リアナ3 約束の王国

西フロイデ

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3 黒の王

黒の王 ④

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 関連する二、三のテーマが続き、そろそろ議員たちにも疲れが見えはじめたころ、エンガス卿が新たな議題を告げた。
「続いて、デイミオン陛下の即位にともない空席となった五公の席を、どなたに埋めていただくか、という点を決めたいと思う」
 王は五公と兼任することはできない。
 待っていました、というばかりに五公たちが動いた。エサルとグウィナはそれぞれ自分に友好的な票を投じる領主をそれぞれ推した。発言者のエンガスは現在の神官長を擁立する構えを見せた。五公になったばかりで、さらに対外的には王太子も務めることとなったナイルは、つい先ほど神官側の代表として発言したばかりの少年を呼んだ。四人の大公がそれぞれ違う候補を擁立するのは珍しく、急な空席に互いの利益をすり合わせる間もなかったことを知らせていた。
 少年は、副神官長で学舎代表のエピファニーと名乗った。

 五公たちの反応はそれぞれだった。
「エピファニー? 変わったお名前ね」と言ったのは、デイミオンの叔母でもあるグウィナ。
「どこの家の者だ?」リアナの件でナイルに一杯食わされたエサルは警戒心を強めているようだ。「顕現エピファニーなど、名前でもなんでもないだろう。馬鹿げている」
「後ろ盾となる家はありませんが、黄の竜騎手ライダーの、優秀な若者で」エンガスの横にいた神官長がのんびりと言った。「青の神官たちだけでなく、黄の文官からもよく意見を取り入れるべきだとの、リアナ陛下の仰せで、この春より副神官長に任用いたしました。陛下のご信任も厚かったと聞き及んでおります」
 神官長はエンガス派の重鎮で大領主でもあるが、政治抗争にそれほど熱心であるという評判はきかない。現に今もファニーの口添えにまわったくらいで、五公の座を得たいという野心は感じられなかった。エンガスは普段どおりの、張りついた仮面のような無表情を浮かべている。

「マリウス卿が失脚してから、黄の文官たちは主要なポストから遠ざかっている」玉座のデイミオンがあきれるほど長い脚を組み替え、興味なさそうに言った。「そろそろ一人くらい、黄の竜騎手ライダーたちを代表するものがいてもいいのではないか?」
 現在の五公たちと政治的結びつきがあり、後ろ盾となる家が強いほど、王である自分にとっては不利益となりうる。この無力そうな少年なら毒にも薬にもならず、かえって良いのでは――……そういった思いが透けて見える顔だった。
「けっこうだこと。でも、五公に選ばれるのは十家のものと決まっているのではなくて?」と、グウィナ。「家と領地、補佐となる氏族、それに古竜と竜騎手をそろえた独自の軍。これらがなくては、五公に任ずることはできません」
「はい」ひとり立ったままのナイルがうなずいた。
「ですが、ここなるエピファニー殿は領主貴族となられるのです。今日ここに、みなさまの承認をもって」
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