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第7話「順風満帆な二人と、忍び寄る暗雲」
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私がプロジェクトで充実した日々を送る一方、高坂翔太くんと姫川莉奈ちゃんは、順風満帆に見えた。
二人は社内でも交際を隠すことなく、いつも一緒に行動していた。お昼休みには仲良くランチに出かけ、終業後には腕を組んでデートへ向かう。その姿は、いかにも幸せそうなカップルだ。
莉奈ちゃんは、翔太くんの隣でいつも完璧な笑顔を振りまいている。
「翔太さーん、この書類、お願いできますかぁ? 莉奈、一人じゃ分からなくってぇ」
「もー、翔太さんたら、すごーい! こんな難しい仕事、すぐに終わらせちゃうなんて、天才ですねぇ♡」
彼女の猫なで声と、わざとらしい賞賛。以前の私なら、それを見て胸を痛めていただろう。でも、今の私にはどこか滑稽にさえ見えた。
翔太くんは莉奈ちゃんに褒められるたびに、まんざらでもない顔で鼻の下を伸ばしている。彼は、ああやって分かりやすく自分を立ててくれる女性が好きなのだ。
(私には、できなかったことだな)
私はお世辞を言ったり、大げさに相手を褒めたりするのが苦手だった。翔太くんの仕事ぶりを尊敬してはいたが、それをうまく言葉で伝えることができなかった。だから彼は私と一緒にいても、満たされなかったのかもしれない。
(でも、それでいい。私と彼は合わなかった。ただ、それだけのこと)
今はもう、そう思えるようになっていた。
私と翔太くんたちが担当していた業務は、私がプロジェクトチームに異動したことで、後任の担当者が決まるまで二人が引き継ぐことになっていた。特に、私が長年かけて作成し改良を重ねてきた顧客管理データベースの運用は、その業務の根幹をなす重要な仕事だった。
私は異動する際、データベースの詳しい操作方法や注意点をまとめた分厚いマニュアルを翔太くんに渡しておいた。
「これ、読んでおいてください。特に、データのバックアップは毎日必ず取るようにしてくださいね」
そう念を押した私に、彼は面倒くさそうに言った。
「はいはい、分かってるよ。お前がいなくても、俺一人で十分できるっつーの」
その言葉に一抹の不安を覚えたが、それ以上は何も言えなかった。
案の定、私の不安は的中することになる。
ある日、営業三課の課長が血相を変えてプロジェクトルームに駆け込んできた。
「白石さん! 大変だ! 顧客管理データベースの、ここ一ヶ月分のデータが全部消えてしまった!」
「ええっ!?」
その言葉に、私は耳を疑った。
あのデータベースは、営業三課の生命線だ。顧客情報はもちろん、過去の取引履歴や商談の進捗状況など、全ての情報がそこに詰まっている。それが消えたとなれば、業務が完全にストップしてしまう。
「バックアップは……!? 毎日、取るように言ってあったはずですが!」
「それが、ここ一ヶ月、一度も取られていなかったようなんだ……。高坂君に確認したら、『白石さんがやっていたやり方は非効率だから、もっと良い方法を考えていた』なんて言うんだが……」
課長は頭を抱えてうなだれている。
(なんてことを……!)
愕然とした。翔太くんは私のやり方を否定したかっただけなのだ。私がいなくても自分の方がうまくやれると証明したかった。その見栄とプライドが、会社に多大な損害を与える最悪の事態を引き起こしてしまった。
「とにかく、急いでデータの復旧をしないと……!」
私はすぐに自分のデスクに戻り、データベースの復旧作業に取り掛かった。幸い、私が個人的に取っていた一ヶ月前のバックアップが残っていたため、それを元に他の書類と突き合わせながら地道にデータを手入力で復元していくしかない。
それは、途方もなく時間のかかる根気のいる作業だった。
プロジェクトの仕事も中断するわけにはいかない。私はその日から連日深夜まで残業し、データベースの復旧作業に追われることになった。
「すまない、白石さん……。君にばかり、負担をかけてしまって……」
課長が申し訳なさそうに頭を下げる。
「いえ、元は私が担当していた業務ですから。最後まで責任は取らせてください」
私がそう言うと、隣で話を聞いていた莉奈ちゃんが、わざとらしく大きな声で言った。
「もー、大変そーですねぇ、紬せんぱい。でも、翔太さんも悪気があってやったわけじゃないんですよぉ? ちょっと、やり方を変えようとしただけなんですぅ。先輩のマニュアルが、分かりにくかったんじゃないですかぁ?」
その言葉に、カチンときた。
(私の、せい……?)
