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第6章 うるか in Neverland
第31話:うるか in Neverland・2
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「まさかここまでのことになるとは思わんかったけどな」
ここ二週間弱、麗華と綺羅は熱心に魔獣退治を続けてきた。
今までとやり方を変えたのは綺羅がチャンネル視聴者を星桜市に呼び込み始めたことだ。ただ動画を上げるだけではなく綺羅との交流イベントを兼ねて魔獣の出現場所をSNSで告知する。生成AIによる創作動画だと思っていた視聴者たちは度肝を抜かれ、チャンネルの登録者はもう三十万人を超えた。
魔獣が出れば人が集まる。人が集まれば魔素が溜まる。魔素が溜まれば魔獣が出る。一度この流れに乗ればあとはもう雪崩だ。
最近は魔獣退治のスタイルも変わってきていた。綺羅のチャンネルを通じて通報フォームを設け、特に気性が荒かったり危険だったりするものだけを選んで倒している。もうそこら中に魔法生物がいて全て倒していてはキリがないからだ。もともと魔獣自体に人を襲う性質があるわけでもない。
「結局、御息たちがちょっかい出してくることもあらんかったな。魔獣はけっこう倒してるみたいやけど」
「しかしそろそろリミットだと思うぜ。魔法に染まった町の命運を賭けた戦いは避けられないさ」
「そんならゆっくり山籠もりなんかしててええんか? うちは動画撮れるからええけど」
「どうせどこにいても大して変わらないよ、私たちの姿はレーダーに映っているんだから。攻める日時を決める権利はあちらにある」
「そらそうやけど、いつまで山にいるつもりや」
「決着は今日付くよ。だって今日は八月三十一日、夏休み最終日なんだから。ほら、もう来てる」
麗華が柵の向こうを指差した。
要塞の前に黒い水が垂れていた。物理法則を完全に無視して、何もない空中からぽたぽた湧き出てくる。
一滴ずつ垂れていた水はすぐに濁流へと変わり、透明なケースに溜まるように丸い球体状の実像を結んだ。直径数十メートルはある、黒い水が満ちた巨大な球。その表面を突き破って曲がりくねった八本の腕が点対称に伸びていく。
子供が落書きした太陽のようなシルエットは次第に膨張していき、気付けば高い木の倍近くもある巨大な機体が要塞に並んで浮いていた。
七年前には幾度となく見た、しかし今年には初めて見る魔神機の顕現。
「オッサンのデモンドリームやな。予想はしとったけども」
「関係者が増えない以上、追加戦力になるとすれば魔神機所有者くらいしかいないしね。いずれにしても私の敵ではないよ」
しかし、ここから魔神機は二人の知らない変容を見せた。
真ん丸いタコの頭部を内側から砕いてせり出してきたのは人間の顔を模した金属像。
緩く波打つ長い髪、目を閉じて微笑みを浮かべた聖母の像。それは決して表情を変えない彫像の相貌だ。
続いて最も奇妙な変化が起きた。下半身に生える触手も中から突き破られ、代わりに人の指が生えてくる。爪や関節を備えた黒い金属の指がいくつも突き出して思い思いの方向へ蠢く。
そして地面から立ち上がるように指の全貌が現れていく。指の根元には手の平が、手の平の根元には腕が。露出が肘を超えたあたりで全ての装甲がパージされて崩れ落ち、展開した巨大な腕の塊はドレスのような衣装にも見えた。
聖母の顔、そして下半身を覆う無数の腕。大量の腕が地面を引っ掻き、空に向かって舞い上がる。
足を止めて見上げたのは町を行く人々ばかりではない。町中の魔獣や異形たちもが固唾を飲んでその出現を見ていた。山の中腹に突如として出現した、この魔法の国においても群を抜いた異常。
「いやこれ、デモンドリームじゃないな。こんなに訳のわからないグロテスクなビジュアルじゃなかった、子供向けじゃないぜ」
「なんかようわからんが、ここはうちに任せとき。こういういざってときのために要塞があるんやから」
「オーケー」
麗華は王笏を構えて屋上から飛び降りた。魔素の蓄積に応じて全盛期を超える魔法少女の身体能力が戻ってきており、数十メートルを飛ぶくらいは問題ない。
ふわりと着地した麗華の頭上で綺羅が叫んだ。
「よっしゃいくで、うちのゴーレム!」
途端に足元が揺れ始めた。地中深くではなく、足元のすぐ下で何かがボコボコと脈動する。
そして白い要塞がゆっくりと姿勢を起こしていく。直立していた塔がそれぞれに傾き、身体を支えるための角度を作って立ち上がる。
さっき麗華が寝ていた一番太い塔は胴体、横に並んだ二本の細い塔は両腕、地中からも太い足が引き出されていく。この白い要塞は一つの生命体であり、巨大な地響きと共にその全貌が現れる。
