死に戻り騎士は壊れた愛を抱き締める 〜呪いは質が悪くて苦労しました〜

湯川岳

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5.嫉妬されました

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「大丈夫か!」

「……団長、なんで」

 受け止めたアレンを見ると酷い傷だった。きっと腕の骨も折れている。
 それでも自分が任された隊を守ろうとしていた。
 オレはアレンの頭を強めに撫でる。

「頑張ったな、今は休め」

  アレンから手をゆっくり離しホブゴブリンと向き合う。
  魔力の圧が頬を撫でる。
 前はいなかった。どこかで何かが変わったのだろうか。
 オレは剣に魔力を注ぐ。

「久しぶりの大物だよ、お前は」

 ホブゴブリンに向かって走り出す。振りかぶってきた太い腕を切り落とす。
 痛がるホブゴブリンの腕が横を掠め、腕に傷が入る。

「いったぁ」

「あぎゃぎゃぁぁ!!」

 怒っているような声を出し、走り向かってくる。交わそうとしたが後ろに倒れている団員がいる事に気付きそのまま受け止めてしまった。
洞窟の壁に背中から思いっきりぶつかった。痛いには痛かったが、気を失う程の痛さではなかった。

「あー、もううぜぇ」

 早く終わらして、オレはユーリをどうにかするんだよ。

 ふつふつと怒りが込み上げてくる。やることは山積みのに湧いて出てくる魔物。

「お前らに構ってる暇はないんだよ!」

 壁を蹴り、ホブゴブリンの首を落とした。
 同時に頭痛が襲ってくる。また視界が暗くなった。


 少し不安そうな表情で笑っているユーリ。
 側を離れようとするがオレがユーリの腕を掴んでいる。
 嫌がるユーリは遠くに走って行った。

別の隊員と仲良くしていると赤い瞳と黒いモヤを出してユーリがオレを見ている。

「ーー団長!アルト団長!」

 アルトに肩を揺らされ、目を開けた。

「悪いな。大丈夫だ」

「大丈夫じゃないです!全然、団長の血が止まりません」

 アレンが必死にオレの腹部を抑えていた。

「あー、確かに痛いかもしれない」

「どうしたらいいんすか!俺、どうしたらっ!!」

「落ち着けって」

 オレは指先に小さな魔法を作り洞窟の外へと向かわせる。
 あれは緊急事態などに空の上で放つ魔法だ。ユーリのところが終わって入れば来るだろう。

「これで来ると思うよ」

「今のは?」

「救難信号みたいなやつ」

 ユーリと決めた信号だった。

ーーあれ、そんな記憶あったっけ?

 自分の記憶が曖昧になる。決めたような決めていないような。

 頭の中でユーリの声がする。

「こうやって指先から出すんです。空に打ち上げてくれれば必ず助けに行きますからね」

 頭痛が襲ってくる。

「アルト様!!」

 息を切らして走ってくるユーリの姿があった。ユーリはオレの腹部に回復魔法をかけながらポーションを渡してくる。

「あの信号、覚えていてくれたんですね」

「……なんとなく」

 笑って答えるとユーリが薄ら微笑む。

笑った!?
ユーリが笑った!

 記憶でしか見た事がなかったユーリの笑顔。とても綺麗だった。

「立てますか?」

「……ああ。アレン、手を貸してくれる?」

 ユーリの手を取らず、アレンの手を借りる。
 この時、オレは気づかなかった。もう1つ、条件があることを。


 ゴブリンの素を殲滅した数日後。
 オレはアレンを2人目の副隊長に抜擢した。この間の戦いの功績が大きかった。あの状態で誰1人死んでいなかったのだ。
 団員に聞くと殺されそうになった時、アレンが助けてくれた、と言っていた。
 ユーリが頭脳だとしたらアレンは武力だ。
 埋もれてしまうには勿体ない才能だった。

「アルト様の身の回りのことは、私だけにして下さい」

「わかったって」

 今朝、朝を起こしに来たのはアレンだった。それが大層気に入らないようだった。
 昼食のパンを千切り口の中に放り込む。

「絶対ですよ?」

「うるさいよ」

 オレは千切った大きめのパンをユーリの口に入れる。

「ったく、アレンも困るだろ?」

 横で静かに食べているアレンを見る。

「いや、もう俺に話を振らないで下さいよー!ユーリさんが怖いんですって」

 ユーリの顔を見るがいつもと変わらない無表情だ。だが、拗ねているようにも見える。

「アルト様の前で怖いとか言わないで貰っていいですか?心外です」

「えー……」

「驚いた。ユーリって他の奴ともこんな感じで喋るのか」

 オレといることが多いから話してないかと思っていた。

「ユーリさん、こんなもんっすよ。笑ったりとか怒ったりしますよ」

「おい、アレンっ」

 ーーオレだけなのか?

 心の中がもやっとする。オレだけ拒絶されているように感じた。

 オレのことが好きなくせになんで。

 「アレン、あとでオレと手合わせしよう」

「えー、いやですよ!俺死んじゃう。いつもユーリさんとだけしてるじゃないですかー、なんで今日は俺なんすかー!」

「副団長になったんだ。当たり前だろ」

  アレンを抱き寄せて頭をぐりぐりと撫でる。


 その晩、ユーリがやって来た。
 赤い禍々しい眼と黒いモヤを出しながら。

「……嫉妬も条件に入るのか」

 オレは抱き上げられベッドに下ろされる。前回は獣のようだったのに今回はオレが抵抗していないせいかどこか優しい。

「これで記憶ないんだもんなぁ」

 首筋にキスを落とされる。
 ズボンのベルトが外されていく。
 抵抗すればまた獣になると思うと身を任せるしかなかった。

「前途多難だな」

 オレはユーリに全てを委ねた。

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