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第1話「悪役令嬢、空気を目指すことを決意する」
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ある日の残業帰り、私は会社の階段から盛大に足を踏み外した。視界がぐるりと反転し、叩きつけられる衝撃に備えてぎゅっと目を閉じる。
次に目を開けた時、視界に広がっていたのは、見慣れた薄暗い非常階段ではなく、天蓋付きのベッドとキラキラ輝くシャンデリアだった。
『え、どこ……? 天国? それとも病院?』
状況がまったく飲み込めない。混乱する頭でゆっくりと体を起こすと、ふわりと高級そうな花の香りがした。シルクの手触りが滑らかな寝間着に、ふさふさの絨毯。窓の外には手入れの行き届いた広大な庭園が広がっている。どう見ても、しがない会社員の私の部屋ではない。
呆然としていると、鏡に映った自分の姿に息をのんだ。艶やかなプラチナブロンドの髪、気高く輝く紫色の瞳、人形のように整った顔立ち。
この顔、この髪の色、この瞳の色。見覚えがありすぎる。
「うそでしょ……」
これは、私が唯一ハマった乙女ゲーム『クリムゾン・ステージ』の悪役令嬢、公条院玲奈そのものではないか。
記憶が洪水のように押し寄せる。ここは現代日本が舞台でありながら、旧華族や巨大財閥が今なお絶大な力を持つ、超格差社会。そして私は、国内最大コンツェルンの御曹司、一条院蓮の婚約者である公条院家の令嬢、玲奈。
最悪だ。最悪すぎる。
公条院玲奈は、ゲームのヒロインである桜井ひかりをいじめ抜き、その罪を婚約者の蓮に断罪され、卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられる。それだけじゃない。公条院家は没落し、玲奈自身は海外へ追放されるという、絵に描いたような破滅ルートをたどるのだ。
『冗談じゃない! なんで私がそんな目に!』
私は小鳥遊栞。三十路手前のしがない会社員だった。日々の癒やしはコンビニスイーツと、たまの贅沢で買うデパ地下のケーキ。そんな私が、こんなゴージャスな世界で、しかも破滅確定の悪役令嬢になるなんて。神様はどれだけ私に厳しい試練を与えるつもりなのだろう。
いや、嘆いていても始まらない。ゲームのストーリーが始まるのは、高等科二年に進級する春。そして、卒業パーティーは一年後。まだ時間はある。
破滅フラグは、私がヒロインの桜井ひかりに嫉妬し、嫌がらせをすることから始まる。ならば、答えは簡単だ。
『関わらない。絶対に』
ヒロインにも、攻略対象のイケメンたちにも、誰にも関わらない。目立たず、騒がず、空気のように一年間をやり過ごす。そうすれば、破滅フラグなんて立つはずがない。うん、完璧な計画だ。
私は一人静かにガッツポーズをした。
そして新学期初日。私は決意を新たに、学園の門をくぐった。周囲の生徒たちが「公条院様だわ」「お美しい……」とひそひそ話しているのが聞こえるが、気にしない。私は空気。私は壁。
教室に入ると、すでにほとんどの生徒が席についていた。自分の席は窓際の後ろから二番目。よし、ここなら目立たない。
私が席につくと、すぐに担任が教室に入ってきた。
「新学期おめでとう。今年は新しい仲間が増える。特待生の桜井ひかりさんだ」
来た。ヒロインの登場だ。
教室のドアが開き、小柄でふわふわした栗色の髪の少女が入ってくる。大きな瞳を不安げに潤ませて、きゅっと唇を結ぶ姿は、庇護欲をかき立てる小動物のようだ。男子生徒から「おぉ……」という感嘆の声が漏れる。うん、可愛い。さすがはヒロイン。
でも、私は知っている。その可愛い顔の下に、したたかで計算高い本性が隠されていることを。
彼女は深々とお辞儀をして、か細い声で自己紹介を始めた。
「桜井ひかりです。至らない点ばかりですが、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」
その言葉に、教室のあちこちから温かい拍手が送られる。もちろん、私は拍手もせず、無表情で窓の外を眺めていた。関わらない。それが私の鉄則だ。
ひかりの席は、私の斜め前になった。最悪の配置だ。いや、でもこれも試練。私は空気。
授業が始まり、私はひたすら気配を消すことに専念した。休み時間も誰とも話さず、静かに読書をする。そんな私の努力の甲斐あってか、一日目は何事もなく終わるかのように思えた。
最後の授業が終わり、帰りの支度をしていた時のことだ。ゲームの知識が、ふと頭をよぎった。
『確か、最初のイベントは……教科書隠し』
ゲームでは、玲奈がひかりの教科書を隠し、彼女を困らせる。でも、それは表向きの話。実は、ひかりが自分で教科書を隠し、「公条院様にやられたのかもしれない」と涙ながらに攻略対象に訴えることで、彼らの同情を引くという自作自演イベントなのだ。
ちらりとひかりの方を見ると、彼女は数人の女子生徒と談笑しながらも、視線は自分の机の引き出しに注がれている。タイミングを計っているようだ。
『やられる前に、動く!』
私はすぐに行動に移した。ひかりが友人たちとの会話に夢中になっている一瞬の隙をつき、ごく自然な動きで彼女の机に近づく。そして、誰にも気づかれないように、彼女の引き出しから歴史の教科書をそっと抜き取り、自分のカバンに滑り込ませた。
よし、これで彼女は自作自演ができない。後でこっそり図書室の返却ボックスにでも入れておけば完璧だ。
我ながら見事な犯行に満足し、私は教室を出ようとした。その時、後ろから声がかかった。
「公条院様、お待ちください」
振り返ると、そこにいたのは桜井ひかりだった。彼女は不安そうな顔で私を見上げている。
「あの、私の歴史の教科書、知りませんか……?」
まさか、もう気づいたのか。私の完璧な計画が。内心で冷や汗が流れる。
しかし、私は悪役令嬢、公条院玲奈。動揺など見せるわけにはいかない。私は優雅に微笑み、扇子で口元を隠した。
「さあ? 存じ上げませんわ。ご自分の持ち物の管理もできないのかしら?」
ゲームの玲奈ならこう言うだろう。完璧な悪役令嬢ムーブだ。
すると、ひかりは悲しそうに顔を伏せた。だが、その瞳の奥が一瞬、鋭く光ったのを私は見逃さなかった。
やれやれ、初日から面倒なことになった。そう思いながら教室を後にしようとした、その時。
「さすがですわ、公条院様!」
「ええ、桜井さんのような浅はかな考え、お見通しだったのですね!」
取り巻き令嬢たちが、なぜか目を輝かせて私に駆け寄ってきた。
『……は?』
どういうこと?
彼女たちの話を要約すると、こうだ。ひかりが教科書を自分で隠して玲奈のせいにしようとしていることに、彼女たちは気づいていた。そして、私が先回りしてその教科書を確保し、ひかりの自作自演を防いだのだと、そう解釈したらしい。
『いやいやいや、違うから! 私はただ自分が濡れ衣を着せられないようにしただけで!』
しかし、私の内心の叫びは誰にも届かない。
「公条院様こそ、我々のリーダーにふさわしい!」と盛り上がる取り巻きたち。遠くで悔しそうにこちらをにらむひかり。
そして、教室の入り口では、私の婚約者である一条院蓮が、冷たい目つきで私を見ていた。
『……あれ? これって、もしかして……』
破滅フラグ、回避するどころか、とんでもない方向に舵を切ってませんかね?