生命を得た石が動き出した著大なる魔法生物。魔導ゴーレムが地面を踏み締めた。
「はっは! これじゃ別の番組やな。魔法少女やのうて大怪獣バトルやないか。なあ御息!」
ゴーレムの上で仁王立ちした綺羅は腰に手を当てて叫んだ。すぐ目の前では御息が魔神機の肩に立って腕を組んで睨んでいる。
高度百メートル近い空の上、巨大兵器の上で対峙した。
「この魔神機は借りもんか? なかなかオモロいこと考えるやないか」
「これは私の魔神機、魔神機デモンアウェーク。この魔法の国を終わらせるためにデモンドリームを継承した」
「はっは、ますますオモロいな! 闇落ち魔法少女は定番やけど、まさか御息がその枠ってのが笑けるわ」
「闇落ちしたのはあなたでしょう。あなたが今やっていることは悪の組織と同じだわ」
「魔法少女が魔法の国を作るのは解釈一致やろがい。魔法生物だって意外とフレンドリーで可愛いもんやで、このゴーレムみたいにな」
「魔法生物の事故は増える一方だわ。フェニックスに近付いて火傷したり、ドラゴンやペガサスの風圧で吹き飛ばされたり。いま病院はパンク状態になってる」
「じゃあ自動車も事故って危ないからって廃止するんか? そんくらいは必要経費やろ、いずれ慣れるわ」
「詭弁ね。自動車は最初から制御できるように作ってるけど魔法の国はそうじゃない、これから何が起こるかわからない。今はたまたまどうにかなってるだけで、明日にはもっと悪いことが起きるかもしれない。もし人間に悪意を持つ魔法生物が現れたら? 星桜市から世界が滅んでもおかしくない」
「そんときはそんとき考えればええやろ。むしろ何が起きるかわからんのがエンタメの本質や、そういうワクワクがなきゃ人生立ち行かない連中がたくさんおる。おどれは知らんやろうけど、動画のコメント欄には魔法の国を見て自殺を踏みとどまる不登校の少年少女だってたくさんおるわ」
「危ない世界に憧れて悩みを解決するなんて間違ってるわ。浮世離れしたものを見て現実逃避してるだけ。正義と秩序に従って、もっと地に足付けて頑張るべきでしょう」
「世の中、おどれみたいにきっちり頑張れるやつばかりやないんや。こんな狂った町が世界に一つくらいはあってもええやろが。夢と希望がなきゃ生きられないやつらのために」
綺羅はふうと吹くような息を吐いた。御息も同じく。
こんなやり取りをするのはこれで四度目だった。
デモンアウェークの腕が八本まとめて握り拳を作り、ゴーレムも岩で出来た巨拳をぐっと後ろに引いた。
ここ二週間弱、麗華と綺羅は熱心に魔獣退治を続けてきた。
今までとやり方を変えたのは綺羅がチャンネル視聴者を星桜市に呼び込み始めたことだ。ただ動画を上げるだけではなく綺羅との交流イベントを兼ねて魔獣の出現場所をSNSで告知する。生成AIによる創作動画だと思っていた視聴者たちは度肝を抜かれ、チャンネルの登録者はもう三十万人を超えた。
魔獣が出れば人が集まる。人が集まれば魔素が溜まる。魔素が溜まれば魔獣が出る。一度この流れに乗ればあとはもう雪崩だ。
最近は魔獣退治のスタイルも変わってきていた。綺羅のチャンネルを通じて通報フォームを設け、特に気性が荒かったり危険だったりするものだけを選んで倒している。もうそこら中に魔法生物がいて全て倒していてはキリがないからだ。もともと魔獣自体に人を襲う性質があるわけでもない。
「結局、御息たちがちょっかい出してくることもあらんかったな。魔獣はけっこう倒してるみたいやけど」
「しかしそろそろリミットだと思うぜ。魔法に染まった町の命運を賭けた戦いは避けられないさ」
「そんならゆっくり山籠もりなんかしててええんか? うちは動画撮れるからええけど」
「どうせどこにいても大して変わらないよ、私たちの姿はレーダーに映っているんだから。攻める日時を決める権利はあちらにある」
「そらそうやけど、いつまで山にいるつもりや」
「決着は今日付くよ。だって今日は八月三十一日、夏休み最終日なんだから。ほら、もう来てる」
麗華が柵の向こうを指差した。
要塞の前に黒い水が垂れていた。物理法則を完全に無視して、何もない空中からぽたぽた湧き出てくる。
一滴ずつ垂れていた水はすぐに濁流へと変わり、透明なケースに溜まるように丸い球体状の実像を結んだ。直径数十メートルはある、黒い水が満ちた巨大な球。その表面を突き破って曲がりくねった八本の腕が点対称に伸びていく。
子供が落書きした太陽のようなシルエットは次第に膨張していき、気付けば高い木の倍近くもある巨大な機体が要塞に並んで浮いていた。
七年前には幾度となく見た、しかし今年には初めて見る魔神機の顕現。
