王女の企み【完】

mako

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信じる者は救われる

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私はサラエ王国の伯爵家の次男である。病弱な兄上に代わり私が家をまとめていかなければならない身。

兄上は元々優秀な跡取りであったが、流行り病に罹患してから寝込むようになっていた。

費用もかさみ我が家はいよいよ苦しくなってきた時、今回の話が舞い込んできた。

社交界に疎い我が家では、貴族の情勢など意味も無く、ただただこの日を生き抜くだけでも精一杯であった。そうしているうちに爵位の返納も視野に入れ王宮に向かった。

しかし忙しくしている王宮では、だれも相談には乗ってくれず王宮庭のベンチに座り込んでいる時に初めてステファニー王女と出会った。

ステファニー王女は第三王女でありあまり社交の場には出られていないとかで、私の家のことなど知る由もないはずが、私を案じて下さった。


そうして何度か王宮で王女と会う機会が増えてきた頃、王女より今回の話を持ち掛けられた。


何でも、ダリス大王国にはえらく傲慢な令嬢が居て、
王様も困っていらっしゃるとか。極秘に我が国に連れて帰り教育を施すとのこと。そんな大役にステファニー王女は不安を隠せず私を頼ってくれたのだ。


私は大王国とは想像もつかない大きな国でお会いする機会もない程のお方の力になれることを誇りにも思った。


事の流れは馬車に乗せられ連れてこられる令嬢を、もてなす事を命じられた。

告げられた日に馬車を待っていると、予告通りに馬車が着き、驚く事に令嬢は気を失っていた。

私は令嬢を部屋に運び、ステファニー王女の指示を待っていた。


所が、聞いていたような令嬢ではなく、とても気品溢れる令嬢で傲慢とは程遠い女性であった。この令嬢は己の身の行く末を知らずここに居るのだ。私とて心が痛かった。


しかし、令嬢から明かされる真実とやらは私の想像を遥かに越えていて私は声を失った。



『さあ、貴方はどうするの?』


目の前の令嬢は私を真っ直ぐに見据え私の返答を静かに待っている。


この毅然たる振る舞い。この真っ直ぐな瞳。この醸し出す威厳。
令嬢の言う通り、この方はどこかの国の王女であろう。

ならば何故ステファニー王女は?ステファニー王女もまた騙されているのか?

様々なことを巡らせ、私は口を開いた。



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