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マクシミリアンの心情
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私はリラ大王国王太子、マクシミリアン。わざわざダリス大王国にやってきたにはもちろん意味がある。
我々大陸には、かつていかなる天変地異においても唯一被害を被る事なく安定した国を治める国家があった。その国には類稀ない力を持つ王と王妃が存在していた。
その王は元々、真っ赤な瞳をしており、また王妃も元々は漆黒の瞳をしていた。それぞれ聖の力を有し、その2人が真実の愛とかで結ばれればお互いの瞳の色を分け合うというのだ。そして神の前に誓いを立てればその瞳ははっきりと分け合うという、いわゆるオッドアイだ。
その2人の末裔となる王族はこの大陸に存在するのだ。
しかしながら聖の力を有する者かはわからない。聖の力を単体で持っていても、何らかの力に守られているが、その力を持つ同士が結ばれれば、国の安寧は揺るぎない。
だからこそ、ダリス大王国は各国から王女を集めているのだ。より力を確固たるものにする為に。
その聖なる力が欲しくない訳ではないが、そんなもの見つけられる方が実際難しい。だがその力がダリス大王国にあっては困るのもまた事実。
そんな中、我々リラ大王国は極秘にある可能性を入手したのだ。どこの属国にもならないヴェルヴァス王国にはその聖なる力を持つ者が居ると…。実際あの国は恵まれた資源に気候、聖の力の恩恵と思われる事が少くはない。
もしかしたら王太子のウィリアムが持っているかもしれないし、第二王子かもしれぬ。そしてそれは王女にも当てはまる。
私は以前からヴェルヴァス王国王女に求婚をしていたが
あそこは政略結婚をさせぬでも安定した国ゆえ、なかなか事が運ばなかったのだ。それなのに、その幻の王女がダリス大王国の王太子妃候補の選定に上がっていると聞けば黙って居られるはずがない。
そんな中乗り込んだダリス大王国。初めて会ったヴェルヴァス王女は確かに美しい女ではあったが、何かを目論んでいるようには見えなかった。ただただ純粋無垢なそれでいて気の強い王女であった。
すぐさま瞳の色を確認したが、澄んだ青い瞳であった。私は安堵とともにそれを私の色に染めたいとも思った。
王女はまた聖なる力の事をも知らない風であった。ヴェルヴァスでは花や蝶やと育てられたのであろう。では何も知らない王女は何の為にここに来ているのだろうか。わたしはそれに興味をもったのだ。
マクシミリアンは、そんなことを考えながら自分に跨り必死に腰を振るルモンダ王国王女を冷めた目で見た。この王女も初めは聖なる力を持っているかも知れぬと思ったがそうでは無さそうだ。例え持っていても、自分の瞳と分け合う気にはなれなかった。
マクシミリアンの顔が歪む。マクシミリアンはルモンダ王女の腰を持ちクルッと反転させ自らが上になり、素早く腰を振り、外に精を吐き出した。
『相変わらず、固いのね』
そう呟くとルモンダ王女は大きく息を吐いた。
『ねえ、ヴェルヴァス王女とダンスをしてたけれど、彼女に興味があるの?』
床に脱ぎ捨てられたワンピースを拾いながらマクシミリアンに問う。
『別に、聖なる力を有するならばダリス大王国の王太子妃にさせる訳にはいかぬからな』
天井を見つめ答えると
『まあ、貴方らしいわ。自国の為にわざわざこんなところまで、乗り込んで…でもまあいいわ。
ねえ、私と組まない?私はダリス大王国の王太子妃にならなければならない。貴方はヴェルヴァス王女をダリス大王国の王太子妃にしたくない、もしろ自国に連れて帰りたいって所でしょ?利害が一致してるわ。』
黙って話を聞くマクシミリアン。
『まあ、あの王女は早々に脱落して頂かないと私も困るの。無駄に自国に引きこもっていたからか、学だけはあるわ。それだけのつまらない女よ。』
