5 / 12
4.大変です
しおりを挟む
夜も更け、街の賑やかな声も剣と剣がぶつかり合う音もなく静寂に包まれた頃。
オレはベッドの上でバルトから借りた本を読んでいた。
魔法陣はやはり、タチの悪いものだった。
相手が愛していないのに何度も体を触ると呪いの一部が発動すること。
呪いの一部が発動するとかかっている者はその間の記憶はない。
呪いの解除は術者が死んでも解呪はされない。解呪するには相手を殺すか愛されるか。
『……最悪な呪いだな」
結局、呪いの一部が発動してしまえばユーリのようにただ求めるだけの獣のようになってしまう。自分の知らないところで相手は思いを強要されてしまう。
それで嫌われてしまえば、もう終わりだ。
「まぁ、痛くなかったからオレは許すけど」
首はとても痛かったが。
ガタッ、と窓ガラスが揺れた気がした。
また魔物が出現し、夜間見回り団員が魔法でも打ったのだろうか。
外を見ると大量の何かがこちら向かっているのが見えた。
警報も遠くから聞こえてきた。門の近くまで魔物が来てしまっていることを知らせていた。
いくら領土を囲むように高い塀が囲っていても門を破られてしまえばたまったもんじゃない。
剣を持ち、部屋を急いで出た。
前世のこの時期はゴブリンの巣ができ、散々な目にあったのを思い出した。
あの時は三日三晩やって来て、怪我人はいなかったものの体力的に大変だった。
「アルト団長、ゴブリンが大量に」
団員の1人が報告をしに来てくれる。ユーリが来ないということは、もう戦いに出ているのだろう。
「次から次へと……ふざけやがって!」
オレは2階の渡り廊下から飛び降り、ゴブリンが来ているであろう門の方まで走った。
門の前に行くと大量のゴブリンが団員達と戦っていた。
そしてその中にもユーリの姿もあった。
「悪い、遅くなった!」
オレは魔法や剣を使いながらゴブリンを次々と薙ぎ倒していく。
「あぎゃぎゃぎゃ!」
襲ってくるゴブリンの首を3体同時に刎ねた。
「団長!」
口々に喜びの声が上がった。オレが来たことで士気が上がった隊はあっという間に倒して行った。
朝日が昇る前に終わった。
前の時より早い。前はもっと時間がかかっていた気がする。それもこれもユーリが早く門の前に着いていたからだろう。
「アルト様、巣があるかもしれません」
「……確かに。まずは他の者達を休ませよう。ユーリは少し付き合ってくれるか?」
「はい」
オレはユーリを連れて高台に移動する。
森の中を確認するためだ。
「きっと、そうですね、あそこであってますね」
「今日、逃がすことなくだいぶ消せた気がするんだよなぁ。巣を潰して置かないとまた来るかもな」
「しかし、もう少し炙り出さないと大変かもしれませんね。明日も夜襲をかけて来るでしょう。出てきたところで別の部隊が洞窟行くのはどうでしょう」
「いい考えだな」
ゴブリンは、前の記憶だと3日目は大した数ではなかった。ユーリの案で行けば明日には終わるだろう。
「よし、じゃあ休むか。ユーリも休めよ」
ぽん、と肩に触れる。
ーーしまった。
接触していけないはずなのに触れてしまいユーリの顔を確認する。
「はい、アルト様もどうぞゆっくりお休み下さい」
ユーリは高台から去っていった。
「……服越しだったら平気なのか?」
手を見つめながらオレはそう呟いた。
次の日の夜、やはりゴブリン達がやって来た。オレは門の前で剣を抜き、群れの中に走っていく。
棍棒など振り回す奴の腕を切り落とし、そのまま首を刎ねる。
「あぎゃぎゃっ!!」
横で剣が振り下ろされる音とゴブリンが倒れる音が聞こえる。ユーリだった。
奥の方は遠距離魔法隊と弓部隊が、凄まじい音を立てながらゴブリン達を倒していた。オレは誇らしかった。
もちろんけが人はでるがオレが団長になった頃からは死人が出ていない。連携のうまさとユーリの戦略的知識もあるかもしれない。
オレは団長としてただ最終決定と前に立つことしかできない。
みんなにそれでもいい、と言って貰えているようだった。
「だいぶ減ってきたな」
ユーリと背中合わせになる。
「そうですね。もうこちらは終わりそうですね。あとは別動部隊が上手くやっていればいいのですが」
「ここ、お前に任せていいか!?」
今向かっているであろう別動部隊が気になった。
ここはユーリ達と後ろの魔法隊だけで十分な量になっていた。
「さすがに1人では危ないですよ」
「なんか気になるんだよ。ここ頼んだ」
オレは道すがらゴブリンを倒しながら別働隊の元へ急いだ。
なぜだかすごく胸騒ぎがした。
