王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】

mako

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永遠のランズ王国

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戴冠式は滞りなく終わり、夜会までの間、王宮では盛大なガーデンパーティが執り行われていた。王宮主催の夜会への参加が認められない下級貴族たちもこぞって王宮へ足を運び、かつてない賑わいを見せている。

ウィリアムは既に五歳となり、次期王太子としてのオーラを纏っていた。三歳になった王女アンは、いつも以上に可憐な装いで庭に現れると、一斉に歓声が上がる。

アンは駆け足でフリードリヒとクラリスの待つ正面に向かい、にっこりと微笑んだ。

『こら、走っては危ないぞ?ほら、こちらへ』

フリードリヒは満面の笑みで両手を広げる。アンはぴょんと飛びつき、笑顔を弾けさせた。

『アンはお転婆さんだね。それにしても今日は一層キュートだ』

アンは嬉しそうに口を開く。

『みな、お父様にそっくりだって♡』

クラリスはいつもの光景に呆れた視線を送るが、ウィリアムは反論する。

『私は父上には似ておりませんか?』

クラリスは間髪入れずに答える。

『あら、貴方はその歳ですでに王太子の胡散臭い微笑みを振りまいているわ。お父様にそっくりよ』

ウィリアムはフリードリヒを見上げる。

『胡散臭い?』

フリードリヒは苦笑いを浮かべ、冗談めかす。

『ウィル、それは最高の褒め言葉ではないか!』

ウィリアムは嬉しそうにクラリスを見上げ、クラリスも微笑みを返す。

フリードリヒの腕から降りたアンはすかさずフィリップスを探し、手招きをした。両親に向かってカーテシーを披露すると、言った。

『私はあちらでお菓子を頂いて参りますわ。お父様とお母様もしっかり社交をなさるように』

…顔を見合わせるフリードリヒとクラリスを横目に、テオドールは心の中で呟く。

…王妃よりもしっかりしているではないか!

アンは駆け付けたフィリップスに甘え、抱っこを迫る。

…この歳で既にイケメン好きだなんて♡

クラリスは微笑みながらその様子を見守る。フリードリヒは不機嫌そうにフィリップスを睨みつけ、テオドールもまた内心で思う。

…なんでフィリップスかな?

若干落ち込みを空気で感じたウィリアムは、テオドールを慮る。

『テオ、あちらに伯父上がいらっしゃる。我々もご挨拶に行こう』

テオドールは向こうで手を振るミハエルを見やり、少し辟易しながらもウィリアムの後を追った。

フリードリヒとクラリスはにこやかに会場を見渡す。フリードリヒはしっかりとクラリスの腰をホールドしていた。二人の背面に広がるバラ園が美しい。クラリスは嬉しそうに囁く。

『手塩に掛けたバラ達ですもの。皆、感動しているわ!』

フリードリヒもまた微笑む。

『見頃だからね。存分に楽しんでくれればよいな』

二人が囁き合う中、曇り空からひとすじの光が洩れ、やがて太陽が広がる。その光が二人を照らすと、観衆は一斉に目を見開いた。

『まぁ、光の演出だなんて、たまたまにしても縁起がいいですわね!』

フリードリヒは優しく微笑む。

観衆の中、ウィリアムは隣のテオドールを見上げた。

…。

テオドールはウィリアムに視線を合わせ、腰を軽く折る。

『そうです。あれがオッドアイ』

『オッドアイ…本当にあるんだ…』

ウィリアムは両親を凝視する。テオドールは黙って見守った。

伝説のオッドアイ。真実の愛で結ばれし者が得る瞳。互いに瞳の色を分け合うという。フリードリヒとクラリスは共に碧眼だが、クラリスの瞳はフリードリヒよりもわずかに淡い。

ウィリアムの視線に、既に未来の統率者としてのオーラをテオドールは感じていた。

王太子チームとして発足した仲間たちは次第に人数を増やし、大所帯となっている。この日も揃って肖像画が描かれ、今も尚、ランズ王国王宮正面玄関で来客を出迎えている。

そして、王宮に集う人々の笑顔と、光に照らされたバラ園を見上げながら、フリードリヒとクラリスはそっと手を取り合った。

…ランズ王国、永遠に。
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