翔太くんのミスを、私のマニュアルのせいにするなんて、あまりにも身勝手だ。
私が何か言い返そうとする前に、冷たく静かな声がフロアに響いた。
「……それは、どういう意味かな。姫川さん」
声の主は、いつの間にかそこに立っていた蓮さんだった。
彼の表情は、見たこともないほど冷え切っていた。その瞳は凍てつくような光を宿し、まっすぐに莉奈ちゃんを射抜いている。
「い、一条……専務……」
莉奈ちゃんは怯えたように顔を青くした。
「君は今、高坂君の重大な過失を、白石さんの責任であるかのように言った。違うかな?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
「言い訳は聞きたくない。自分のミスの責任も取れず、他人に擦り付けようとする。そんな人間がこの会社に必要だと思うかね?」
蓮さんの言葉は、氷のように鋭く容赦がなかった。
フロア全体が、水を打ったように静まり返る。
翔太くんは顔面蒼白で立ち尽くしていた。
蓮さんは、震える莉奈ちゃんから私へと視線を移すと、今度は一転して優しい声で言った。
「白石さん。この件は、もう君が関わる必要はない。営業三課の問題は、営業三課で解決させる。君は、プロジェクトの仕事に集中してくれ」
「で、でも……」
「これは、総責任者としての命令だ」
彼の有無を言わせない口調。その目には、「君にこれ以上、辛い思いはさせない」という強い意志がこもっているように見えた。
私は、ただ「……分かりました」と答えるしかなかった。
蓮さんは最後に翔太くんと莉奈ちゃんを冷たく一瞥すると、静かにその場を立ち去った。
残された二人を、周囲の冷ややかな視線が突き刺す。
彼らの順風満帆に見えた日々に、確実に暗い雲が垂れ込めてきている。
それは、これから始まる嵐のほんの序章に過ぎなかった。
二人は社内でも交際を隠すことなく、いつも一緒に行動していた。お昼休みには仲良くランチに出かけ、終業後には腕を組んでデートへ向かう。その姿は、いかにも幸せそうなカップルだ。
莉奈ちゃんは、翔太くんの隣でいつも完璧な笑顔を振りまいている。
「翔太さーん、この書類、お願いできますかぁ? 莉奈、一人じゃ分からなくってぇ」
「もー、翔太さんたら、すごーい! こんな難しい仕事、すぐに終わらせちゃうなんて、天才ですねぇ♡」
彼女の猫なで声と、わざとらしい賞賛。以前の私なら、それを見て胸を痛めていただろう。でも、今の私にはどこか滑稽にさえ見えた。
翔太くんは莉奈ちゃんに褒められるたびに、まんざらでもない顔で鼻の下を伸ばしている。彼は、ああやって分かりやすく自分を立ててくれる女性が好きなのだ。
(私には、できなかったことだな)
私はお世辞を言ったり、大げさに相手を褒めたりするのが苦手だった。翔太くんの仕事ぶりを尊敬してはいたが、それをうまく言葉で伝えることができなかった。だから彼は私と一緒にいても、満たされなかったのかもしれない。
(でも、それでいい。私と彼は合わなかった。ただ、それだけのこと)
今はもう、そう思えるようになっていた。
私と翔太くんたちが担当していた業務は、私がプロジェクトチームに異動したことで、後任の担当者が決まるまで二人が引き継ぐことになっていた。特に、私が長年かけて作成し改良を重ねてきた顧客管理データベースの運用は、その業務の根幹をなす重要な仕事だった。
私は異動する際、データベースの詳しい操作方法や注意点をまとめた分厚いマニュアルを翔太くんに渡しておいた。
「これ、読んでおいてください。特に、データのバックアップは毎日必ず取るようにしてくださいね」
そう念を押した私に、彼は面倒くさそうに言った。
「はいはい、分かってるよ。お前がいなくても、俺一人で十分できるっつーの」
その言葉に一抹の不安を覚えたが、それ以上は何も言えなかった。
案の定、私の不安は的中することになる。
ある日、営業三課の課長が血相を変えてプロジェクトルームに駆け込んできた。
「白石さん! 大変だ! 顧客管理データベースの、ここ一ヶ月分のデータが全部消えてしまった!」
「ええっ!?」
その言葉に、私は耳を疑った。
あのデータベースは、営業三課の生命線だ。顧客情報はもちろん、過去の取引履歴や商談の進捗状況など、全ての情報がそこに詰まっている。それが消えたとなれば、業務が完全にストップしてしまう。
「バックアップは……!? 毎日、取るように言ってあったはずですが!」
「それが、ここ一ヶ月、一度も取られていなかったようなんだ……。高坂君に確認したら、『白石さんがやっていたやり方は非効率だから、もっと良い方法を考えていた』なんて言うんだが……」
課長は頭を抱えてうなだれている。
(なんてことを……!)