森の近くに来ると別動部隊が通ったと思われる足跡があった。
洞窟に続いていた。オレはそっと入っていく。
やけに静かだ。心臓の音が洞窟に響いてしまうくらいど、ど、ど、と脈打つ。
遠くから微かに叫び声が聞こえた。
急いで走り、奥まで行くとそこには倒れている別動部隊がいた。
「おい、生きてるか!」
問いかけは無言の返しだったが、微かに息はあった。
ほっと、安心はするもののこのままでは死んでしまう。
「くそっ」
奥に向かって走る。
そこには門の方に来たゴブリン達とは違い一際大きなゴブリンがいた。
ホブゴブリンだ。
1人、戦っている者がいた。この別動部隊の隊長に任命したアレン・ロックハートだった。揺れる赤い髪はまさに今、熱く戦っている男にぴったりな色をしていた。
剣さばきはユーリと引けを取らないくらい素晴らしかった。
埋もれた才能を見つけたオレは、団長として歓喜した。
「ぐわっ!!」
ホブゴブリンの攻撃でアレンが飛んでくる。それをオレは受け止めた。
オレはベッドの上でバルトから借りた本を読んでいた。
魔法陣はやはり、タチの悪いものだった。
相手が愛していないのに何度も体を触ると呪いの一部が発動すること。
呪いの一部が発動するとかかっている者はその間の記憶はない。
呪いの解除は術者が死んでも解呪はされない。解呪するには相手を殺すか愛されるか。
『……最悪な呪いだな」
結局、呪いの一部が発動してしまえばユーリのようにただ求めるだけの獣のようになってしまう。自分の知らないところで相手は思いを強要されてしまう。
それで嫌われてしまえば、もう終わりだ。
「まぁ、痛くなかったからオレは許すけど」
首はとても痛かったが。
ガタッ、と窓ガラスが揺れた気がした。
また魔物が出現し、夜間見回り団員が魔法でも打ったのだろうか。
外を見ると大量の何かがこちら向かっているのが見えた。
警報も遠くから聞こえてきた。門の近くまで魔物が来てしまっていることを知らせていた。
いくら領土を囲むように高い塀が囲っていても門を破られてしまえばたまったもんじゃない。
剣を持ち、部屋を急いで出た。
前世のこの時期はゴブリンの巣ができ、散々な目にあったのを思い出した。
あの時は三日三晩やって来て、怪我人はいなかったものの体力的に大変だった。
「アルト団長、ゴブリンが大量に」
団員の1人が報告をしに来てくれる。ユーリが来ないということは、もう戦いに出ているのだろう。
「次から次へと……ふざけやがって!」
オレは2階の渡り廊下から飛び降り、ゴブリンが来ているであろう門の方まで走った。
門の前に行くと大量のゴブリンが団員達と戦っていた。
そしてその中にもユーリの姿もあった。
「悪い、遅くなった!」
オレは魔法や剣を使いながらゴブリンを次々と薙ぎ倒していく。
「あぎゃぎゃぎゃ!」
襲ってくるゴブリンの首を3体同時に刎ねた。
「団長!」
口々に喜びの声が上がった。オレが来たことで士気が上がった隊はあっという間に倒して行った。
朝日が昇る前に終わった。
前の時より早い。前はもっと時間がかかっていた気がする。それもこれもユーリが早く門の前に着いていたからだろう。
「アルト様、巣があるかもしれません」
「……確かに。まずは他の者達を休ませよう。ユーリは少し付き合ってくれるか?」
「はい」
オレはユーリを連れて高台に移動する。
森の中を確認するためだ。
「きっと、そうですね、あそこであってますね」
「今日、逃がすことなくだいぶ消せた気がするんだよなぁ。巣を潰して置かないとまた来るかもな」
「しかし、もう少し炙り出さないと大変かもしれませんね。明日も夜襲をかけて来るでしょう。出てきたところで別の部隊が洞窟行くのはどうでしょう」
「いい考えだな」
ゴブリンは、前の記憶だと3日目は大した数ではなかった。ユーリの案で行けば明日には終わるだろう。
「よし、じゃあ休むか。ユーリも休めよ」
ぽん、と肩に触れる。
ーーしまった。
接触していけないはずなのに触れてしまいユーリの顔を確認する。
「はい、アルト様もどうぞゆっくりお休み下さい」
ユーリは高台から去っていった。
「……服越しだったら平気なのか?」
手を見つめながらオレはそう呟いた。
次の日の夜、やはりゴブリン達がやって来た。オレは門の前で剣を抜き、群れの中に走っていく。
棍棒など振り回す奴の腕を切り落とし、そのまま首を刎ねる。
「あぎゃぎゃっ!!」
横で剣が振り下ろされる音とゴブリンが倒れる音が聞こえる。ユーリだった。