「オッサンのデモンドリームやな。予想はしとったけども」
「関係者が増えない以上、追加戦力になるとすれば魔神機所有者くらいしかいないしね。いずれにしても私の敵ではないよ」
しかし、ここから魔神機は二人の知らない変容を見せた。
真ん丸いタコの頭部を内側から砕いてせり出してきたのは人間の顔を模した金属像。
緩く波打つ長い髪、目を閉じて微笑みを浮かべた聖母の像。それは決して表情を変えない彫像の相貌だ。
続いて最も奇妙な変化が起きた。下半身に生える触手も中から突き破られ、代わりに人の指が生えてくる。爪や関節を備えた黒い金属の指がいくつも突き出して思い思いの方向へ蠢く。
そして地面から立ち上がるように指の全貌が現れていく。指の根元には手の平が、手の平の根元には腕が。露出が肘を超えたあたりで全ての装甲がパージされて崩れ落ち、展開した巨大な腕の塊はドレスのような衣装にも見えた。
聖母の顔、そして下半身を覆う無数の腕。大量の腕が地面を引っ掻き、空に向かって舞い上がる。
足を止めて見上げたのは町を行く人々ばかりではない。町中の魔獣や異形たちもが固唾を飲んでその出現を見ていた。山の中腹に突如として出現した、この魔法の国においても群を抜いた異常。
「いやこれ、デモンドリームじゃないな。こんなに訳のわからないグロテスクなビジュアルじゃなかった、子供向けじゃないぜ」
「なんかようわからんが、ここはうちに任せとき。こういういざってときのために要塞があるんやから」
「オーケー」
麗華は王笏を構えて屋上から飛び降りた。魔素の蓄積に応じて全盛期を超える魔法少女の身体能力が戻ってきており、数十メートルを飛ぶくらいは問題ない。
ふわりと着地した麗華の頭上で綺羅が叫んだ。
「よっしゃいくで、うちのゴーレム!」
途端に足元が揺れ始めた。地中深くではなく、足元のすぐ下で何かがボコボコと脈動する。
そして白い要塞がゆっくりと姿勢を起こしていく。直立していた塔がそれぞれに傾き、身体を支えるための角度を作って立ち上がる。
さっき麗華が寝ていた一番太い塔は胴体、横に並んだ二本の細い塔は両腕、地中からも太い足が引き出されていく。この白い要塞は一つの生命体であり、巨大な地響きと共にその全貌が現れる。
生命を得た石が動き出した著大なる魔法生物。魔導ゴーレムが地面を踏み締めた。
「はっは! これじゃ別の番組やな。魔法少女やのうて大怪獣バトルやないか。なあ御息!」
ゴーレムの上で仁王立ちした綺羅は腰に手を当てて叫んだ。すぐ目の前では御息が魔神機の肩に立って腕を組んで睨んでいる。
高度百メートル近い空の上、巨大兵器の上で対峙した。
「この魔神機は借りもんか? なかなかオモロいこと考えるやないか」
「これは私の魔神機、魔神機デモンアウェーク。この魔法の国を終わらせるためにデモンドリームを継承した」
「はっは、ますますオモロいな! 闇落ち魔法少女は定番やけど、まさか御息がその枠ってのが笑けるわ」
「闇落ちしたのはあなたでしょう。あなたが今やっていることは悪の組織と同じだわ」
「魔法少女が魔法の国を作るのは解釈一致やろがい。魔法生物だって意外とフレンドリーで可愛いもんやで、このゴーレムみたいにな」
「魔法生物の事故は増える一方だわ。フェニックスに近付いて火傷したり、ドラゴンやペガサスの風圧で吹き飛ばされたり。いま病院はパンク状態になってる」
「じゃあ自動車も事故って危ないからって廃止するんか? そんくらいは必要経費やろ、いずれ慣れるわ」
「詭弁ね。自動車は最初から制御できるように作ってるけど魔法の国はそうじゃない、これから何が起こるかわからない。今はたまたまどうにかなってるだけで、明日にはもっと悪いことが起きるかもしれない。もし人間に悪意を持つ魔法生物が現れたら? 星桜市から世界が滅んでもおかしくない」
「そんときはそんとき考えればええやろ。むしろ何が起きるかわからんのがエンタメの本質や、そういうワクワクがなきゃ人生立ち行かない連中がたくさんおる。おどれは知らんやろうけど、動画のコメント欄には魔法の国を見て自殺を踏みとどまる不登校の少年少女だってたくさんおるわ」
「危ない世界に憧れて悩みを解決するなんて間違ってるわ。浮世離れしたものを見て現実逃避してるだけ。正義と秩序に従って、もっと地に足付けて頑張るべきでしょう」
「世の中、おどれみたいにきっちり頑張れるやつばかりやないんや。こんな狂った町が世界に一つくらいはあってもええやろが。夢と希望がなきゃ生きられないやつらのために」
綺羅はふうと吹くような息を吐いた。御息も同じく。
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