そうであろうか、マクシミリアンはその後のルモンダ王女の話は耳に入っては来なかった。
我々大陸には、かつていかなる天変地異においても唯一被害を被る事なく安定した国を治める国家があった。その国には類稀ない力を持つ王と王妃が存在していた。
その王は元々、真っ赤な瞳をしており、また王妃も元々は漆黒の瞳をしていた。それぞれ聖の力を有し、その2人が真実の愛とかで結ばれればお互いの瞳の色を分け合うというのだ。そして神の前に誓いを立てればその瞳ははっきりと分け合うという、いわゆるオッドアイだ。
その2人の末裔となる王族はこの大陸に存在するのだ。
しかしながら聖の力を有する者かはわからない。聖の力を単体で持っていても、何らかの力に守られているが、その力を持つ同士が結ばれれば、国の安寧は揺るぎない。
だからこそ、ダリス大王国は各国から王女を集めているのだ。より力を確固たるものにする為に。
その聖なる力が欲しくない訳ではないが、そんなもの見つけられる方が実際難しい。だがその力がダリス大王国にあっては困るのもまた事実。
そんな中、我々リラ大王国は極秘にある可能性を入手したのだ。どこの属国にもならないヴェルヴァス王国にはその聖なる力を持つ者が居ると…。実際あの国は恵まれた資源に気候、聖の力の恩恵と思われる事が少くはない。
もしかしたら王太子のウィリアムが持っているかもしれないし、第二王子かもしれぬ。そしてそれは王女にも当てはまる。
私は以前からヴェルヴァス王国王女に求婚をしていたが
あそこは政略結婚をさせぬでも安定した国ゆえ、なかなか事が運ばなかったのだ。それなのに、その幻の王女がダリス大王国の王太子妃候補の選定に上がっていると聞けば黙って居られるはずがない。
そんな中乗り込んだダリス大王国。初めて会ったヴェルヴァス王女は確かに美しい女ではあったが、何かを目論んでいるようには見えなかった。ただただ純粋無垢なそれでいて気の強い王女であった。
すぐさま瞳の色を確認したが、澄んだ青い瞳であった。私は安堵とともにそれを私の色に染めたいとも思った。
王女はまた聖なる力の事をも知らない風であった。ヴェルヴァスでは花や蝶やと育てられたのであろう。では何も知らない王女は何の為にここに来ているのだろうか。わたしはそれに興味をもったのだ。
マクシミリアンは、そんなことを考えながら自分に跨り必死に腰を振るルモンダ王国王女を冷めた目で見た。この王女も初めは聖なる力を持っているかも知れぬと思ったがそうでは無さそうだ。例え持っていても、自分の瞳と分け合う気にはなれなかった。
マクシミリアンの顔が歪む。マクシミリアンはルモンダ王女の腰を持ちクルッと反転させ自らが上になり、素早く腰を振り、外に精を吐き出した。
『相変わらず、固いのね』
そう呟くとルモンダ王女は大きく息を吐いた。
『ねえ、ヴェルヴァス王女とダンスをしてたけれど、彼女に興味があるの?』
床に脱ぎ捨てられたワンピースを拾いながらマクシミリアンに問う。
『別に、聖なる力を有するならばダリス大王国の王太子妃にさせる訳にはいかぬからな』
天井を見つめ答えると
『まあ、貴方らしいわ。自国の為にわざわざこんなところまで、乗り込んで…でもまあいいわ。
ねえ、私と組まない?私はダリス大王国の王太子妃にならなければならない。貴方はヴェルヴァス王女をダリス大王国の王太子妃にしたくない、もしろ自国に連れて帰りたいって所でしょ?利害が一致してるわ。』
黙って話を聞くマクシミリアン。
『まあ、あの王女は早々に脱落して頂かないと私も困るの。無駄に自国に引きこもっていたからか、学だけはあるわ。それだけのつまらない女よ。』
そうであろうか、マクシミリアンはその後のルモンダ王女の話は耳に入っては来なかった。
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