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王子誕生
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連日、溺愛モードのダリス大王国王太子妃にいよいよ出産の兆しが見られた。
エドワードは留守にしていて帰りは3日後。
『エドが居ないから、私を代わりにエドだと思って頼っていいからね?』
定期的にくる痛みに顔を歪めるルリネットに優しく声を掛けるのはもちろんフリードリヒ。
『出産には男手は必要ございませんから、そのうち産まれますので静かに待ちましょう。』
‥そのうちって、貴方ね。
なんちゃって王子スマイルを巻き散らかしながら辛辣な言葉を吐くラインハルトを睨み付けるルリネット。
『そんな訳にはいかないよ。ルリネット大丈夫?痛いなら私の手を握っていてもいいよ』
‥お前は夫か?
『殿下、ルリネット様はこうみえてお強い方ですから大丈夫です。大切なお子を産むための痛みに耐えてこその王妃。素晴らしい王妃の姿を期待しましょう。』
‥こいつ、ハードル上げてくるわ
『ルリネット』
『殿下!』
『ルリネット』
『殿下!』
‥こいつら煩い。誰か連れ出して!
痛みが増してきて、2人に構ってなどいられない状況になってきた所で
『うるさいよ、2人共。はあ、出て行って外で待つように』
涼しい顔をしてエドワードが入ってきた。
『エド!なんで帰ってきてるの?私がエドの代わりに頑張るからエドはいいのに!』
‥いいのにって
『私も我が子の誕生に立ち会いたいからね。さあ、早く』
ラインハルトはさっさとフリードリヒを連れて外に出た。
『さあ、ルリネット呼吸法はマスター出来てるね?』
‥忘れてたわ。
顔を歪めながら頷くとエドワードは一緒に呼吸を取る。
『ほら、長く息をゆっくり吐くんだ。お腹の子に酸素を送るつもりでね?』
フーと息を吐きながらルリネットの手をしっかり握るエドワード。
『うまいよ、さあもう一度。フー』
‥お前は助産師か?
そうしていると、宮廷医が
『殿下、そろそろですので‥』
エドワードは頷き外に出た。
廊下には犬のようにクルクルと回るフリードリヒ。
そのフリードリヒを呆れる様にみつめるラインハルト。
廊下を直線に行ったり来たりするアルフレッド。
ソフィアで腕を組みながら、こんな時でも王子様のウィリアム。
2人手を取り心配そうに見つめ合うイザベラとソフィア。
よくある妊婦がうめき声を上げる光景では無く、ルリネットの声は廊下に漏れてはこない。
中はどうなっているのか?
フリードリヒは扉に耳を付け様子を伺う。
エドワードは廊下の様子を目を細めて眺めていると
『オッオッオッギャーオギャー』
直ぐに宮廷医が出てきて
『殿下、おめでとうございます。元気な王子でございます!』
エドワードはすかさず
『ルリネットは?』
『もちろんお元気です。流石でございました。』
エドワードは短く
『ありがとう』
と告げると中に入っていく。
その後ろに続こうとするフリードリヒをラインハルトはしっかり確保したのである。
『殿下、空気は読みましょう‥』
その後、皆も入室が許された。
ベッドに横になるルリネットの側にエドワードが座り王子を抱いている。その3人を見てフリードリヒは
『わ、私のお、お、』
『殿下、甥ですよ?お子ではありません!』
しっかり嫌味を打ち込むラインハルト。
『リネット、頑張ったね!辛かったろう?』
優しく頭を撫でるウィリアム。
ここで憎まれ口を叩くはずのアルフレッドはイザベラの手を取り、
『イザベラ、我々も頑張ろうな!』
トンチンカンな言葉に
『な、何を言ってるの?』
困惑するイザベラにソフィアは
『期待しておりますわ』
と優しく微笑む。
『じゃあ、我々もだね。ソフィア』
とソフィアの肩を抱くウィリアム。
フリードリヒとラインハルトはお互い顔を見合わせブンブンと顔を横に振り幸せそうな夫婦たちを見つめる。
そんな幸せな光景をルリネットは喜びを噛みしめ王子に声を掛けた。
『貴方のおかげでみんなHappyよ。産まれてきてくれてありがとう。』
王子はそれに応えるかの様に大きく泣いた。
『ホギャー!』
エドワードはその幸せを離さぬ様にしっかり強く抱いた。
『ルリネット、ありがとう。』
2人は見つめ合い優しく微笑んだ。
エドワードは留守にしていて帰りは3日後。
『エドが居ないから、私を代わりにエドだと思って頼っていいからね?』
定期的にくる痛みに顔を歪めるルリネットに優しく声を掛けるのはもちろんフリードリヒ。
『出産には男手は必要ございませんから、そのうち産まれますので静かに待ちましょう。』
‥そのうちって、貴方ね。
なんちゃって王子スマイルを巻き散らかしながら辛辣な言葉を吐くラインハルトを睨み付けるルリネット。
『そんな訳にはいかないよ。ルリネット大丈夫?痛いなら私の手を握っていてもいいよ』
‥お前は夫か?