私の平穏な学園生活は、どうやら初日にして崩れ去ったらしい。頭が痛くなってきた。
そっとため息をつくと、いつの間にか背後に控えていた護衛の黒瀬隼人が、低い声でつぶやいた。
「お疲れですか、お嬢様。温かいハーブティーをご用意いたしましょう」
無表情な彼の手には、いつの間にか用意したのか、私の好きなカモミールティーの入った水筒が握られていた。
次に目を開けた時、視界に広がっていたのは、見慣れた薄暗い非常階段ではなく、天蓋付きのベッドとキラキラ輝くシャンデリアだった。
『え、どこ……? 天国? それとも病院?』
状況がまったく飲み込めない。混乱する頭でゆっくりと体を起こすと、ふわりと高級そうな花の香りがした。シルクの手触りが滑らかな寝間着に、ふさふさの絨毯。窓の外には手入れの行き届いた広大な庭園が広がっている。どう見ても、しがない会社員の私の部屋ではない。
呆然としていると、鏡に映った自分の姿に息をのんだ。艶やかなプラチナブロンドの髪、気高く輝く紫色の瞳、人形のように整った顔立ち。
この顔、この髪の色、この瞳の色。見覚えがありすぎる。
「うそでしょ……」
これは、私が唯一ハマった乙女ゲーム『クリムゾン・ステージ』の悪役令嬢、公条院玲奈そのものではないか。
記憶が洪水のように押し寄せる。ここは現代日本が舞台でありながら、旧華族や巨大財閥が今なお絶大な力を持つ、超格差社会。そして私は、国内最大コンツェルンの御曹司、一条院蓮の婚約者である公条院家の令嬢、玲奈。
最悪だ。最悪すぎる。
公条院玲奈は、ゲームのヒロインである桜井ひかりをいじめ抜き、その罪を婚約者の蓮に断罪され、卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられる。それだけじゃない。公条院家は没落し、玲奈自身は海外へ追放されるという、絵に描いたような破滅ルートをたどるのだ。
『冗談じゃない! なんで私がそんな目に!』
私は小鳥遊栞。三十路手前のしがない会社員だった。日々の癒やしはコンビニスイーツと、たまの贅沢で買うデパ地下のケーキ。そんな私が、こんなゴージャスな世界で、しかも破滅確定の悪役令嬢になるなんて。神様はどれだけ私に厳しい試練を与えるつもりなのだろう。
いや、嘆いていても始まらない。ゲームのストーリーが始まるのは、高等科二年に進級する春。そして、卒業パーティーは一年後。まだ時間はある。
破滅フラグは、私がヒロインの桜井ひかりに嫉妬し、嫌がらせをすることから始まる。ならば、答えは簡単だ。
『関わらない。絶対に』
ヒロインにも、攻略対象のイケメンたちにも、誰にも関わらない。目立たず、騒がず、空気のように一年間をやり過ごす。そうすれば、破滅フラグなんて立つはずがない。うん、完璧な計画だ。
私は一人静かにガッツポーズをした。
そして新学期初日。私は決意を新たに、学園の門をくぐった。周囲の生徒たちが「公条院様だわ」「お美しい……」とひそひそ話しているのが聞こえるが、気にしない。私は空気。私は壁。
教室に入ると、すでにほとんどの生徒が席についていた。自分の席は窓際の後ろから二番目。よし、ここなら目立たない。
私が席につくと、すぐに担任が教室に入ってきた。
「新学期おめでとう。今年は新しい仲間が増える。特待生の桜井ひかりさんだ」
来た。ヒロインの登場だ。
教室のドアが開き、小柄でふわふわした栗色の髪の少女が入ってくる。大きな瞳を不安げに潤ませて、きゅっと唇を結ぶ姿は、庇護欲をかき立てる小動物のようだ。男子生徒から「おぉ……」という感嘆の声が漏れる。うん、可愛い。さすがはヒロイン。
でも、私は知っている。その可愛い顔の下に、したたかで計算高い本性が隠されていることを。
彼女は深々とお辞儀をして、か細い声で自己紹介を始めた。
