政略結婚ですが何か?【完】

mako

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エィディとアンディ

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久しぶりにエイドリアンはオルコック公爵邸にプライベートで訪問していた。

公爵邸は王太子の訪問に活気溢れエイドリアンはアンドリューに会うまでに様々な難関を突破しなければならない。


馬車を降りれば、両脇に並ぶ公爵邸の使用人たちに出迎えられ、玄関まで来ると公爵と夫人に手厚い歓迎を受けやがてアンドリューがやって来る。




『久しぶりの我が家はどう?』

ニヤリと笑うアンドリューに


『アンディがわざわざ来いと言うから来たけど相変わらず面倒だよ。王宮じゃできない話って何?』


アンドリューの私室に入ると徐ろに王太子の仮面を外し素のエイドリアンに戻る。


『まあまあ、先ずは久しぶりの我が家なんだからゆっくり座って。ワインにする?』

アンドリューはベルを鳴らすとテーブルがセットされていく。その様子を眺めながら待っているとたちまち整いエイドリアンとアンドリューは長い夜にもあまり溢れる程のお酒と料理に舌鼓を打った。


『で?そろそろ話してくれてもいいんじゃない?』 

エイドリアンがグラスを空けながら問うとアンドリューは小さく息を吐き


『妃殿下の事だよ。』


『エマニュエル?』


アンドリューは被せるように

『エィディ、側妃を取るの?』


エイドリアンは口に含んだワインを吹き出しそうになりながら

『はぁ?』


『だって妃殿下とは代継を作らないなら側妃は必要となるよ?だって王太子なんだから。』


エイドリアンは口の中を空にしてアンドリューを見る。


『話が見えないんだけど?』

『エィディ、妃殿下を1度も抱いていないんだろ?』


目を見開いて驚くエイドリアンだが

『エマニュエルから?』


『他に誰が居るんだよ‥』


『最近、あまりこっちに来ないと思っていたらやけに2人の仲が近くなってたんだね?』 

『嫉妬か?』


『まさか。』


2人のやり取りはここで止まり静かな時が流れる。



『アンディ、天使って言うけどさ、本当に天使みたいなんだよ。隣で眠るエマニュエルを見ているとさそんな事をしたらエマニュエルを汚すような気がしてならないんだ。』


『だからってお前は跡継ぎが絶対だろ?』


『エマニュエルは側妃の事をどう考えてるの?』

 
『俺が妃殿下を見繕った様に側妃も見繕う様エィディが命を出すと思ってるさ。そもそも妃殿下は子どもの作り方を知らないと思うけどね。』



『だろうな。』


エイドリアンは王太子の仮面を取っても王族という風に気品溢れる食事をしながら頭を悩ませている。


『そろそろ代継の話題も出る頃だぞ?先に側妃を取るか?そっちならちゃっちゃと作れるだろ?』


エイドリアンは怪訝そうに

『ちゃっちゃとってどうなの?』


アンドリューはニヤリと笑い


『リントンの執事がそう妃殿下に話したそうだ。』

大きな溜息を落しエイドリアンはワインを口に含んだ。


『妃殿下の知識はね、不能と淡泊だけだよ?』


エイドリアンはまたも驚き


『また、そんなネガティブな単語だけ?』

『そう、これでは子どもを作れないよ。』


今度は2人で大きな溜息をついた。


『1度エマニュエルと話してみるよ。』


エイドリアンはそう言うとワインを飲み干し

『アンディ、今日はここで眠っていっていい?』


アンドリューは首を縦に振り


『部屋用意させようか?』


エイドリアンは心地よい酔いの中

『勘弁してくれ、このままでいい。』


そう言うと、ソファで横になりながら眠りに付いた。


日頃完璧な王太子として振る舞う親友が、ただの男になりアンドリューのソファで着替えもせず無防備に寝ている様子をアンドリューは微笑みしばらく見つめていた。

それでもアンドリューはエイドリアンの側近。朝まで眠る事なく側で警護をする。護衛騎士の警護ではエイドリアンは王太子の仮面を外せない。


アンドリューは静かにエイドリアンに布団を掛け自分はソファに座り目の前のエイドリアンを眺めていた。


アンドリュー・オルコックは眠らない。








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