政略結婚ですが何か？【完】

王太子から発令する命

『アンドリュー、側妃を見繕ってくれ。』


アンドリューは驚くも愛称ではなく名前を呼んだエイドリアンは、アンドリューに命を出したということ。アンドリューは

『はっ。』

短く答え礼を取った。その瞬間にもアンドリューの頭の中には無邪気に笑うエマニュエルが離れて消えない。我が主はどんな顔をするだろうか。痛む心を抱えアンドリューはエマニュエルの待つ執務室へ向かった。


『アンディ、おはよう！今日はちゃっちゃと執務を済ませてガゼボでお茶会しようね～』

相変わらずのエマニュエルに微笑みを見せ席に着くと流石の王太子妃すぐに異変を察知する。

『ねえアンディ、どうしたの？』

見上げるアンドリューに

『分かるわよ？なんてたって親友だからね。ここに入ってきた貴方の顔を見ればね？だって笑顔がブサイクだったもの（笑）』


‥は？


『ぎこちないってことね？』


『妃殿下、ブサイクとぎこちないではえらい違いですよ？』


『あら、一緒よ？だって心に無い笑顔。それは嘘の笑顔でしょう？ブサイクだわ！』


‥なんて清い心なんだよ？


アンドリューは観念したかのようにエイドリアンからの命を話した。エマニュエルは平然と


『ほら？やっぱり私の言った通りになったでしょう？アンディが見繕う事になると思ってた！それだけ貴方が優秀ってこと。喜ぶ所なのにどうしたのよ？』


‥。


『あっ！途中経過もコソッと教えてね？だって気になるじゃない？未来の王太子か王女を産む女性でしょ？やっぱり美しい方が良いのかしら？』

頭を悩ませるエマニュエルを心痛な面持ちで見つめるアンドリュー。

アンドリューは不思議であった。

エマニュエルはエイドリアンを愛していないにもしろ、側妃の存在は少なからずショックではないのか？それとも身軽になるから割り切っているのか？はたまた他に好きな男でもいるのか？そのどれもが当てはまらない我が主をしばらくの間アンドリューは眺めていた。