『殿下、ルリネット様はこうみえてお強い方ですから大丈夫です。大切なお子を産むための痛みに耐えてこその王妃。素晴らしい王妃の姿を期待しましょう。』
‥こいつ、ハードル上げてくるわ
『ルリネット』
『殿下!』
『ルリネット』
『殿下!』
‥こいつら煩い。誰か連れ出して!
痛みが増してきて、2人に構ってなどいられない状況になってきた所で
『うるさいよ、2人共。はあ、出て行って外で待つように』
涼しい顔をしてエドワードが入ってきた。
『エド!なんで帰ってきてるの?私がエドの代わりに頑張るからエドはいいのに!』
‥いいのにって
『私も我が子の誕生に立ち会いたいからね。さあ、早く』
ラインハルトはさっさとフリードリヒを連れて外に出た。
『さあ、ルリネット呼吸法はマスター出来てるね?』
‥忘れてたわ。
顔を歪めながら頷くとエドワードは一緒に呼吸を取る。
『ほら、長く息をゆっくり吐くんだ。お腹の子に酸素を送るつもりでね?』
フーと息を吐きながらルリネットの手をしっかり握るエドワード。
『うまいよ、さあもう一度。フー』
‥お前は助産師か?
そうしていると、宮廷医が
『殿下、そろそろですので‥』
エドワードは頷き外に出た。
廊下には犬のようにクルクルと回るフリードリヒ。
そのフリードリヒを呆れる様にみつめるラインハルト。
廊下を直線に行ったり来たりするアルフレッド。
ソフィアで腕を組みながら、こんな時でも王子様のウィリアム。
2人手を取り心配そうに見つめ合うイザベラとソフィア。
よくある妊婦がうめき声を上げる光景では無く、ルリネットの声は廊下に漏れてはこない。
中はどうなっているのか?
フリードリヒは扉に耳を付け様子を伺う。
エドワードは廊下の様子を目を細めて眺めていると
『オッオッオッギャーオギャー』
直ぐに宮廷医が出てきて
『殿下、おめでとうございます。元気な王子でございます!』
エドワードはすかさず
『ルリネットは?』
『もちろんお元気です。流石でございました。』
エドワードは短く
『ありがとう』
と告げると中に入っていく。
その後ろに続こうとするフリードリヒをラインハルトはしっかり確保したのである。
『殿下、空気は読みましょう‥』
その後、皆も入室が許された。
ベッドに横になるルリネットの側にエドワードが座り王子を抱いている。その3人を見てフリードリヒは
『わ、私のお、お、』
『殿下、甥ですよ?お子ではありません!』
しっかり嫌味を打ち込むラインハルト。
『リネット、頑張ったね!辛かったろう?』
優しく頭を撫でるウィリアム。
ここで憎まれ口を叩くはずのアルフレッドはイザベラの手を取り、
『イザベラ、我々も頑張ろうな!』
トンチンカンな言葉に
『な、何を言ってるの?』
困惑するイザベラにソフィアは
『期待しておりますわ』
と優しく微笑む。
『じゃあ、我々もだね。ソフィア』
とソフィアの肩を抱くウィリアム。
フリードリヒとラインハルトはお互い顔を見合わせブンブンと顔を横に振り幸せそうな夫婦たちを見つめる。
そんな幸せな光景をルリネットは喜びを噛みしめ王子に声を掛けた。
『貴方のおかげでみんなHappyよ。産まれてきてくれてありがとう。』
王子はそれに応えるかの様に大きく泣いた。
『ホギャー!』
エドワードはその幸せを離さぬ様にしっかり強く抱いた。
『ルリネット、ありがとう。』
2人は見つめ合い優しく微笑んだ。
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