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息子として
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『ハインリッヒ‥』
『ハインリ‥』
ハインリッヒはリデュアンネに静かに語る。
『デュアン、ありがとう。でもね、私も薄々はわかっていたのだ。それを問う事はしてはいけないと思っていた。』
『何故‥』
『う~ん、なぜだろう。でもね今なら父上の気持ちも少しは理解が出来るんだ。だからね父上を責ないでほしい。』
『ハインリ‥』
『私は父親の愛情を知らない子どもだったと以前話した事があったね。でも違ったんだ。
デュアンと初め会った時の話をしたね?公爵がデュアンを探しにきてデュアンが嬉しそうに公爵に抱かれて行った時、何か感じたのを覚えている。
それはね公爵がデュアンを探している姿だよ。あれは私も見覚えがあった。
大人がね子ども探す時って視線は下がるよね?でも同時に上も探すんだ。あれってね、高い所に居る確率からしたらかなり低いよね?それでも上を探す訳って何だと思う?
あれね、高い所に居たら危険だろ?だから確率は低くくても自然に目がいくんだと思うんだよね?公爵がそうであったのと同じさ。
そしてまた、父上もそうであったと気付いたんだ。もちろん公爵の様に私を探しにきて抱き上げる事はしないよ?でもね、父上はいつもそうして私を探してたんだ。子どもの頃はそれが愛情とは思わなかったんだけどね。
母上から話を聞いたと知った父上は、王宮でアルフレッドと会うのを好まない私を理解してくれてたんだ。だから一緒遊ばない私を咎める事をしなかった。
私が穿った見方をしなければ簡単に理解できたのだろうが私も意固地になってたのかな?』
『ハインリッヒ、すまなかった‥。
かつての王宮、とかく王太子は世継ぎが絶対であった。もちろん正妃が産んだ子どもが王太子。これは揺るぎない事なのだが、若かった私は私に言い寄る令嬢と子どもを作る事に抵抗が無かった。
そしてその我が子を抱いても、これが我が子かと思った。もちろん血を分けた子どもだからね、大切にしようと思ったさ。私なりに出来ることはやってきたつもりだ。
だがな、愛するキャシーとの子どもが誕生して初めて感じたのだ。こんなにも愛おしいものかと。愛する人との間に出来た息子がこんなにも他と違うのかと、逆に今までの自分に絶望した程だよ。
でも、特別視をすることが憚れた。だからこそ王太子として特別視をするしか無かったのだ。
それに、お前は母親の期待に応えるべく生きていた。お前もまた母親の期待通り、アレクの血を望んでおるのかとも思った。
その愛情が深いからこそ、こんな簡単な事がいつしかもつれた糸のようになり結局こんな事になってしまった。
だからこそ、ハインリッヒお前には、愛する人との子どもを持ってほしい。私が感じたあの愛情を惜しみなく注いでやってほしいと思う。』
一言一言、大切に語るウィリアムにハインリッヒは
『言われてなくても、私は愛する人との子どもしか持ちませんよ。』
穏やかに笑う2人を眺めながらリデュアンネは号泣していた。
『グスン、お義父様、ごめんなさ~い、わ、私、グスン、うっ、うわぁーん~』
‥
『アンネ、謝る事はない。嬉しかったよ。ハインリッヒには素晴らしい妃が居てくれて頼もしいよ。
でもね、1つ忠告してもいい?』
リデュアンネを覗き込むウィリアム。
『グスン、な、何ですか?グスン』
『うん。どうせ泣くならもう少し美しく泣くべきだよ。ほら、鼻水が出てるよって、これどうするの?ハインリッヒ!』
叫ぶウィリアムに、後から声が掛かる。
『父上、その忠告は無駄ですよ。私も常々言っておりますがいまだにこれです。これでもまだマシになったのですから(笑)』
テオドールがハンカチを出し、リデュアンネの顔をゴシゴシと拭きだした。
『テオ!もっと優しく拭いてあげてよ!』
こちらも裏から出てくるアルフレッド。
リデュアンネはゴシゴシされた顔を両手で覆いながら集合している男たちに向けて
『何で居るのよ‥人払いしてるはずだけど?』
『私はこれでも皇帝と血の繋がりがある兄ですから』
と胸を張るテオドール。
『私はこれでも皇帝側近ですから、殿下の行く所はどこへでも‥(笑)』
爽やかに笑う、王子様。
ウィリアムは元気になったリデュアンネを確認すると、
『アンネ、ありがとう!今度はきちんとデートしようね♡』とウインクして颯爽に図書館を後にした。
‥
‥
‥
‥
『ハインリ‥』
ハインリッヒはリデュアンネに静かに語る。
『デュアン、ありがとう。でもね、私も薄々はわかっていたのだ。それを問う事はしてはいけないと思っていた。』
『何故‥』
『う~ん、なぜだろう。でもね今なら父上の気持ちも少しは理解が出来るんだ。だからね父上を責ないでほしい。』
『ハインリ‥』
『私は父親の愛情を知らない子どもだったと以前話した事があったね。でも違ったんだ。
デュアンと初め会った時の話をしたね?公爵がデュアンを探しにきてデュアンが嬉しそうに公爵に抱かれて行った時、何か感じたのを覚えている。
それはね公爵がデュアンを探している姿だよ。あれは私も見覚えがあった。
大人がね子ども探す時って視線は下がるよね?でも同時に上も探すんだ。あれってね、高い所に居る確率からしたらかなり低いよね?それでも上を探す訳って何だと思う?
