政略結婚ですが何か？【完】

夜会

ラダン大王国を挙げて開催された夜会はラダン大王国の貴族らも経験の無いような規模であった。それは相手国への敬意でもある。

豪華に彩られた料理を始め奏でられる音楽までもがアリア大王国に通ずるものがセレクトされている。全てエマニュエルプロデュースである。

アリア大王国が入場すると会場が色とりどりのライトが照らされイザベラも驚き目を見開いた。ラダン大王国の待ち望んでいたイザベラを一目見ようと集まった貴族らは美しく輝くイザベラを眺めていた。


ダンスが始まるとアレクセイはエマニュエルにダンスを求めた。それに応えるエマニュエル。２人は中央で優雅に舞った。


『貴女はダンスがお上手なのだな。』

微笑むアレクセイに


『ありがとうございます。ですがお姉様はもっとお上手ですわよ？』

見上げるエマニュエルに優しい笑顔を送るアレクセイ。イザベラは初めて見るアレクセイの笑顔に戸惑うもダンスの相手であるエイドリアンに悟られまいと必死に笑顔を浮かべる。

『久々に見るお姉様はお姉様らしくありませんでしたが？』


エマニュエルはアレクセイに問うた。

『そうか。』

興味無さげに答えるアレクセイに

『私がこちらに来たとき、この国の者は誰もがリントン王女と聞いてお姉様を浮かべておりましたのよ。私を見たときのあの落胆さと言ったらもう、今でも笑えますもの。そのお姉様を娶られた殿下がこのような男だとは残念ですわ！』


辛辣な言葉にアレクセイは目を見開くもエマニュエルはその顔をあざ笑うかのように笑った。


『我々は皆、政略結婚ですがそんなものただのきっかけにしかすぎません。そこからが勝負ですもの。分かります？この意味が？』


アレクセイは初めて受ける上からの物言いに戸惑うも静かに答える。


『成る程な。』


真っ直ぐ射抜かれるエマニュエルは怯むことなく言い放つ。

『お姉様は大陸１の淑女ですのよ？これまでのご苦労が報われます事を願っております。』

そう言うとエマニュエルは最高のカーテシーを披露しダンスを笑顔で終えた。