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5th Stage / 決闘ゲーム
第54話:5th Stage / 決闘ゲーム・1
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「今日は決闘ゲームだな」
いつものようにクロケルがノートを捲って読み上げる。
「一対一での決闘を全ての組み合わせで行うぞ。プレイヤーは三人だから合計三回だな。勝った方に一ポイント加算、負けた方はポイント増減なし。最終的に最も点数が多かったプレイヤーが勝者だ」
「決闘が引き分けの場合はどうなりますか? また、決闘が一周した時点で全員のポイントが同じ場合は?」
シャルリロが白々しく手を上げた。これは円滑にゲームを進めるための予定調和、クロケルを使って疑問を先に解消しておくFAQコーナーに過ぎない。
「引き分けの場合はお互いポイント増減なしだ。三つ巴になったり引き分けが絡んだりして点差が生じなかった場合は決着が付くまで決闘をやり直すぞ」
「上位二人が一ポイントで同点、他一人がゼロポイントのようなケースでも三回全てやり直しますか?」
「その場合は上位二人だけで決戦だな」
シャルリロが一旦口を閉じたのを確認してから、三途も手を上げて割り込んだ。
「進行はわかったけど、肝心の決闘内容は何なの?」
「プレイヤー同士で相談してその都度決めてくれ。お互いに納得できれば何でもいいぞ、あと必要な道具はレンタルできるからな」
「そう来たか。プレイヤー同士で自由にルールを決めていいデスゲームってなんだよ」
「ルールを決めたら中央のアリーナで決着を付けてくれ」
三途は首を回して部屋全体を見やる。
いつもの如くやたらに広い部屋だが、今回はもはや部屋というよりはドームに近い。野球場よりも一回りほど大きい、直径数百メートルに及ぶ円状のスペース。地面は大理石のような光沢ある石で埋め尽くされている。
丸い床の中心からは放射状に幾何学模様が走っている。特定のゲームのために作られたというよりは、様々なルールの決闘に対応できるようにシンプルでフラットな空間が準備されているようだ。
「決闘中はこの部屋から出たらダメなの?」
「ルール次第な部分もあるけど、基本的にはダメだ。この部屋で決着を付けてほしいぞ」
「ふーん。ところで、このデスゲームの終了条件って何?」
「さっきも言った通りだぞ。もう一度言うと、決闘を三回やって一人のポイントが……」
「いや、このステージの話じゃなくて。八人が参加してスタートした一連のデスゲームの終了条件ね。今は何となく人数が減り続けてるけど、このまま最後の一人までいく保証もないわけじゃん。どうせ皆不死者なんだから負けたからって死んで消えるわけじゃないしさ。決闘ゲームが終わったあと、次のステージがあるかどうかも戦略とかモチベーションに関わると思うわけ」
「それについては僕からお答えしましょう。クロケルは各ステージの進行を都度都度受け持つだけで全体進行については何も知りませんからね。とはいえ、それについては『お答えできません』というのが答えになりますが」
「それもデスゲームの真相として明かされる謎の一つってことね」
「まさしく。しかし鋭い質問です。デスゲーム自体の終了条件もまた間違いなく存在する、ということだけは今教えておきましょう」
「ふーん、まあいいや。どうせゲームを進めていかないとわからないだろうし。それでクロケル、決闘に参加する順番は?」
「それも何でもいいぞ。お互いに納得できるように決めてくれ。必要ならくじを貸せるけど」
「そう。じゃあウチから提案ね」
三途は今日の朝から既に決めていた。最初の決闘相手をどちらにすべきか。
「ウチと戦おうよ、ヴァンヒール。まずは軽く捻ってあげる」
「……」
宣戦布告を受け、ヴァンヒールは目を閉じた。
身の振り方をよく考えるために自分の過去を振り返りたい気分なのだが、しかしヴァンヒールに語るべき過去はまだない。ヴァンヒールだけがまだ人生を始めていないからだ。
かつてHEAVENはヴァンヒールを災害と形容したが、それはまさしく言い得て妙だと思う。ヴァンヒール自身も、自分のことを単一の主体というよりは不可算の現象に近い存在だと思っている。
つまり同格の他者と相互に交流するような在り方をしていない。こちらからのみ一方的に影響を及ぼし、あちらからは一切の影響を受け付けない。そういう形でしか世界と関係しない。
自分を無尽蔵に湧く液体だとすれば、自分以外の全ては砂だった。吹けば飛び、触れれば侵され、気が付けば消えている。粒ごとの区別も付かず、関心の持ちようがない。虐殺しているつもりもないが、ヴァンヒールが軽く伸びをしただけで勝手に死んでいくような矮小にどうやって気を払えばいいのか。
それに比べれば、不死者たちはまだいくらかヴァンヒールに近かった。
彼女たちは色の付いた雲だった。外形が多少乱れることはあれど、消滅することは決してない。それに何より、個体ごとの区別も付く。
とはいえ、不死者たちとてヴァンヒールと同じ液体ではない。いずれ再生するにしても一度は散るのだし、再生が確実なのだと他の誰かが保証したわけでもない。もしかしたら、ヴァンヒールが本気で弾けば彼女たちだって空気に混ざって消えてしまうのかもしれない。せっかく色が付いて見える貴重なものを自ら失うことはない。
目の前で宣戦布告してきている三途という少女もそうだ。ヴァンヒールの世界の中で、彼女以外には描けない世界の彩りが確実にある。
だから三途が消えて失われるリスクを背負うつもりはない。デスゲームが終盤に差し掛かった今でさえも。
「そうね……」
とはいえデスゲームに参加している以上、全員参加の決闘を避けるわけにもいかない。
態度を決めかねて曖昧に捻った首を三途は肯定の意と受け取り、果敢に言葉をぶつけてくる。
「決闘のルールはヴァンヒールが決めていいよ。こっちから挑んでるしね」
「妾が決めたら妾が有利すぎるでしょ。譲るわ」
「いやいや、せっかくだしさ。ヴァンヒールが考える決闘に興味あるし」
「いいえ。貴女の方がゲームは得意でしょ」
「言うてもコンテンツ消費専門で、作り手側に回ったことはあんまないから」
「妾も大して変わらないわ。わざわざ遊んだことなんて」
「ああもう、はっきり言ってやろうか。アンタが言い訳できないようにしてやってんの!」
一歩前に出た三途がヴァンヒールの鼻先に人差し指を突き付けた。
「アンタ、そんだけ自信満々でなんで今まで一度も勝ってないわけ? 『本当は最強なのに他の要素で出し抜かれた』みたいなキャラをいつまでやってるつもり? どのゲームでも本気でやればヴァンヒールが負けるわけないじゃん。争奪ゲームも人狼ゲームも始まった瞬間に全員を瞬殺すれば終わってたし、マダミスだって他の部屋に蝙蝠飛ばせば勝ってたし。色々思うところがあるのかもしれないけど、ウチとサシでやるなら百パーセントの本気で来てよ。ウチがつまんないから」
ヴァンヒールは考える。挑発に乗せられるつもりはないが、自ら挑発に乗るつもりはないこともない。
実際のところ、ヴァンヒールが今までずっと気にしていたのは不死者たちを再起不能にしてしまうことだ。不死者は決して死なないとしても、精神や記憶を引き継ぐ連続的な存在だ。不可逆なトラウマが永遠の生を毀損することは忍びないし、それを避ける程度にはヴァンヒールは不死者たちに愛着を持っているのかもしれない。
しかしそれは実際に確かめた事柄ではなく、単なる推測に過ぎない。自分が本気を出したらどうなるのかはヴァンヒール自身でさえまだ知らないのだし、他の不死者たちがどのような不死性を持っているかについてもそれは同じ。
ヴァンヒールの全てを受け止めるには巨大なガラクタたちはあまりにも脆すぎたが、目の前の小柄な少女ならどうだろう。
「本当によろしくて?」
「もちろん」
「ならば最も正統な決闘で戦いましょう。お互いに剣を一本ずつ持ち、相手の心臓を先に貫いた方が勝ち」
「いいじゃん。やったことないけどフェンシングみたいなもんかな。制限時間は?」
「三秒」
「それ冗談?」
「弁えなさい。妾の前で三秒死なないことに比べれば、万の軍勢を前に千年生き残ることさえ児戯に等しくてよ」
「と言われてもな。現実問題、三秒以内に決着が付かなかった場合は? こっちの勝ちでいい?」
「駄目。正統な決闘において、決着が果たせなかった場合に償うのは挑戦者のほう。先に挑んだのはそちらでしょ。貴女の負けにしなさい」
「まあいいよ、確かにウチが言った手前だからね。あともう一つ。武器って剣の形してれば何でもいい?」
「よろしくてよ。妾はレイピアを使うけど」
「じゃあウチはアレにしようかな。愛武器ってほどでもないけど、ちょっとは使い慣れてるし」
いつものようにクロケルがノートを捲って読み上げる。
「一対一での決闘を全ての組み合わせで行うぞ。プレイヤーは三人だから合計三回だな。勝った方に一ポイント加算、負けた方はポイント増減なし。最終的に最も点数が多かったプレイヤーが勝者だ」
「決闘が引き分けの場合はどうなりますか? また、決闘が一周した時点で全員のポイントが同じ場合は?」
シャルリロが白々しく手を上げた。これは円滑にゲームを進めるための予定調和、クロケルを使って疑問を先に解消しておくFAQコーナーに過ぎない。
「引き分けの場合はお互いポイント増減なしだ。三つ巴になったり引き分けが絡んだりして点差が生じなかった場合は決着が付くまで決闘をやり直すぞ」
「上位二人が一ポイントで同点、他一人がゼロポイントのようなケースでも三回全てやり直しますか?」
「その場合は上位二人だけで決戦だな」
シャルリロが一旦口を閉じたのを確認してから、三途も手を上げて割り込んだ。
「進行はわかったけど、肝心の決闘内容は何なの?」
「プレイヤー同士で相談してその都度決めてくれ。お互いに納得できれば何でもいいぞ、あと必要な道具はレンタルできるからな」
「そう来たか。プレイヤー同士で自由にルールを決めていいデスゲームってなんだよ」
「ルールを決めたら中央のアリーナで決着を付けてくれ」
三途は首を回して部屋全体を見やる。
いつもの如くやたらに広い部屋だが、今回はもはや部屋というよりはドームに近い。野球場よりも一回りほど大きい、直径数百メートルに及ぶ円状のスペース。地面は大理石のような光沢ある石で埋め尽くされている。
丸い床の中心からは放射状に幾何学模様が走っている。特定のゲームのために作られたというよりは、様々なルールの決闘に対応できるようにシンプルでフラットな空間が準備されているようだ。
「決闘中はこの部屋から出たらダメなの?」
「ルール次第な部分もあるけど、基本的にはダメだ。この部屋で決着を付けてほしいぞ」
「ふーん。ところで、このデスゲームの終了条件って何?」
「さっきも言った通りだぞ。もう一度言うと、決闘を三回やって一人のポイントが……」
「いや、このステージの話じゃなくて。八人が参加してスタートした一連のデスゲームの終了条件ね。今は何となく人数が減り続けてるけど、このまま最後の一人までいく保証もないわけじゃん。どうせ皆不死者なんだから負けたからって死んで消えるわけじゃないしさ。決闘ゲームが終わったあと、次のステージがあるかどうかも戦略とかモチベーションに関わると思うわけ」
「それについては僕からお答えしましょう。クロケルは各ステージの進行を都度都度受け持つだけで全体進行については何も知りませんからね。とはいえ、それについては『お答えできません』というのが答えになりますが」
「それもデスゲームの真相として明かされる謎の一つってことね」
「まさしく。しかし鋭い質問です。デスゲーム自体の終了条件もまた間違いなく存在する、ということだけは今教えておきましょう」
「ふーん、まあいいや。どうせゲームを進めていかないとわからないだろうし。それでクロケル、決闘に参加する順番は?」
「それも何でもいいぞ。お互いに納得できるように決めてくれ。必要ならくじを貸せるけど」
「そう。じゃあウチから提案ね」
三途は今日の朝から既に決めていた。最初の決闘相手をどちらにすべきか。
「ウチと戦おうよ、ヴァンヒール。まずは軽く捻ってあげる」
「……」
宣戦布告を受け、ヴァンヒールは目を閉じた。
身の振り方をよく考えるために自分の過去を振り返りたい気分なのだが、しかしヴァンヒールに語るべき過去はまだない。ヴァンヒールだけがまだ人生を始めていないからだ。
かつてHEAVENはヴァンヒールを災害と形容したが、それはまさしく言い得て妙だと思う。ヴァンヒール自身も、自分のことを単一の主体というよりは不可算の現象に近い存在だと思っている。
つまり同格の他者と相互に交流するような在り方をしていない。こちらからのみ一方的に影響を及ぼし、あちらからは一切の影響を受け付けない。そういう形でしか世界と関係しない。
自分を無尽蔵に湧く液体だとすれば、自分以外の全ては砂だった。吹けば飛び、触れれば侵され、気が付けば消えている。粒ごとの区別も付かず、関心の持ちようがない。虐殺しているつもりもないが、ヴァンヒールが軽く伸びをしただけで勝手に死んでいくような矮小にどうやって気を払えばいいのか。
それに比べれば、不死者たちはまだいくらかヴァンヒールに近かった。
彼女たちは色の付いた雲だった。外形が多少乱れることはあれど、消滅することは決してない。それに何より、個体ごとの区別も付く。
とはいえ、不死者たちとてヴァンヒールと同じ液体ではない。いずれ再生するにしても一度は散るのだし、再生が確実なのだと他の誰かが保証したわけでもない。もしかしたら、ヴァンヒールが本気で弾けば彼女たちだって空気に混ざって消えてしまうのかもしれない。せっかく色が付いて見える貴重なものを自ら失うことはない。
目の前で宣戦布告してきている三途という少女もそうだ。ヴァンヒールの世界の中で、彼女以外には描けない世界の彩りが確実にある。
だから三途が消えて失われるリスクを背負うつもりはない。デスゲームが終盤に差し掛かった今でさえも。
「そうね……」
とはいえデスゲームに参加している以上、全員参加の決闘を避けるわけにもいかない。
態度を決めかねて曖昧に捻った首を三途は肯定の意と受け取り、果敢に言葉をぶつけてくる。
「決闘のルールはヴァンヒールが決めていいよ。こっちから挑んでるしね」
「妾が決めたら妾が有利すぎるでしょ。譲るわ」
「いやいや、せっかくだしさ。ヴァンヒールが考える決闘に興味あるし」
「いいえ。貴女の方がゲームは得意でしょ」
「言うてもコンテンツ消費専門で、作り手側に回ったことはあんまないから」
「妾も大して変わらないわ。わざわざ遊んだことなんて」
「ああもう、はっきり言ってやろうか。アンタが言い訳できないようにしてやってんの!」
一歩前に出た三途がヴァンヒールの鼻先に人差し指を突き付けた。
「アンタ、そんだけ自信満々でなんで今まで一度も勝ってないわけ? 『本当は最強なのに他の要素で出し抜かれた』みたいなキャラをいつまでやってるつもり? どのゲームでも本気でやればヴァンヒールが負けるわけないじゃん。争奪ゲームも人狼ゲームも始まった瞬間に全員を瞬殺すれば終わってたし、マダミスだって他の部屋に蝙蝠飛ばせば勝ってたし。色々思うところがあるのかもしれないけど、ウチとサシでやるなら百パーセントの本気で来てよ。ウチがつまんないから」
ヴァンヒールは考える。挑発に乗せられるつもりはないが、自ら挑発に乗るつもりはないこともない。
実際のところ、ヴァンヒールが今までずっと気にしていたのは不死者たちを再起不能にしてしまうことだ。不死者は決して死なないとしても、精神や記憶を引き継ぐ連続的な存在だ。不可逆なトラウマが永遠の生を毀損することは忍びないし、それを避ける程度にはヴァンヒールは不死者たちに愛着を持っているのかもしれない。
しかしそれは実際に確かめた事柄ではなく、単なる推測に過ぎない。自分が本気を出したらどうなるのかはヴァンヒール自身でさえまだ知らないのだし、他の不死者たちがどのような不死性を持っているかについてもそれは同じ。
ヴァンヒールの全てを受け止めるには巨大なガラクタたちはあまりにも脆すぎたが、目の前の小柄な少女ならどうだろう。
「本当によろしくて?」
「もちろん」
「ならば最も正統な決闘で戦いましょう。お互いに剣を一本ずつ持ち、相手の心臓を先に貫いた方が勝ち」
「いいじゃん。やったことないけどフェンシングみたいなもんかな。制限時間は?」
「三秒」
「それ冗談?」
「弁えなさい。妾の前で三秒死なないことに比べれば、万の軍勢を前に千年生き残ることさえ児戯に等しくてよ」
「と言われてもな。現実問題、三秒以内に決着が付かなかった場合は? こっちの勝ちでいい?」
「駄目。正統な決闘において、決着が果たせなかった場合に償うのは挑戦者のほう。先に挑んだのはそちらでしょ。貴女の負けにしなさい」
「まあいいよ、確かにウチが言った手前だからね。あともう一つ。武器って剣の形してれば何でもいい?」
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