あれね、高い所に居たら危険だろ?だから確率は低くくても自然に目がいくんだと思うんだよね?公爵がそうであったのと同じさ。
そしてまた、父上もそうであったと気付いたんだ。もちろん公爵の様に私を探しにきて抱き上げる事はしないよ?でもね、父上はいつもそうして私を探してたんだ。子どもの頃はそれが愛情とは思わなかったんだけどね。
母上から話を聞いたと知った父上は、王宮でアルフレッドと会うのを好まない私を理解してくれてたんだ。だから一緒遊ばない私を咎める事をしなかった。
私が穿った見方をしなければ簡単に理解できたのだろうが私も意固地になってたのかな?』
『ハインリッヒ、すまなかった‥。
かつての王宮、とかく王太子は世継ぎが絶対であった。もちろん正妃が産んだ子どもが王太子。これは揺るぎない事なのだが、若かった私は私に言い寄る令嬢と子どもを作る事に抵抗が無かった。
そしてその我が子を抱いても、これが我が子かと思った。もちろん血を分けた子どもだからね、大切にしようと思ったさ。私なりに出来ることはやってきたつもりだ。
だがな、愛するキャシーとの子どもが誕生して初めて感じたのだ。こんなにも愛おしいものかと。愛する人との間に出来た息子がこんなにも他と違うのかと、逆に今までの自分に絶望した程だよ。
でも、特別視をすることが憚れた。だからこそ王太子として特別視をするしか無かったのだ。
それに、お前は母親の期待に応えるべく生きていた。お前もまた母親の期待通り、アレクの血を望んでおるのかとも思った。
その愛情が深いからこそ、こんな簡単な事がいつしかもつれた糸のようになり結局こんな事になってしまった。
だからこそ、ハインリッヒお前には、愛する人との子どもを持ってほしい。私が感じたあの愛情を惜しみなく注いでやってほしいと思う。』
一言一言、大切に語るウィリアムにハインリッヒは
『言われてなくても、私は愛する人との子どもしか持ちませんよ。』
穏やかに笑う2人を眺めながらリデュアンネは号泣していた。
『グスン、お義父様、ごめんなさ~い、わ、私、グスン、うっ、うわぁーん~』
‥
『アンネ、謝る事はない。嬉しかったよ。ハインリッヒには素晴らしい妃が居てくれて頼もしいよ。
でもね、1つ忠告してもいい?』
リデュアンネを覗き込むウィリアム。
『グスン、な、何ですか?グスン』
『うん。どうせ泣くならもう少し美しく泣くべきだよ。ほら、鼻水が出てるよって、これどうするの?ハインリッヒ!』
叫ぶウィリアムに、後から声が掛かる。
『父上、その忠告は無駄ですよ。私も常々言っておりますがいまだにこれです。これでもまだマシになったのですから(笑)』
テオドールがハンカチを出し、リデュアンネの顔をゴシゴシと拭きだした。
『テオ!もっと優しく拭いてあげてよ!』
こちらも裏から出てくるアルフレッド。
リデュアンネはゴシゴシされた顔を両手で覆いながら集合している男たちに向けて
『何で居るのよ‥人払いしてるはずだけど?』
『私はこれでも皇帝と血の繋がりがある兄ですから』
と胸を張るテオドール。
『私はこれでも皇帝側近ですから、殿下の行く所はどこへでも‥(笑)』
爽やかに笑う、王子様。
ウィリアムは元気になったリデュアンネを確認すると、
『アンネ、ありがとう!今度はきちんとデートしようね♡』とウインクして颯爽に図書館を後にした。
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