愕然とした。翔太くんは私のやり方を否定したかっただけなのだ。私がいなくても自分の方がうまくやれると証明したかった。その見栄とプライドが、会社に多大な損害を与える最悪の事態を引き起こしてしまった。
「とにかく、急いでデータの復旧をしないと……!」
私はすぐに自分のデスクに戻り、データベースの復旧作業に取り掛かった。幸い、私が個人的に取っていた一ヶ月前のバックアップが残っていたため、それを元に他の書類と突き合わせながら地道にデータを手入力で復元していくしかない。
それは、途方もなく時間のかかる根気のいる作業だった。
プロジェクトの仕事も中断するわけにはいかない。私はその日から連日深夜まで残業し、データベースの復旧作業に追われることになった。
「すまない、白石さん……。君にばかり、負担をかけてしまって……」
課長が申し訳なさそうに頭を下げる。
「いえ、元は私が担当していた業務ですから。最後まで責任は取らせてください」
私がそう言うと、隣で話を聞いていた莉奈ちゃんが、わざとらしく大きな声で言った。
「もー、大変そーですねぇ、紬せんぱい。でも、翔太さんも悪気があってやったわけじゃないんですよぉ? ちょっと、やり方を変えようとしただけなんですぅ。先輩のマニュアルが、分かりにくかったんじゃないですかぁ?」
その言葉に、カチンときた。
(私の、せい……?)
翔太くんのミスを、私のマニュアルのせいにするなんて、あまりにも身勝手だ。
私が何か言い返そうとする前に、冷たく静かな声がフロアに響いた。
「……それは、どういう意味かな。姫川さん」
声の主は、いつの間にかそこに立っていた蓮さんだった。
彼の表情は、見たこともないほど冷え切っていた。その瞳は凍てつくような光を宿し、まっすぐに莉奈ちゃんを射抜いている。
「い、一条……専務……」
莉奈ちゃんは怯えたように顔を青くした。
「君は今、高坂君の重大な過失を、白石さんの責任であるかのように言った。違うかな?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
「言い訳は聞きたくない。自分のミスの責任も取れず、他人に擦り付けようとする。そんな人間がこの会社に必要だと思うかね?」
蓮さんの言葉は、氷のように鋭く容赦がなかった。
フロア全体が、水を打ったように静まり返る。
翔太くんは顔面蒼白で立ち尽くしていた。
蓮さんは、震える莉奈ちゃんから私へと視線を移すと、今度は一転して優しい声で言った。
「白石さん。この件は、もう君が関わる必要はない。営業三課の問題は、営業三課で解決させる。君は、プロジェクトの仕事に集中してくれ」
「で、でも……」
「これは、総責任者としての命令だ」
彼の有無を言わせない口調。その目には、「君にこれ以上、辛い思いはさせない」という強い意志がこもっているように見えた。
私は、ただ「……分かりました」と答えるしかなかった。
蓮さんは最後に翔太くんと莉奈ちゃんを冷たく一瞥すると、静かにその場を立ち去った。
残された二人を、周囲の冷ややかな視線が突き刺す。
彼らの順風満帆に見えた日々に、確実に暗い雲が垂れ込めてきている。
それは、これから始まる嵐のほんの序章に過ぎなかった。
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