王女の企み【完】

兄との語らい

私は今、ヴェルヴァス王国から馬車で３日程の距離に位置するダリス大王国へ向かう馬車。

目の前には、我が国第２王子のアルフレッドお兄様が、第２王子とも思えない乱れた格好で長い足を投げ出し眠っている。

アルお兄様。
我が国ではウィルお兄様と令嬢の人気を２分するいわゆる王子様。容姿はウィルお兄様とよく似ていて美男子なのは間違いないがウィルお兄様が完全無欠の王子様であれば、アルお兄様は少しツンデレ感が否めないがそのツンデレが時折見せる王子様スマイルがこれまた絶妙で令嬢たちを魅了している。

にもかかわらず、この有様。ウィルお兄様は私たちの前であっても王子様なのに対してアルお兄様はこの通り。王族の品格も疑われよう。


『リネット、王子の寝顔を観察する趣味でもあるのか？淑女としての品格が疑われるぞ。』

目を閉じたまま呟くアルフレッド。

『品格！どの口が言うのですか！』

私はお兄様の長い足を蹴飛ばした。

『ほらみろ、王女としての自覚が足りない。リネットはすぐに足が出るからな。本当向こうで何やらかすか心配だよ。』


寝ていても文句しか言わないこのお兄様は‥ってかまあ、３か月はこの口うるさいアルお兄様とも離れられる。

何だかワクワクするわ～。


身体をお越し身を整えアルお兄様が

『いいか、よく聞け。ダリスは８人の王子が居る。その第一王子でもあるフリードリヒ王子は兄上のような王子様の仮面を付けている。令嬢たちはコロッと騙される訳だ。な？何の免疫もないリネットは軽くノックアウトだ。』


好きな事言ってるわ。