王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】

mako

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王太子宮に現れた二人

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優雅な音楽が流れる王太子宮に、いきなりヨハネスとフリードリヒが現れると、淑女教育中の面々は驚きの目で二人を見た。

「どうかされましたか?」

駆け寄るアンドラに、テオドールはにやりと笑みを浮かべる。

「なに、殿下が可愛い側近に相手してもらえないから、寂しくなっただけだ(笑)」

ヨハネスは怪訝そうにテオドールを見つめるが、仕方なく苦笑いを浮かべる。

「ま、まぁなかなか進歩しているじゃないか。アンドラもマーガレット嬢も」

ヨハネスの言葉に、マーガレットは嬉しそうに破顔し、アンドラと目を合わせた。

「ってか、殿下とテオのコンビも、ずいぶん板についてきたわね」

自称武術に長けていると豪語するクラリスが嬉しそうに笑みを送るも、ヨハネスとテオドールは居心地悪そうに顔を見合わせ、そそくさと執務室へ戻っていった。






「どう見る?」

ヨハネスの言葉に、テオドールは冷静に答える。

「侯爵は、何かしら情報を掴んでいることは間違いないでしょう」

フリードリヒが没落させる予定の侯爵家、ソレイン侯爵家。表向きは王太子派と言われていたが、実際にはどこの派閥にも属さず、自由な立場を保っていた。

「たまたまとは考えにくい。王宮ならまだしも、王太子宮に用があるわけもなく…」

「狙いはマーガレット嬢ですかね?」

「白昼堂々とあそこにいるのは目立ち過ぎる。なのに何をしていたのか…」

「侯爵と一緒にいたのがアーノルド・グラン公爵令息というのも気になりますね」

アーノルド・グラン――ガルフ王国王太子に秘密ルートを漏らしたマリネットの兄。マリネットは修道院に送られたが、公爵家は取潰しを免れ存続している。

「兄上の筋書き通り、ということか」

テオドールが不思議そうにヨハネスを見やる。

「恐らく、あの時に公爵家を取潰さず存続させたには理由がある。兄上は一網打尽にするつもりだろう」

「そんなにうまく事が運ぶとは思えませんが」

ヨハネスは少し口角を上げる。

「だからこそ、お前は私のピンチヒッターを務めているんだろ? 兄上なら想定以上の“土産”を持ち帰ってくる」

執務室に、爽やかな風が吹き込む。

「テオ、ガルフ王国からの誘いを遮る真似をして、良かったんだよな?」

窓の外を見つめ、ヨハネスは静かに呟く。テオドールは背後からその背中を見守った。

「…殿下の最大の功績かと存じますが(笑)」

相変わらずの憎まれ口に、安堵したように笑い返すヨハネス。

「間違いないな(笑)」

かつての敵は今、わだかまりを解き、確固たる信頼関係を築いていた。

そしてヨハネスの予言通り、フリードリヒは想定以上の“土産”を携え、王都へと戻ってきたのだった。

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