1 / 42
リネットの企み
しおりを挟む
ヴェルヴァス王国は大陸の南端に位置し、温暖な気候と豊かな資源により、富裕国として知られている。
争い事の無い、平和な日常が流れるこの国には、数百年ぶりに王女が誕生し、それはそれは大切に育てられました。
『ウィルお兄様~聞いて下さい~アルお兄様が~』
毎度繰り返される下の兄弟たちのいざこざに頭を悩ませながらもヴェルヴァス王国、王太子のウィリアムはにこやかに妹であるルリネットを迎える。
『リネット、今日はまたどうしたの?』
金髪碧眼の完全無欠な王子様は、胸に飛び込むルリネットの肩に手を添え顔を覗き込む。
『アルお兄様がね‥』
『兄上、リネットを甘やかしてはなりません!』
息を切らして入ってきたヴェルヴァス王国第2王子のアルフレッドが声を上げる。
『別に甘やかしてはいないよ。それにまだ話を聞いていないしね。』
ウィリアムはソファに腰を下ろし、2人にも掛けるよう促す。
『それで?』
答えるのはアルフレッド。
『リネットはまた、良からぬ事を企んでいるのです!』
すかさず立ち上がりルリネットが反撃する。
『企んでなんていないわ!私はただ、大王国の王太子妃選びに出るって言っただけだわ!』
『リネットは王太子妃になりたいの?』
『‥別にそうではないわ。』
俯くルリネットに、
『ほら見ろ!企んでいるではないか!』
小さくなるルリネットにウィリアムは
『どうしてリネットは王太子妃選びに出たいの?』
『駄目なの?私も一応王女よ?資格はあるもの。』
『一応な!』
長い足を組み換え睨みを効かせるアルフレッドを諭す様にウィリアムは言う。
『まぁまぁ、落ち着け、アル。話しだけでも聞こうじゃないか。』
安堵の笑みを浮かべるルリネット。
『私もね、そろそろ社交をするべきでしょ?』
『何も嫁探しの場で社交などせずともよいであろうが!』
ルリネットを遮るアルフレッドを制しウィリアムが優しく問う。
『うん、そうだね。でもあれ程、仮病で社交界から逃げていたリネットがどういう心境の変化かな?』
(仮病ってバレてたの?)
ルリネットは言葉を探すが見当たらない。
『ほらみろ。説明が出来ぬではないか!企みを申してみよ』
『社交をしなければならないって思ってる事は本当よ。ただ‥ほら、そこに行けば各国から王族が集まる訳でしょ?一度に沢山の王族とご挨拶できるもの。それに‥』
『それに?』
優しく問うウィリアムに気を良くしたルリネットは本音で話しをする。
『それに、各国から王女が集まるのよ?言わばその国のお姫様。その中に一人ぐらい居るのではないかと思って‥』
『誰がいるの?』
首を傾げるウィリアムに
『ウィルお兄様には我が国の最高令嬢であるソフィア様が婚約者としていらっしゃるわ。だけど‥』
上目遣いでアルフレッドをチラリと見る。
『俺?なに、まさかお前俺の婚約者探しのために?』
『‥。』
『駄目だ駄目だ!兄上、お許しになってはなりませんよ』
ウィリアムはしばらく黙って頭を巡らせゆっくり紅茶を味わいながら
『うん、悪くないね。』
パッと花咲く表情のルリネットと、驚きを隠せないアルフレッドであった。
争い事の無い、平和な日常が流れるこの国には、数百年ぶりに王女が誕生し、それはそれは大切に育てられました。
『ウィルお兄様~聞いて下さい~アルお兄様が~』
毎度繰り返される下の兄弟たちのいざこざに頭を悩ませながらもヴェルヴァス王国、王太子のウィリアムはにこやかに妹であるルリネットを迎える。
『リネット、今日はまたどうしたの?』
金髪碧眼の完全無欠な王子様は、胸に飛び込むルリネットの肩に手を添え顔を覗き込む。
『アルお兄様がね‥』
『兄上、リネットを甘やかしてはなりません!』
息を切らして入ってきたヴェルヴァス王国第2王子のアルフレッドが声を上げる。
『別に甘やかしてはいないよ。それにまだ話を聞いていないしね。』
ウィリアムはソファに腰を下ろし、2人にも掛けるよう促す。
『それで?』
答えるのはアルフレッド。
『リネットはまた、良からぬ事を企んでいるのです!』
すかさず立ち上がりルリネットが反撃する。
『企んでなんていないわ!私はただ、大王国の王太子妃選びに出るって言っただけだわ!』
『リネットは王太子妃になりたいの?』
『‥別にそうではないわ。』
俯くルリネットに、
『ほら見ろ!企んでいるではないか!』
小さくなるルリネットにウィリアムは
『どうしてリネットは王太子妃選びに出たいの?』
『駄目なの?私も一応王女よ?資格はあるもの。』
『一応な!』
長い足を組み換え睨みを効かせるアルフレッドを諭す様にウィリアムは言う。
『まぁまぁ、落ち着け、アル。話しだけでも聞こうじゃないか。』
安堵の笑みを浮かべるルリネット。
『私もね、そろそろ社交をするべきでしょ?』
『何も嫁探しの場で社交などせずともよいであろうが!』
ルリネットを遮るアルフレッドを制しウィリアムが優しく問う。
『うん、そうだね。でもあれ程、仮病で社交界から逃げていたリネットがどういう心境の変化かな?』
(仮病ってバレてたの?)
ルリネットは言葉を探すが見当たらない。
『ほらみろ。説明が出来ぬではないか!企みを申してみよ』
『社交をしなければならないって思ってる事は本当よ。ただ‥ほら、そこに行けば各国から王族が集まる訳でしょ?一度に沢山の王族とご挨拶できるもの。それに‥』
『それに?』
優しく問うウィリアムに気を良くしたルリネットは本音で話しをする。
『それに、各国から王女が集まるのよ?言わばその国のお姫様。その中に一人ぐらい居るのではないかと思って‥』
『誰がいるの?』
首を傾げるウィリアムに
『ウィルお兄様には我が国の最高令嬢であるソフィア様が婚約者としていらっしゃるわ。だけど‥』
上目遣いでアルフレッドをチラリと見る。
『俺?なに、まさかお前俺の婚約者探しのために?』
『‥。』
『駄目だ駄目だ!兄上、お許しになってはなりませんよ』
ウィリアムはしばらく黙って頭を巡らせゆっくり紅茶を味わいながら
『うん、悪くないね。』
パッと花咲く表情のルリネットと、驚きを隠せないアルフレッドであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
54
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる