『婚約破棄から始まる物語』へ転生したってか?【完】

mako

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窮屈な日々

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アン王女の大根役者ぶりが発揮されたお茶会からヴィクトリアには今まで以上に護衛が付けられ以前のように自由に動けなくなっていた。


『レオン、こうも毎日毎日執務室で引き籠もっていたら身体もおかしくなるわよね?』


伸びをしながら窓から外を眺めていると、目の前には綺羅びやかに着飾った令嬢らが行き交う姿が目に入る。


…いいなぁ。


『そうですか?私はあちこち出歩かなくなられて助かりますけど?』


…空気の読めない男ね。


ヴィクトリアは振り向きざまにレオンを軽く睨みつけた。


『そうだわ、トンプソン領はどうなってるのかしら?ちょっと視察に行ってみない?』


レオンは連日のやり取りに辟易した眼差しをヴィクトリアに向けると


『よいですか?あちこち出歩けない妃殿下が何故、遠く離れたトンプソン領に行く事ができるのですか?』


『トンプソン領は特別よ?ほら?産みの親みたいなもんでしょう?』





『ご心配には及びませんよ。』


いきなり執務室の扉が開かれるとアン王女がにこやかなお面を付けやって来た。

…こわっ。目が笑ってないけど。


ヴィクトリアは気まずそうにアン王女に笑顔を向ける。


『トンプソン領は順調に発展への道を辿っておりますのでご安心を。』


ヴィクトリアはがっくりと肩を落とした。


『ねえ、いつまでこんな生活を送らなきゃならないの?』


半ば八つ当たりのような視線をレオンに向けるも


『首謀者が捕らえられるまでですね。』


レオンはヴィクトリアを見ること無く答えるとヴィクトリアは目を見開きその場に項垂れた。


『そんなぁ……。…!捕まればいいのね?』


ヴィクトリアは口角を少し上げ目の前の二人を交互に見た。


『『嫌な予感しかしない…』』


二人は息もピッタリ頭を抱えていたが当の本人は嬉しそうに窓からの景色を楽しんでいた。


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