政略結婚ですが何か？【完】

エマニュエルとアンドリュー2

２人に信頼関係が結ばれ執務も滞りなく進む毎日。
活気あふれるラダン大王国は増々勢いづいていた。


『妃殿下、そろそろ代継は？』

忖度なくド直球で問うアンドリューにエマニュエルは執務の一貫として答える。


『側妃ってこと？』

驚いたのはアンドリュー。椅子から落っこちそうになりながら


『いやいやまだそこまでの段階ではないですよ。』


『あら？いつまで待っても私と殿下には子どもは出来ないわよ？』


‥。えっと？これはどういう事？


アンドリューの心の声を慮りエマニュエルは答える。


『だって、致してないもの。１度も。』


ますます混乱するアンドリュー。


『え？１度もって何で？』

もはや心の声がそのままダダ漏れである。

『だって政略結婚だもの。』


‥政略結婚だものって


『政略結婚だからこそ跡継ぎだけ残すのが使命では？ってそんな事は望んでいませんが。え？』


混乱するアンドリューにエマニュエルは平常運転で


『そうなの？』


‥え？まじで？ってかエィディはなにしてんの？


エマニュエルの問に明確に答える事が出来ないアンドリューを納得させるかのように

『まあ、今まで問題なかったし時期がきたら側妃の選定はアンドリュー、貴方がいるから安心だわ。王女を見繕った様に側妃を見繕うよう殿下は仰るはずよ？』


何とも残酷な事を他人事の様に話すエマニュエルを心痛な面持ちで眺めていると


『殿下はきっと淡泊なのね？それとも!不能なのかも（笑）』


ケラケラ笑うエマニュエルに眉間にシワを寄せ


‥それは無い。エィディが？まさか。エィディはむしろ絶倫‥いやいやそうゆう事ではなくて。



頭が追いつかないアンドリューは無邪気に笑うエマニュエルから目が離せなかった。


『そもそも妃殿下はそれで良いのですか？』

目をパチクリさせるエマニュエル。

‥天使かよ、まぢで。


『いいのかって？何が？』


‥何が？って。


『殿下とそうゆう事が無くても？』


『そうゆう事って？』


‥？これはどうゆう？ってまさか？



『子どもをお作りにならなくてもという事？』

アンドリューが言葉を選びながら問うと

『さあ？』


‥？


『どうやってお作りなるかはご存知ですよね？』


焦るアンドリューに大きく笑うエマニュエル


『まぁ、アンドリューったら。私を誰だと思ってるの？よ～く知ってるわよ？』


‥それはそれで問題だが？

『王女よ？』


‥だから何？貞操観念ぶっ飛んでんな。


『執事がね、私にはそうゆう事を期待していないと。勝手に相手になる方がちゃっちゃと済ませるから大丈夫だって♡』


‥？


『だからって何も知らないのはいけないでしょ？』


‥そりゃあそうだ。


『私は王女だから沢山の侍女がいるでしょ？彼女たちから教えて貰ったの。たぁくさんね。だからよく知ってるの。なに？アンディも教えてほしいの？』


‥は？いや教えてほしい訳じゃないけど、あんたの知ってる知識は知っておく必要があるかも。



『アンディ内緒よ？不能ってのは、ちゃっちゃと済ませられない人の事で淡泊ってのはそもそも子どもを作れないんだって。』



‥そんだけ？肝心の中身は？
　
得意気に話すエマニュエルにこれ以上は聞けないアンドリューであった。


‥まぢ天使すぎたろ？

エマニュエルのあまりのギャップにノックアウトされた男。アンドリュー・オルコックであった。