政略結婚ですが何か?【完】

mako

文字の大きさ
46 / 61

進む側妃選定

しおりを挟む
王太子からの発令により始まった側妃選定はあれよあれよと進み最終段階に入っていた。

最終段階に残った2人の令嬢はラダン大王国王太子妃候補でもあった2人で共にラダン大王国の公爵令嬢である。

アマリヤ・ブライトン公爵令嬢とメリッサ・ガバナ公爵令嬢。

両名はエイドリアンとの時間を持つ為に頻繁に王宮を訪れているようであった。


ある日、例の如くエマニュエルとアンドリューはガゼボでの2人お茶会を開催しているとアマリヤがエイドリアンとの時間を過ごしているのが見えた。

『アンディ、あの令嬢はどっち?』


アンドリューはエマニュエルの視線を追うとブライトン公爵令嬢がエイドリアンとバラ園のベンチに腰を掛けていた。


『ブライトン公爵令嬢ですね。』

簡単に答えるとエマニュエルは口を尖らせ

『もお、ノリが悪いわね』

‥ノリって、いるか?ここで。


エマニュエルを怪訝そうに見ると


『流石に美しい方ね?アンディも公爵令息なのよね?あの方たちとは幼なじみって感じなの?』

ブンブンと首を横に振り


『ラダン大王国の公爵家は野心溢れております故私の手には終えませんよ。』


‥ってかこっちから御免被るけどね?


『公爵令嬢ってマナーも完璧なのよね?』

お茶を飲みながらエマニュエルが捉えたのはアマリヤがエイドリアンのエスコートする腕にたわわに実った胸を押し付けている姿であった。

アンドリューは苦笑いをしながらエマニュエルを見るとエマニュエルは自分のスッキリし過ぎの胸を眺めていた。


‥か、可愛い過ぎる。


そうした日が流れている時、王宮での夜会が開かれた。もちろんエイドリアンがエスコートするのはエマニュエルである。エマニュエルは王太子妃として威厳を保つべくドレスアップされていくと


『ごめんなさい、ワガママ言ってもいい?』

驚く侍女らに

『私の為に、王太子妃としての威厳の為によくやってくれている事に先ずは感謝しているわ。』


侍女らは揃って


『勿体無いお言葉』

5人の侍女は腰を深く折り次の言葉を待つ。



『私の好きなイメージでドレスアップしたいんだけど?ラダン大王国ではそれは無理なのかしら?』


エマニュエルはかつての侍女シルヴィアが結婚の為に王宮を出て以来は信頼をしている侍女が居なくなり要望を伝える事をしてこなかった。

『いいえ、妃殿下。何でもおっしゃって下さいませ。このドレスなどは全てリントン王国第1王女をイメージしてご用意されたもの。それを使われる必要などごさいません。妃殿下の思う通りで良いのです。妃殿下の心が軽くなるようなドレス、宝石をお作りしましょう?』


エマニュエルにそう語るのはフランセと言う侍女であった。このフランセはシルヴィアとは異なりそのままドレスアップして夜会に出ても良いくらい淑女であった。驚いたエマニュエルに

『ご用意するにはお時間が掛かります。申し訳ありませんが本日の夜会は私がコーディネートさせて頂いてもよろしいですか?』

エマニュエルは直感で決めた。


『お願いするわ。』

フランセが用意したドレスはラベンダーのサテンのマーメイドドレスであった。エマニュエルはドレスを見ただけでこのフランセがただの侍女ではないと察知した。

ラベンダーのドレス。
エイドリアンな瞳はパープル。今宵の夜会では2人の側妃候補は揃ってパープル一色で来るだろう。そこへ混ざるのでもなくエイドリアンの色を無視するのでもなくラベンダーを用意したこのフランセという女性は何者なのか?

そんな事を考えているうちにあっという間にエマニュエルのドレスアップは終わった。

鏡に映る自分を見てエマニュエルは歓喜を上げた。思い描いていたそのままのイメージである。


胸元を惜しみ無く出したドレスで挑むであろう2人の公爵令嬢に対してエマニュエルのドレスは胸元は控え目になってはいるが、その分白くしなやかな背中が大胆に開いた勝負ドレスである。そこに品位を出すようにレースが掛けられ微かに透けて見える背中が魅了する。全てが計算し尽くされたコーディネート。


髪型はエマニュエルには珍しくアップスタイル。これまたラベンダーが散りばめられゴージャスである。そのゴージャスさを邪魔しない程度の宝石として小さなマリアライトがキャッツ効果と呼ばれる光沢を放っている。


公爵令嬢には手が出ない上質な物を、さり気なく添えるこの腕前。今までのエマニュエルには無い姿にエマニュエルだけでなく見守る侍女らも嬉しそうに眺めている。


『美しい‥』

ボソッと呟いた侍女がすぐに


『失礼を致しました。』

と腰を折るとエマニュエルは


『どうして謝るの?私は作られた言葉より心の声が嬉しいわ。貴方のその本音に心からお礼を言うわ。ありがとう。』


微笑むエマニュエルに侍女らはあまりの美しさに言葉を失った。その様子をフランセは嬉しそうに見守っていた。


しばらくするとエイドリアンがエマニュエルをエスコートに迎えに来た。


『エマニュエル!今日はまた一段と素敵だね。』

安定のスマイルにエマニュエルは軽く微笑む。作られた賛辞よりも心の声をこよなく愛すエマニュエルにはその微笑みしか返す事が出來なかった。


エマニュエルはエスコートのエイドリアンの腕に手を回すと押付ける胸の無さを確認して心が何故か沈む。それでも無情に夜会への扉は開かれた。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「結婚しよう」

まひる
恋愛
私はメルシャ。16歳。黒茶髪、赤茶の瞳。153㎝。マヌサワの貧乏農村出身。朝から夜まで食事処で働いていた特別特徴も特長もない女の子です。でもある日、無駄に見目の良い男性に求婚されました。何でしょうか、これ。 一人の男性との出会いを切っ掛けに、彼女を取り巻く世界が動き出します。様々な体験を経て、彼女達は何処へ辿り着くのでしょうか。

悪役令嬢まさかの『家出』

にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。 一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。 ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。 帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!

【短編】記憶を失っていても

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
 7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。  そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。  これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。 ※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)

私の初恋の男性が、婚約者に今にも捨てられてしまいそうです

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【私の好きな人が婚約者に捨てられそうなので全力で阻止させて頂きます】 入学式で困っている私を助けてくれた学生に恋をしてしまった私。けれど彼には子供の頃から決められていた婚約者がいる人だった。彼は婚約者の事を一途に思っているのに、相手の女性は別の男性に恋している。好きな人が婚約者に捨てられそうなので、全力で阻止する事を心に決めたー。 ※ 他サイトでも投稿中

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

拾った指輪で公爵様の妻になりました

奏多
恋愛
結婚の宣誓を行う直前、落ちていた指輪を拾ったエミリア。 とっさに取り替えたのは、家族ごと自分をも売り飛ばそうと計画している高利貸しとの結婚を回避できるからだ。 この指輪の本当の持ち主との結婚相手は怒るのではと思ったが、最悪殺されてもいいと思ったのに、予想外に受け入れてくれたけれど……? 「この試験を通過できれば、君との結婚を継続する。そうでなければ、死んだものとして他国へ行ってもらおうか」 公爵閣下の19回目の結婚相手になったエミリアのお話です。

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...