戦国城廻り

斐川 帙

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一、山中に眠る城跡

(十五)

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 理不尽な脅迫にかちんときた私は、「知らねえよ。」とつっけんどんに応じると、男は、いきなり、槍の柄で私の首の付け根辺りを背後から殴りつけた。激痛に、その場にうずくまった私に、なおも、男は槍の穂先をつきつけ、「言わないか!言わないと命はないぞ!」と脅してきた。うずくまった私の目の前に、銀色に光る槍の穂先が突き出されていた。
 とんでもないやつらに絡まれたと思った。こいつら本気で私を殺すつもりなのではなかろうかと感じた。
「知らないものは知らない。こんなもの、見たこともない。何で、俺が知ってるんだ?知ってるわけないだろ。」
 私は、つい、投げやりに答えてしまったが、これが、更に男たちの機嫌を損ねたようだった。
「なんだと、その態度は?」と言って、甲冑かっちゅう姿の武者が、私を思いっきり、足蹴あしげにした。私は、わき腹を蹴り上げられて吹っ飛んだ。腹部に走る鈍痛どんつうに声にならないうめきをあげながら、地面をのた打ち回っていた。
 くそ野郎、こいつら、いい加減にしろ。ぶち殺してやる。
 痛みと、それによって惹起じゃっきされた憎悪と怒りで、殺意を覚えた。私は、しかし、何もすることはできなかった。せいぜい、地面を這いずり回って逃げ回るのがやっとだった。
「奥方様、こいつは、何も知らないようです。他を探しましょう。」
 女の反応は見えなかったが、沈黙の間隔から、うなずいたように思えた。男たちと女の一行は、去っていったようだった。
 私は、車道の脇にうずくまっていた。すぐそばを乗用車が過ぎていった。
 私は、わき腹を手で押さえながら、立ち上がると、周りを見回した。まるでさっきのことはなかったことのように温和な時間がゆったりと流れる田舎の風景が広がっていた。
 わき腹を手で押さえ、足を引きずるようにして、歩いていった私は、やっとの思いで、吾野駅の駅舎に到着し、立て札のようにつったっているスイカの自動改札機にカードをかざして、中に入った。
 早く、家に帰ろう。
 それだけだった。

 しかし、事はこれだけでは済まなかった。
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