奥の方は遠距離魔法隊と弓部隊が、凄まじい音を立てながらゴブリン達を倒していた。オレは誇らしかった。
もちろんけが人はでるがオレが団長になった頃からは死人が出ていない。連携のうまさとユーリの戦略的知識もあるかもしれない。
オレは団長としてただ最終決定と前に立つことしかできない。
みんなにそれでもいい、と言って貰えているようだった。
「だいぶ減ってきたな」
ユーリと背中合わせになる。
「そうですね。もうこちらは終わりそうですね。あとは別動部隊が上手くやっていればいいのですが」
「ここ、お前に任せていいか!?」
今向かっているであろう別動部隊が気になった。
ここはユーリ達と後ろの魔法隊だけで十分な量になっていた。
「さすがに1人では危ないですよ」
「なんか気になるんだよ。ここ頼んだ」
オレは道すがらゴブリンを倒しながら別働隊の元へ急いだ。
なぜだかすごく胸騒ぎがした。
森の近くに来ると別動部隊が通ったと思われる足跡があった。
洞窟に続いていた。オレはそっと入っていく。
やけに静かだ。心臓の音が洞窟に響いてしまうくらいど、ど、ど、と脈打つ。
遠くから微かに叫び声が聞こえた。
急いで走り、奥まで行くとそこには倒れている別動部隊がいた。
「おい、生きてるか!」
問いかけは無言の返しだったが、微かに息はあった。
ほっと、安心はするもののこのままでは死んでしまう。
「くそっ」
奥に向かって走る。
そこには門の方に来たゴブリン達とは違い一際大きなゴブリンがいた。
ホブゴブリンだ。
1人、戦っている者がいた。この別動部隊の隊長に任命したアレン・ロックハートだった。揺れる赤い髪はまさに今、熱く戦っている男にぴったりな色をしていた。
剣さばきはユーリと引けを取らないくらい素晴らしかった。
埋もれた才能を見つけたオレは、団長として歓喜した。
「ぐわっ!!」
ホブゴブリンの攻撃でアレンが飛んでくる。それをオレは受け止めた。
0
あなたにおすすめの小説
【短編】【完結】王子様の婚約者は狼
天田れおぽん
BL
サティ王子はクルクルした天然パーマな茶髪が可愛い18歳。婚約者のレアンは狼獣人で、子供の頃は子犬のように愛くるしかったのに、18歳となった今はマッチョでかっこよくなっちゃった。
「レアンのこと大好きだから守りたい。キミは信じてくれないかもしれないけれど……」
レアン(すでにオレは、貴方しか見ていませんが?)
ちょっと小柄なカワイイ系王子サティと、美しく無口なゴツイ系婚約者レアンの恋物語。
o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。
ノベルバにも掲載中☆ボイスノベルがあります。
本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。
出戻り王子が幸せになるまで
あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
初恋の相手と政略結婚した主人公セフィラだが、相手には愛人ながら本命がいたことを知る。追及した結果、離縁されることになり、母国に出戻ることに。けれど、バツイチになったせいか父王に厄介払いされ、後宮から追い出されてしまう。王都の下町で暮らし始めるが、ふと訪れた先の母校で幼馴染であるフレンシスと再会。事情を話すと、突然求婚される。
一途な幼馴染×強がり出戻り王子のお話です。
※他サイトにも掲載しております。
君さえ笑ってくれれば最高
大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。
(クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け)
異世界BLです。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
【8話完結】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
炎の精霊王の愛に満ちて
陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。
悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。
ミヤは答えた。「俺を、愛して」
小説家になろうにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる