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第五章 異世界帰りの傭兵は現実世界でも無双するようです
第43話:異世界帰りの傭兵は現実世界でも無双するようです・4
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【4/2 16:53】
「私……合成って嫌いかも。私の演技じゃないじゃん」
「ははは、いくら君でも本当に魔法が使えるわけじゃないからね。仕方ないよ」
撫子が子供の頃、プロデューサーとそんなやり取りをしたのは和製ファンタジー映画で老獪な魔法使い役を演じたときだった。
齢三百歳を超える大魔法使いは今は子供の姿に変身しているという設定で、明らかに撫子という役者のキャラクターに合わせて造形されていた。いつも通りに立派なセットで演技を行ったが、魔法を使うシーンだけはブルーバックの前で撮影してエフェクト合成で対応したものだ。
いくら完璧に演じたところで役者に魔法は使えないから、それを技術で補うのは当然ではある。演技で対応できるのは表情や振る舞いなどの表面的な動作までだ。
だが本当にキャラクターを完璧に演じるのならば、魔法まで演じられるべきではないだろうか。魔法の杖から光が噴き出すときにノックバックはあるのか、地面を踏み締めるのか、足の指は広げるのか。そんなことまで考えて演技をしている撫子にとって、この経験は耐え難い限界として記憶に残った。
だから撫子は完全な模倣を女神に願いチート能力を得た。『模倣』とは「演技で模倣できる対象に超自然的な要素を含める能力」である。決して「見ただけで相手の能力をコピーする能力」ではない。
相手のチート能力を模倣することはそれ相応の演技を行うことであり、そのためには能力と紐付いた相手の内面を理解することが必要になる。そして模倣のために相手のことを理解する部分はチート能力ではなく、あくまでも撫子自身の力量にかかっている。
何を願って何のために能力を得たのか。相手の欲望、思想、人生観、価値観。その全てを脳内でシミュレーションする。メソッド演技の基盤をそこまで整えて初めてチート能力をコピーできる。
そしてコピーの水準は理解の水準に依存する。完璧なコピーには完璧な理解が必要であり、不完全な理解では不完全なコピーしかできない。グラウンドで『龍変化』を一目見ただけのときは腕しか変化させられなかったし、AAが持つ概念翼や存在希釈のコピーはまるで駄目だった。そもそも種族から異なる上位存在の内面は全く理解が及ばないからだ。
「うあああー……」
撫子は自宅のベッドでひっくり返っていた。
視界がぐにゃぐにゃ歪む。窓の外からハウリングしているのは鳥の声か幻聴か。離人症と自律神経失調が同時に襲ってくるような感覚。
過去の出来事が無秩序に頭を訪れては去っていく。自分の経験だけではなく、演技したキャラクターの経験も含めてだ。老獪な魔法使いだった記憶、江戸の少女剣士だった記憶、宇宙を放浪する異星人だった記憶、そして恋人を守る無敵の能力者だった記憶。ぐるぐる回って何もまとまらない。
撫子はこの症状を「知恵熱」と呼んでいた。他人を装う演技は体力と精神力を著しく消耗するため、あまりにも入れ込みすぎると一時的に自我がオーバーヒートしたような状態になってしまう。半日くらいで収まるが、逆に言えば半日は確実に動けない。
枕もとのジュースを啜る。すっきりした柑橘味のリアリティに、拡散していた感性が一応の収束をみる。
一息吐く撫子の顔を切華が不安げに覗き込んでくる。
「大丈夫か?」
「あー、あんまり……」
撫子と切華が森で襲撃を受けてから既に時計半周分ほどの時間が経過していた。
もともと撫子は二枚舌の涼がどこかで裏切ってくることを確信していた。わざわざ事前に襲撃日時を伝えておいたのも裏切られるタイミングを絞るためだ。戦って消耗した深い森での帰り道など絶好のチャンスだろう。
問題は涼と穏乃のチート能力がよくわからないことだが、もし『爆発』が遠隔でも使えるならもっと早い段階から攻撃を仕掛けているはずだ。恐らく近接攻撃手段しかないと当たりを付け、警戒しながら獣道を走っていた。
涼と穏乃の急襲は確かに不意打ちではあったが、それでも空から迫るドラゴンたちを撫子が視認してから『爆発』が発動するまでは約一秒のラグがあった。
この一秒間で撫子は人生最大の集中力を発揮した。意識的に死の感覚を呼び起こし、走馬灯を頭に走らせる。これで脳内時計を遅らせて思考時間を確保する。
まずは『爆発』を使おうとしている穏乃を隅々まで観察する。彼女はほとんどトリップ状態だ。恍惚とした表情には生と死の狭間に飛び込むタナトスの快楽を見る。その自我は身体を抜け出し、恋人の涼と融合しているイメージを幻視する。
爆発と愛と死、これら全てが意味するものは? 心中しかない。
続いて涼を見る。こちらはもっと理性的で複雑な表情をしている。浮かぶのは勝利の確信、恋人の心配、そして若干の罪悪感。
注目すべきは身体全体の意識配分だ。穏乃と握っている手のウェイトが異常に重い。全体を百とすれば、九十は握った手に注がれている。そこに何か重大な意味がある。恋人が心中能力を発動していることを加味すれば、手を繋ぐことが『無敵』の対象を定める条件と考えるのが妥当だろう。
ここまで僅か半秒。実際にチート能力を目撃する前に撫子は正解を看破した。『爆発』の本質は心中、恐らく自らを中心に恋人を含む周囲一帯を爆破する能力。そして『無敵』は手を繋いだ恋人を無敵化して心中を回避する能力。
そして残り半秒で『無敵』の発動を試みる。相手の内面と能力内容を完全に把握できているのなら、半秒しか目視していない能力でもコピーできない理由はない。
前を走る切華の手を取り、涼の心境を心に思い描く。爆死による心中を望む病んだ恋人、それを止めるでもなくただ無敵化してやり過ごす者の心中には何がある? 何があっても抱き締めて柔らかく守るイメージ、そして根底には恋人への深い敬意と肯定。
『模倣』が発動する。『無敵』をコピーし、自身と切華を無敵化。これによって『爆発』を回避して無傷での逃走に成功した。
だが、その代償は小さくなかった。限界を超えた集中による知恵熱の発症に加えて、さらにもう一つ。
「やっぱり駄目ね」
改めて『模倣』を発動して『龍変化』を試みるが、僅かに手先が黒く染まる程度だ。龍の鱗さえ出ない。『龍変化』を使ったとき、どういう感覚で四肢を動かしていたのかが思い出せない。
『無敵』をコピーした際、他の役の記憶が上書きされてしまったのだ。演技に用いる体系的な非言語感覚は極めて繊細で、頭に置いて自由に引き出すのは何十桁もの数字を丸暗記するようなものだ。しかし、あまりにも急激に涼の内面に没入してしまったためにそれが全て吹き飛んだ。
早い話、これまでに得てストックしていたチート能力を全て失ってしまったのだ。特に汎用性の高い『龍変化』と『建築』を失ったのは痛いし、今手元に残っている『無敵』と『爆発』はあまり役に立たない。
『爆発』は論外だ。『無敵』とのセット運用前提であり、単体で使ったところで撫子自身が即死してしまう。『無敵』もそこまで有用ではない。確かに一時的な回避としては強力だが、『爆発』のように手を繋いでいても攻撃できる相方がいないことには決定打にならない。
「しばらくはゆっくり休んでいてもいいだろう。小百合が生き残っていた以上、涼たちと交戦する可能性が高い」
「そうね。勝手に争って減ってくれる分には手出しする必要ないものね」
そのとき撫子のスマートフォンから通知音が鳴った。見れば姫裏からの個人通話だ。切華が代わりに通話を取る。
「切華だ。撫子は料理で手が離せないが隣にいる。また契約の打診か?」
「いえ、契約は既に灯さんと締結しました。もう満枠です」
「それだと合わせて四人になるのではないか? 双子を切ったということか?」
「灯さんが死亡して入れ替わりでわたくしが入った形です。チート能力『建築』を譲渡された上で双子の身柄を死守する命の盟約を結びました。故にこれから他の全員を狩ることになります」
「状況はそう大きく変わっていないさ。其方が誰と組もうとな」
「そうですね。それで手始めに涼さんと穏乃さんを襲撃する予定なのですが、何か御存知のことがあればお教え頂きたいと思いましてお電話差し上げている次第です。実際に食らってみて初めてわかることもあるでしょうから」
「何故拙らが森で襲撃を受けたことを知っているんだ? 其方は要塞にいたはずだ」
「要塞からお二人が撤退したあと、後ろから追っていました。その時点では灯さんとは契約していませんでしたから、追撃目的ではありません。情報収集しつつあわよくば誰かと契約できるかと思っただけです」
「どう思う? 撫子」
「別にいいんじゃないかしら。割と面倒な相手だし、他の誰かに片付けてもらえる分にはお得でしょう。もしもし? 代わります」
切華が画面を撫子に向けた。まだ本調子ではないが、声だけなら誤魔化せる。
涼と穏乃の能力について包み隠さずに伝える。姫裏も近くで見ていたならばざっくりとは理解しているだろうが、『無敵』が手を繋いだ相手にだけ適用されることは撫子だけが看破して『模倣』で確かめた貴重な情報だ。恐らく龍魅はこれを知らされていなかったために死んだわけで、涼にとっては生命線だろう。
「ありがとうございます。一応聞いておきますが、頂いた情報はどのくらい差っ引いて信じるべきでしょうか?」
「全部信じていいわ。もちろん嘘を混ぜてあなたに死んでもらうことも考えたけど、あなたより涼ちゃんと穏乃ちゃんのペアが残る方が厄介なのよね。正直言って、『無敵』と『爆発』のコンボを倒す方法は私には思い付かないし。だからあの二人を片付けてくれるなら都合がいいわけ。あなたを殺すのはその後でいいもの」
「なるほど、承知しました。その言葉はそっくりそのまま返しましょう」
「私……合成って嫌いかも。私の演技じゃないじゃん」
「ははは、いくら君でも本当に魔法が使えるわけじゃないからね。仕方ないよ」
撫子が子供の頃、プロデューサーとそんなやり取りをしたのは和製ファンタジー映画で老獪な魔法使い役を演じたときだった。
齢三百歳を超える大魔法使いは今は子供の姿に変身しているという設定で、明らかに撫子という役者のキャラクターに合わせて造形されていた。いつも通りに立派なセットで演技を行ったが、魔法を使うシーンだけはブルーバックの前で撮影してエフェクト合成で対応したものだ。
いくら完璧に演じたところで役者に魔法は使えないから、それを技術で補うのは当然ではある。演技で対応できるのは表情や振る舞いなどの表面的な動作までだ。
だが本当にキャラクターを完璧に演じるのならば、魔法まで演じられるべきではないだろうか。魔法の杖から光が噴き出すときにノックバックはあるのか、地面を踏み締めるのか、足の指は広げるのか。そんなことまで考えて演技をしている撫子にとって、この経験は耐え難い限界として記憶に残った。
だから撫子は完全な模倣を女神に願いチート能力を得た。『模倣』とは「演技で模倣できる対象に超自然的な要素を含める能力」である。決して「見ただけで相手の能力をコピーする能力」ではない。
相手のチート能力を模倣することはそれ相応の演技を行うことであり、そのためには能力と紐付いた相手の内面を理解することが必要になる。そして模倣のために相手のことを理解する部分はチート能力ではなく、あくまでも撫子自身の力量にかかっている。
何を願って何のために能力を得たのか。相手の欲望、思想、人生観、価値観。その全てを脳内でシミュレーションする。メソッド演技の基盤をそこまで整えて初めてチート能力をコピーできる。
そしてコピーの水準は理解の水準に依存する。完璧なコピーには完璧な理解が必要であり、不完全な理解では不完全なコピーしかできない。グラウンドで『龍変化』を一目見ただけのときは腕しか変化させられなかったし、AAが持つ概念翼や存在希釈のコピーはまるで駄目だった。そもそも種族から異なる上位存在の内面は全く理解が及ばないからだ。
「うあああー……」
撫子は自宅のベッドでひっくり返っていた。
視界がぐにゃぐにゃ歪む。窓の外からハウリングしているのは鳥の声か幻聴か。離人症と自律神経失調が同時に襲ってくるような感覚。
過去の出来事が無秩序に頭を訪れては去っていく。自分の経験だけではなく、演技したキャラクターの経験も含めてだ。老獪な魔法使いだった記憶、江戸の少女剣士だった記憶、宇宙を放浪する異星人だった記憶、そして恋人を守る無敵の能力者だった記憶。ぐるぐる回って何もまとまらない。
撫子はこの症状を「知恵熱」と呼んでいた。他人を装う演技は体力と精神力を著しく消耗するため、あまりにも入れ込みすぎると一時的に自我がオーバーヒートしたような状態になってしまう。半日くらいで収まるが、逆に言えば半日は確実に動けない。
枕もとのジュースを啜る。すっきりした柑橘味のリアリティに、拡散していた感性が一応の収束をみる。
一息吐く撫子の顔を切華が不安げに覗き込んでくる。
「大丈夫か?」
「あー、あんまり……」
撫子と切華が森で襲撃を受けてから既に時計半周分ほどの時間が経過していた。
もともと撫子は二枚舌の涼がどこかで裏切ってくることを確信していた。わざわざ事前に襲撃日時を伝えておいたのも裏切られるタイミングを絞るためだ。戦って消耗した深い森での帰り道など絶好のチャンスだろう。
問題は涼と穏乃のチート能力がよくわからないことだが、もし『爆発』が遠隔でも使えるならもっと早い段階から攻撃を仕掛けているはずだ。恐らく近接攻撃手段しかないと当たりを付け、警戒しながら獣道を走っていた。
涼と穏乃の急襲は確かに不意打ちではあったが、それでも空から迫るドラゴンたちを撫子が視認してから『爆発』が発動するまでは約一秒のラグがあった。
この一秒間で撫子は人生最大の集中力を発揮した。意識的に死の感覚を呼び起こし、走馬灯を頭に走らせる。これで脳内時計を遅らせて思考時間を確保する。
まずは『爆発』を使おうとしている穏乃を隅々まで観察する。彼女はほとんどトリップ状態だ。恍惚とした表情には生と死の狭間に飛び込むタナトスの快楽を見る。その自我は身体を抜け出し、恋人の涼と融合しているイメージを幻視する。
爆発と愛と死、これら全てが意味するものは? 心中しかない。
続いて涼を見る。こちらはもっと理性的で複雑な表情をしている。浮かぶのは勝利の確信、恋人の心配、そして若干の罪悪感。
注目すべきは身体全体の意識配分だ。穏乃と握っている手のウェイトが異常に重い。全体を百とすれば、九十は握った手に注がれている。そこに何か重大な意味がある。恋人が心中能力を発動していることを加味すれば、手を繋ぐことが『無敵』の対象を定める条件と考えるのが妥当だろう。
ここまで僅か半秒。実際にチート能力を目撃する前に撫子は正解を看破した。『爆発』の本質は心中、恐らく自らを中心に恋人を含む周囲一帯を爆破する能力。そして『無敵』は手を繋いだ恋人を無敵化して心中を回避する能力。
そして残り半秒で『無敵』の発動を試みる。相手の内面と能力内容を完全に把握できているのなら、半秒しか目視していない能力でもコピーできない理由はない。
前を走る切華の手を取り、涼の心境を心に思い描く。爆死による心中を望む病んだ恋人、それを止めるでもなくただ無敵化してやり過ごす者の心中には何がある? 何があっても抱き締めて柔らかく守るイメージ、そして根底には恋人への深い敬意と肯定。
