、悪くないだろう。とりあえず、平治の乱で惨敗するのは十年以上後の事だしね。
鎌倉の館では、軽い馳走が出て、歓待された。明朝、合戦という事で、酒は少しだけに遠慮したが、正面に座る上総曹司は、予想外に若かった。周りに聞いてみると今年、二十一だそうだ。都で生まれた後、東国に送られて、上総の有力豪族、上総介氏のもとで育てられ、数年前に鎌倉に移ってきたそうだ。もともと、鎌倉は、頼義が平直方より、相伝して以来の地で河内源氏には縁の深い土地。ここを拠点に三浦一族、和田や中村も三浦一族らしいが、味方に引き入れ、相模を中心に東国の武者達を配下に治めていこうということらしい。しかし、これだけの若い御曹司なんだから、実態は、上総介氏や三浦氏などの在地豪族側が、名門の末裔の若君を担ぎ上げて、自分たちの勢力を確保しようということなんだろう。つまり、義朝は、彼ら在地側の担ぎ上げた御輿に過ぎないというわけだ。義朝の方もただの御輿では満足するような人物でないのか、いろいろと乱行を引き起こすことになるのだが。
鎌倉には、鎌倉権五郎景正の子孫が鎌倉郡、高座郡、三浦郡に大庭、長江、香川、梶原などがいるらしいが、彼らは、まだ、義朝の配下ではないらしい。一方、武蔵には秩父氏という大豪族がいて、威を振るっているわけだし、まだまだ、義朝の影響力も限定されたものなのだろう。しかし、水の尾の帝(清和天皇のことね)以来の皇統の血を引く武門の名家で、かの八幡太郎義家の子孫で、東国には奥州十二年合戦で、その頼義、義家親子と死地をくぐり抜けてきた武者の子孫が多くいる土地柄だから、源氏の血筋というブランドは相当のネームバリューがあるにちがいない。
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