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3 黒の王
黒の王 ③
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「王は病を得られ、生地ノーザンにて長期の療養状態に入られた」エンガスが隣に立って説明をはじめた。「このような場合には、五公会と神官長の賛同を得て王の退位が認められており、このたび、リアナ陛下は王位を譲られることとなった」
ざわめきがいっそう大きくなった。
「譲位の手続きは正式なものだ。非常事態につき、戴冠の儀は簡略化してすでに執り行っておる。また、陛下のご不在により〈呼ばい〉の切断がまだ行われていないため、次の継承者は決定していない。
正式な継承者が決まるまで、王太子としてジェンナイル・カールゼンデン卿を置くこととする」
五公の一人としてすでに席を得ていた栗毛の青年に、全員の視線が集中した。髪と目の色、地味な容姿は、エリサ王と似ているとよく指摘されてきたし、リアナ王から見ても近い血縁になる。が、メドロートの陰に隠れて王都の貴族たちからはほとんど顔を知られていなかった。
そのあまりの性急ぶりに、貴族たちの多くは陰謀の匂いを嗅ぎとるが、しかし五公の権力者エンガス公と、〈黒竜大公〉にあえて意見する愚はおかせないと考えたようだった。
エンガスがデイミオンになにごとかをささやいた。その長さからして、おそらく、議会の流れを報告したのだろう。デイミオンはうなずきながら聞き、そして場に向きなおった。
「ノーザンの新領主からは、天候不順への詫びとして、今年と来年の〈日和見〉への給与を肩代わりするとの申し出をもらっている。さらに、来年の種については、これを無償で貸与する」
命令を発しなれた男の、よく通る低い声が場に響きわたった。
おぉ……。領主たちから安堵のため息がもれ、広がった。
「わかっているだろうが」デイミオンは効果的な一拍を置いて続ける、「買いだめ屋への協力行為を働いたものは、いかなる大貴族であっても、私みずから火あぶりにしてやる」
ぐるりと会場内を見渡す。玉座は中央のやや高いところにあるが、会場全体はすり鉢状になっているので、見上げる形になる。
「それから、灰死病についてだが、エンガス公と青竜の一族だけでは〈癒し手〉が不足する。……そこで……」
デイミオンがちらりと神官たちのほうを見た。それは一種の合図であったらしく、副神官長がうなずいて立ちあがった。いちおうローブは身につけているが、まだ若く、使い走りの小姓といっても差し支えないほど小柄な少年だ。
「〈御座所〉は、〈癒し手〉の能力を持つ神官たちをデイミオン陛下へとお貸しいたします。また、一定の条件付きではありますが、私が代表を務めます学舎より、訓練生たちを交代制で派遣することを許可いたします」
声変わりも途中なのではと思われるような高音に貴族たちは不安顔をつくったが、告げられた内容を聞くといくらか愁眉を開いた。
ざわめきがいっそう大きくなった。
「譲位の手続きは正式なものだ。非常事態につき、戴冠の儀は簡略化してすでに執り行っておる。また、陛下のご不在により〈呼ばい〉の切断がまだ行われていないため、次の継承者は決定していない。
正式な継承者が決まるまで、王太子としてジェンナイル・カールゼンデン卿を置くこととする」
五公の一人としてすでに席を得ていた栗毛の青年に、全員の視線が集中した。髪と目の色、地味な容姿は、エリサ王と似ているとよく指摘されてきたし、リアナ王から見ても近い血縁になる。が、メドロートの陰に隠れて王都の貴族たちからはほとんど顔を知られていなかった。
そのあまりの性急ぶりに、貴族たちの多くは陰謀の匂いを嗅ぎとるが、しかし五公の権力者エンガス公と、〈黒竜大公〉にあえて意見する愚はおかせないと考えたようだった。
エンガスがデイミオンになにごとかをささやいた。その長さからして、おそらく、議会の流れを報告したのだろう。デイミオンはうなずきながら聞き、そして場に向きなおった。
「ノーザンの新領主からは、天候不順への詫びとして、今年と来年の〈日和見〉への給与を肩代わりするとの申し出をもらっている。さらに、来年の種については、これを無償で貸与する」
命令を発しなれた男の、よく通る低い声が場に響きわたった。
おぉ……。領主たちから安堵のため息がもれ、広がった。
「わかっているだろうが」デイミオンは効果的な一拍を置いて続ける、「買いだめ屋への協力行為を働いたものは、いかなる大貴族であっても、私みずから火あぶりにしてやる」
ぐるりと会場内を見渡す。玉座は中央のやや高いところにあるが、会場全体はすり鉢状になっているので、見上げる形になる。
「それから、灰死病についてだが、エンガス公と青竜の一族だけでは〈癒し手〉が不足する。……そこで……」
デイミオンがちらりと神官たちのほうを見た。それは一種の合図であったらしく、副神官長がうなずいて立ちあがった。いちおうローブは身につけているが、まだ若く、使い走りの小姓といっても差し支えないほど小柄な少年だ。
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