『模倣』が発動する。『無敵』をコピーし、自身と切華を無敵化。これによって『爆発』を回避して無傷での逃走に成功した。
だが、その代償は小さくなかった。限界を超えた集中による知恵熱の発症に加えて、さらにもう一つ。
「やっぱり駄目ね」
改めて『模倣』を発動して『龍変化』を試みるが、僅かに手先が黒く染まる程度だ。龍の鱗さえ出ない。『龍変化』を使ったとき、どういう感覚で四肢を動かしていたのかが思い出せない。
『無敵』をコピーした際、他の役の記憶が上書きされてしまったのだ。演技に用いる体系的な非言語感覚は極めて繊細で、頭に置いて自由に引き出すのは何十桁もの数字を丸暗記するようなものだ。しかし、あまりにも急激に涼の内面に没入してしまったためにそれが全て吹き飛んだ。
早い話、これまでに得てストックしていたチート能力を全て失ってしまったのだ。特に汎用性の高い『龍変化』と『建築』を失ったのは痛いし、今手元に残っている『無敵』と『爆発』はあまり役に立たない。
『爆発』は論外だ。『無敵』とのセット運用前提であり、単体で使ったところで撫子自身が即死してしまう。『無敵』もそこまで有用ではない。確かに一時的な回避としては強力だが、『爆発』のように手を繋いでいても攻撃できる相方がいないことには決定打にならない。
「しばらくはゆっくり休んでいてもいいだろう。小百合が生き残っていた以上、涼たちと交戦する可能性が高い」
「そうね。勝手に争って減ってくれる分には手出しする必要ないものね」
そのとき撫子のスマートフォンから通知音が鳴った。見れば姫裏からの個人通話だ。切華が代わりに通話を取る。
「切華だ。撫子は料理で手が離せないが隣にいる。また契約の打診か?」
「いえ、契約は既に灯さんと締結しました。もう満枠です」
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「状況はそう大きく変わっていないさ。其方が誰と組もうとな」
「そうですね。それで手始めに涼さんと穏乃さんを襲撃する予定なのですが、何か御存知のことがあればお教え頂きたいと思いましてお電話差し上げている次第です。実際に食らってみて初めてわかることもあるでしょうから」
「何故拙らが森で襲撃を受けたことを知っているんだ? 其方は要塞にいたはずだ」
「要塞からお二人が撤退したあと、後ろから追っていました。その時点では灯さんとは契約していませんでしたから、追撃目的ではありません。情報収集しつつあわよくば誰かと契約できるかと思っただけです」
「どう思う? 撫子」
「別にいいんじゃないかしら。割と面倒な相手だし、他の誰かに片付けてもらえる分にはお得でしょう。もしもし? 代わります」
切華が画面を撫子に向けた。まだ本調子ではないが、声だけなら誤魔化せる。
涼と穏乃の能力について包み隠さずに伝える。姫裏も近くで見ていたならばざっくりとは理解しているだろうが、『無敵』が手を繋いだ相手にだけ適用されることは撫子だけが看破して『模倣』で確かめた貴重な情報だ。恐らく龍魅はこれを知らされていなかったために死んだわけで、涼にとっては生命線だろう。
「ありがとうございます。一応聞いておきますが、頂いた情報はどのくらい差っ引いて信じるべきでしょうか?」
「全部信じていいわ。もちろん嘘を混ぜてあなたに死んでもらうことも考えたけど、あなたより涼ちゃんと穏乃ちゃんのペアが残る方が厄介なのよね。正直言って、『無敵』と『爆発』のコンボを倒す方法は私には思い付かないし。だからあの二人を片付けてくれるなら都合がいいわけ。あなたを殺すのはその後でいいもの」
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