「桜井ひかりです。至らない点ばかりですが、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」
その言葉に、教室のあちこちから温かい拍手が送られる。もちろん、私は拍手もせず、無表情で窓の外を眺めていた。関わらない。それが私の鉄則だ。
ひかりの席は、私の斜め前になった。最悪の配置だ。いや、でもこれも試練。私は空気。
授業が始まり、私はひたすら気配を消すことに専念した。休み時間も誰とも話さず、静かに読書をする。そんな私の努力の甲斐あってか、一日目は何事もなく終わるかのように思えた。
最後の授業が終わり、帰りの支度をしていた時のことだ。ゲームの知識が、ふと頭をよぎった。
『確か、最初のイベントは……教科書隠し』
ゲームでは、玲奈がひかりの教科書を隠し、彼女を困らせる。でも、それは表向きの話。実は、ひかりが自分で教科書を隠し、「公条院様にやられたのかもしれない」と涙ながらに攻略対象に訴えることで、彼らの同情を引くという自作自演イベントなのだ。
ちらりとひかりの方を見ると、彼女は数人の女子生徒と談笑しながらも、視線は自分の机の引き出しに注がれている。タイミングを計っているようだ。
『やられる前に、動く!』
私はすぐに行動に移した。ひかりが友人たちとの会話に夢中になっている一瞬の隙をつき、ごく自然な動きで彼女の机に近づく。そして、誰にも気づかれないように、彼女の引き出しから歴史の教科書をそっと抜き取り、自分のカバンに滑り込ませた。
よし、これで彼女は自作自演ができない。後でこっそり図書室の返却ボックスにでも入れておけば完璧だ。
我ながら見事な犯行に満足し、私は教室を出ようとした。その時、後ろから声がかかった。
「公条院様、お待ちください」
振り返ると、そこにいたのは桜井ひかりだった。彼女は不安そうな顔で私を見上げている。
「あの、私の歴史の教科書、知りませんか……?」
まさか、もう気づいたのか。私の完璧な計画が。内心で冷や汗が流れる。
しかし、私は悪役令嬢、公条院玲奈。動揺など見せるわけにはいかない。私は優雅に微笑み、扇子で口元を隠した。
「さあ? 存じ上げませんわ。ご自分の持ち物の管理もできないのかしら?」
ゲームの玲奈ならこう言うだろう。完璧な悪役令嬢ムーブだ。
すると、ひかりは悲しそうに顔を伏せた。だが、その瞳の奥が一瞬、鋭く光ったのを私は見逃さなかった。
やれやれ、初日から面倒なことになった。そう思いながら教室を後にしようとした、その時。
「さすがですわ、公条院様!」
「ええ、桜井さんのような浅はかな考え、お見通しだったのですね!」
取り巻き令嬢たちが、なぜか目を輝かせて私に駆け寄ってきた。
『……は?』
どういうこと?
彼女たちの話を要約すると、こうだ。ひかりが教科書を自分で隠して玲奈のせいにしようとしていることに、彼女たちは気づいていた。そして、私が先回りしてその教科書を確保し、ひかりの自作自演を防いだのだと、そう解釈したらしい。
『いやいやいや、違うから! 私はただ自分が濡れ衣を着せられないようにしただけで!』
しかし、私の内心の叫びは誰にも届かない。
「公条院様こそ、我々のリーダーにふさわしい!」と盛り上がる取り巻きたち。遠くで悔しそうにこちらをにらむひかり。
そして、教室の入り口では、私の婚約者である一条院蓮が、冷たい目つきで私を見ていた。
『……あれ? これって、もしかして……』
破滅フラグ、回避するどころか、とんでもない方向に舵を切ってませんかね?
私の平穏な学園生活は、どうやら初日にして崩れ去ったらしい。頭が痛くなってきた。
そっとため息をつくと、いつの間にか背後に控えていた護衛の黒瀬隼人が、低い声でつぶやいた。
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