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第三章
1 怒りで・・・
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「スイレン団長、帝都内どこにも見つかりません!」
「バーミリアからの報告です!スイレン団長発見できず!!」
「ホルシオも同じく発見できませんでした!」
「現在焔ではナルミア様指揮の下、全体を捜索しておりますが未だ見つからず!」
ダンッ!!
と私は、自分の執務室の机を拳で叩きつけた。
傍にいるレイフォードとアルバートに冷たい視線をぶつけられながら・・・・・・・・
昨晩、私と弟のジルフォードは余りの疲労と「スイ不足」で会食中ウトウトとしているところを父の国王陛下及び母上のサーシャ王妃から窘められ、退出を命じられた。
母上からは小声で
「スイとゆっくりしてきなさい」
と、有り難いお言葉付きで。
もちろん私たちはご厚意に甘え、団長たちが住まう館のスイの部屋に行ったが、ノックをしても出てこず、ノブを回すと簡単に開く。
そこにはスイのベッドで丸くなる猫の親子だけがゆったりと寛いでいたのだった。
隣のレインの部屋をノックすると、これからどこかに出て行くのか、簡素な外出着を纏い、そして、何故か軽食を持ち運ぶ為の入れ物の包を提げていた。
違和感を覚え、レインに問うと、
『団長を怒らないで』と・・・・・・・・。
一体どういうことだ?
少し強い口調でレインを責めると、私の騎士団の団長アルバートと副団長のレイフォードも顔を覗かせた。
彼らは私たちを見て、「しまった」という表情をしたのだ。
彼らは知っているのだ、スイの居場所を。
彼が今何をしているのかをっ!!!
私たちが知らないのに、恋人でも妻でも、家族でもない赤の他人がスイの『何か』を知っている事に腸が煮えくりかえりそうだ。
案内をさせた場所は何もない開けた場所で、特別何かがあるわけではない。
スイの姿も見えない。
「どういうことだ?こんな所に私たちを連れてきて」
口調が荒くなっていることはわかっている。だが、苛立ちが治まらず、3人に詰め寄ると、空気が一瞬凍り、そして、パリンと小さく砕ける音とドサリと『何か』が落ちる嫌な音がした。
嫌な音・・・・・・・・
重い何かが落ちる音・・・・・・・・
恐る恐るそちらを見ると、血を多量に流し、また手や足が歪な形で折れ曲がっている『人間』がぐったりと横たわっていたのだ。
始め誰かもわからないくらいにボロボロで痛ましい姿だったが、ソレを治療する者には覚えがあった。
「玄武殿・・・・・・・」
つまり、そこに横たわるのは私たちの愛するスイレンなのだ。
心配よりもフツフツと込み上げてくる『怒り』の方が強くなり、私たちはしてはいけない、言ってはいけないことをしてしまったのだ。
レインに釘を刺されておきながら・・・・・・・
こうなることを見越していたのだ、彼は。否、彼らは。
だから、私たちに隠していたのに!
私たちは愚かだった・・・・・・・・・・・。
「バーミリアからの報告です!スイレン団長発見できず!!」
「ホルシオも同じく発見できませんでした!」
「現在焔ではナルミア様指揮の下、全体を捜索しておりますが未だ見つからず!」
ダンッ!!
と私は、自分の執務室の机を拳で叩きつけた。
傍にいるレイフォードとアルバートに冷たい視線をぶつけられながら・・・・・・・・
昨晩、私と弟のジルフォードは余りの疲労と「スイ不足」で会食中ウトウトとしているところを父の国王陛下及び母上のサーシャ王妃から窘められ、退出を命じられた。
母上からは小声で
「スイとゆっくりしてきなさい」
と、有り難いお言葉付きで。
もちろん私たちはご厚意に甘え、団長たちが住まう館のスイの部屋に行ったが、ノックをしても出てこず、ノブを回すと簡単に開く。
そこにはスイのベッドで丸くなる猫の親子だけがゆったりと寛いでいたのだった。
隣のレインの部屋をノックすると、これからどこかに出て行くのか、簡素な外出着を纏い、そして、何故か軽食を持ち運ぶ為の入れ物の包を提げていた。
違和感を覚え、レインに問うと、
『団長を怒らないで』と・・・・・・・・。
一体どういうことだ?
少し強い口調でレインを責めると、私の騎士団の団長アルバートと副団長のレイフォードも顔を覗かせた。
彼らは私たちを見て、「しまった」という表情をしたのだ。
彼らは知っているのだ、スイの居場所を。
彼が今何をしているのかをっ!!!
私たちが知らないのに、恋人でも妻でも、家族でもない赤の他人がスイの『何か』を知っている事に腸が煮えくりかえりそうだ。
案内をさせた場所は何もない開けた場所で、特別何かがあるわけではない。
スイの姿も見えない。
「どういうことだ?こんな所に私たちを連れてきて」
口調が荒くなっていることはわかっている。だが、苛立ちが治まらず、3人に詰め寄ると、空気が一瞬凍り、そして、パリンと小さく砕ける音とドサリと『何か』が落ちる嫌な音がした。
嫌な音・・・・・・・・
重い何かが落ちる音・・・・・・・・
恐る恐るそちらを見ると、血を多量に流し、また手や足が歪な形で折れ曲がっている『人間』がぐったりと横たわっていたのだ。
始め誰かもわからないくらいにボロボロで痛ましい姿だったが、ソレを治療する者には覚えがあった。
「玄武殿・・・・・・・」
つまり、そこに横たわるのは私たちの愛するスイレンなのだ。
心配よりもフツフツと込み上げてくる『怒り』の方が強くなり、私たちはしてはいけない、言ってはいけないことをしてしまったのだ。
レインに釘を刺されておきながら・・・・・・・
こうなることを見越していたのだ、彼は。否、彼らは。
だから、私たちに隠していたのに!
私たちは愚かだった・・・・・・・・・・・。
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