王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】

mako

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王太子妃と朝の騒動

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翌日、クラリスはゆっくりと目を覚まし、朝日を浴びながら大きく伸びをした。

侍女たちは慌ただしくクラリスの支度に取り掛かる。

「今朝は朝から予定があったかしら?」

クラリスがそう尋ねると、侍女のマリーは複雑そうな顔を浮かべながら髪を結う。

…なに?

マリーはわざとらしくゴシップ誌をクラリスの前に置いた。

クラリスが紙面に目をやると、そこには

《王宮での密会!》
《王太子妃、他国の王太子との秘めた愛》
《裏切りのひととき》

…穏やかじゃないわね。

驚きでマリーを見ると、マリーは視線だけを扉の向こうに流した。

…まさかもう?

クラリスは簡単に仕上げてもらうと部屋を出た。

案の定、テオドールが腕組みをして待ち構え、少々呆れたようにクラリスを睨みつけている。

…だから何でよ?

「おはよう、テオ。」

テオドールは目を細め、冷静に答える。

「それほど早くはございませんが?」

…挨拶でしょうが?ただの。

クラリスはテオドールに連れられるように王太子執務室へ向かう。

扉が開くと、執務室には集まる視線の嵐。クラリスはソファに腰を下ろす。

…全員集合じゃないの。

ここはすっかり王子たちの憩いの場となっており、側近たちもテーブルに並べられたゴシップ誌を片手にクラリスを凝視している。

…揃いも揃って。

クラリスは小さく息を吐き、声を上げた。

「あのですね?これは何ですの?この密会って!秘密で会うって書いてあるけれど、どうして私がミケル殿下と密会するのです?」

テオドールは間髪入れずに返す。

「ではお会いになっておられないと?」

二人の画像を指差す。クラリスは睨みつける。

「会ったことは…会ったというか、居たのよ?王族エリアに。勝手に入ったのは殿下でしょうけど、私はたまたま通りかかっただけよ。」

「ではお話はされていないと?」

クラリスはさらに睨みつけ、少し声を荒げる。

「だから!王族エリアに他国の王太子が居たのよ?知らん顔できるわけないわ。だから何していらっしゃるのかと問うたの!」

「で?ミケル殿下は何と?」

…あれ、そういえば…。

クラリスは昨夜の出来事を思い返すが、テオドールへの答えはない。そもそも、ミケルが勝手に話していたことをクラリスは追い出すのに必死だったのだ。

「そこまでは…知らないけど。」

テオドールは頭を抱え、王子たちも同様にため息をつく。

…ちょっと待て。私、使えない人間みたいになってない?

ふくれっ面のクラリスに、フリードリヒは小さく息を吐いた。

「ゴシップ誌のことなんて問題じゃないんだ。ミケル殿下が我が国の王族エリアにどう入ったのか、そしてこの記事を書いた人物は誰か、ってことだ。」

クラリスは半分八つ当たり気味に、そっぽを向きながら答える。

「我が国の警備がスカッスカってことね?」

神妙な顔で話す王子たちを横目に、クラリスはゴシップ誌を手に取った。

…なに?秘めた愛って。初めて声聞いたってのに。裏切りって誰が?こんなの書いたの誰よ?昨日の今日で仕事早すぎじゃない?

七変化するクラリスを王子たちは不思議そうに見つめる。

視線に気づいたクラリスは、思わずテオドールに口を開く。

「ってかこれを書いた人、仕事早すぎじゃない?」

テオドールは平常運転でクラリスの言葉をスルーし、無言の圧力を送る。

「とにかく我々はミケル殿下の接見を要求する。ファビウスはこの記事を書いた人物を当たれ。」

仕事モードのテオドールに、クラリスは少し嬉しそうに微笑む。

フリードリヒも指示を飛ばす。

「とにかく、各国との会談が明後日まで詰まっている。テオ、頼むよ。兄上はファビウスをよろしく。ヨハネス、ミケル殿下から目を離さないように。」

一同は声をそろえて頷き、今日も王太子執務室は戦場と化していた。
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